普段は海でのカヤックフィッシングを楽しむ筆者が、湖でのワカサギ釣りに挑戦。足漕ぎのホビーカヤックとワカサギ釣りの相性の良さに驚愕!爽やかな湖上の風に吹かれながら快釣となった模様をレポートします。
【あなたの釣りライフが変わる!『カヤックフィッシング特集』を読む】
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・福永正博)
芦ノ湖でワカサギ釣り
「暑い……めちゃくちゃ暑い」とつぶやき、頭から水をかぶりながら海に浮かぶ夏のカヤックフィッシング。そんな身も心も燃やすような熱い釣りも大好きなのですが、やはり「涼しい所で釣りしたいなぁ」と考えてしまうのが人間というもの。
そこで今回は、標高が高く夏でも過ごしやすい神奈川県・芦ノ湖に足を向けます。足漕ぎのホビーカヤックを浮かべ、さわやかな湖上の風に吹かれながら、ワカサギ釣りの自己記録更新を狙います。

ワカサギ釣りシーズン
寒い時期の釣りというイメージがあるワカサギ釣りですが、芦ノ湖はちょっと特別。近くの富士五湖ですらシーズンインが10月頃なのに対して、芦ノ湖は8月頃からワカサギが釣れ始めます。
芦ノ湖は、避暑とワカサギ釣りが両立できる関東では希少な釣り場なのです。ラッキーなことに、筆者は芦ノ湖がある神奈川県在住。せっかく日帰りで行ける範囲に住んでいるのに、夏の芦ノ湖に行かないという選択肢はありません!
足漕ぎカヤックでワカサギ釣り
夏の芦ノ湖でワカサギ釣りをする場合、一般的には船外機付きや手漕ぎのボートでの釣りが人気ですが、自分のカヤックを持ち込む選択肢もあります。カヤック自体が禁止、もしくはカヤックからの釣りが禁止である湖は多いですが、ありがたいことに芦ノ湖はカヤックフィッシングOK!
足漕ぎタイプがオススメ!
とくに足漕ぎカヤックなら、両手が空くためワカサギ釣りがしやすく、機動力を生かして様々なポイントを巡ることも可能です。
ホビーアウトバック
筆者が使用しているカヤックは、ホビーカヤック・アウトバック。ホビーカヤックのラインナップ中では、「ハードモデル」の部類で、いわゆる上級者向けモデルです。「上級者向け」なんて聞くと乗るのが難しいカヤックなのかと思ってしまいますが、全くそんなことはありません。

安定感抜群
自重が重いので陸上での運搬こそ多少の覚悟は必要ですが、水に浮かべれば安定感抜群でグラグラすることもなく、初心者の方こそ釣りがしやすく感じるはずです。
高い拡張性
また、高性能な魚探の取り付けに対応していたり、豊富な収納スペースやボルトオンでのカスタマイズを見据えた拡張性を備えていたりと、釣りに慣れた頃に欲しくなる機能をはじめから搭載済み。
アウトバックは、「上級者向け」というより、「上級者にも対応できる」カヤックと言った方が理解しやすいでしょうね。
前進/後進の切り替え可能
アウトバックが標準装備しているミラージュドライブ(足漕ぎ装置)は「MD180turbo」というタイプで、前進と後進の切り替えが可能なのに加え、ターボフィンと呼ばれる長めのフィンを装着しておりスピードが出る仕様となっています。

自動格納フィン
また、キックアップフィンを搭載しており、障害物に当たるとフィンが自動的に格納されて破損を防ぐ機能も持っていますよ。岸に近づくと急に浅くなる場所があり、大きな岩が点在している芦ノ湖でも安心です。
サイズ
カヤック紹介の締めくくりに、ホビーカヤック・アウトバックの主要なスペックをご紹介しておきましょう。全長は3.89m。軽自動車にも載せられる長さでありながら、外洋の釣りにも対応できる走破性やスピードを確保しています。
幅は86cm。水面がおだやかならば、立ち上がって釣りができるほどの安定性を誇ります。夏の芦ノ湖ならば、横乗りで両足をチャプチャプと水に足を浸して涼みながらのワカサギ釣りもできちゃいますよ(もちろん、限度はあるので油断は禁物ですが)。

重さ
自重は約39kg。すべての装備や、釣り道具などを満載にすると50kg前後になるでしょう。とはいえ、大きなタイヤのドーリーを使用すれば、持ち運びもそれほど苦にはなりません。今回の釣行では、駐車場から水辺が近くて舗装された場所からのエントリーだったので、重さによる苦労はほとんど感じませんでした。
カヤックワカサギ釣りの装備
それでは次に、カヤックでワカサギを釣る際の装備をご紹介していきましょう。
ワカサギ釣りタックル
近年のワカサギ釣りと言えば、「穂先を付けた電動リール」のイメージがありますが、芦ノ湖のボートワカサギでは手巻きリールでの釣りが一般的です。
それに準じて、筆者もタックルは120cmのワカサギロッドに1000番のスピニングリールを組み合わせ、ラインはPEライン0.3号。
ロッドは、ウルトラライトのルアーロッドなどを流用できなくもないですが、ワカサギ専用ロッドの方が格段にティップが繊細で、アタリや引きを感じやすいです。

ワカサギ釣りの仕掛け
芦ノ湖のワカサギは、エサを付けない「カラバリ(空針)」で釣れるので有名。虫エサが必要ないだけでなく、手返しも良くなるので、非常に助かります。
筆者のお気に入りは、OWNER製のショート・ハイパーパニック7。いわゆる極小サビキ仕掛けの7本バリ仕様です。仕掛けの全長が124cmで、筆者が使う120cmの短いロッドでも扱える範囲ということもあり愛用しています。
ちなみに、ワカサギ釣り上級者の方は、2m前後の長めのロッドに14本バリ仕掛けでワカサギを「鈴なり」にしちゃうそうですよ。
魚群探知機
ロッドやリールと並んで、ワカサギ釣りに欠かせないアイテムが魚探(魚群探知機)です。魚探があれば、自分の真下にワカサギの群れがいるかが確認でき、釣っていても断然楽しく、釣果も伸びます。
また、湖上に霧が出て戻るべき場所が見えなくなっても、魚探のGPS機能で方向を特定できるので、安全面からもぜひ搭載したいですね。
ハリ外し
手返しアップに必須のアイテムがハリ外しです。釣れたワカサギを引っ掛けるだけで外せるので、手で外すよりも大幅に時間短縮できますよ。なるべくハリに近い所をつまむのがコツで、無理に引っ張るとエダスがヨレヨレになるので注意が必要です。

バケツ
ワカサギを一時活かしておくバケツや水槽は基本的になんでも大丈夫ですが、二重構造で内側がメッシュのタイプが便利。釣れたワカサギ達をまとめて水切りして、ビニール袋などに移し替えることができますよ。
アンカー
カヤックを一定地点にとどめておくために、もっとも効果的なアイテムがアンカーです。足漕ぎカヤックの場合、ロッドを手に持ったままでもペダルを漕いで「ホバリング」が可能ではありますが、さすがにアンカーを打った時の定位能力とラクさにはかないません。
水深の2倍以上のロープ長が必要となるので、今回は余裕をもって50m以上ロープを巻いてきました。とはいえ、深ければ深いほど回収に時間と手間がかかるため、じっくりと腰を据えられる条件が揃わないと出番が無いことが多いです。
カウンター
釣ったワカサギを正確に数えるのに欠かせないのがカウンター。前回のワカサギ釣行で必要性を痛感したので、今回は抜かりなく準備してきました。購入後、100円ショップでも手に入ることを知り一瞬凍りつきましたが、シロクマのイラストが可愛いので納得しています。

カヤック出艇に必要な手続き
「さあ、出発!」……と、その前に芦ノ湖でカヤックを出す場合には手続きが必要なんです。まずは、芦之湖漁業協同組合の横にある芦の湖水産センターにて、カヤックの出艇手続きを行います。
「之」と「の」が違うところが興味深いですが、理由は不明です。住所や氏名、連絡先などを記入して手続き料1,000円を支払い、「自家用船出航帰港届」をもらえば手続きは完了。

遊魚券も必須!
それに続けて、遊漁券もその場で購入します。芦ノ湖の遊漁券は1日1,800円。窓口で手続きをするついでに、カヤックを出す場所や釣れているポイントなどを訊いたところ、とても親切に教えてくださいましたよ。
受付時間に要注意
一つ注意しておきたいのが、受付が8:30からという点。残念ながら、カヤックで朝マズメの芦ノ湖で釣りをすることは不可能なんですよね。ただし、見方を変えればそこまで朝早く起きる必要がないとも言え、「日の出とともに出艇だ!」 と気合を入れすぎず、ゆったりとした釣行を計画すると良いでしょう。

当日の気温と服装
出艇の手続きを終え、段差の先にある浜にカヤックを降ろして荷物を積み込み、全ての準備は完了。気温は19度で、上下ラッシュガードの夏仕様のウェアリングで涼しく感じられる気持ちの良い天候です。
芦ノ湖名物の海賊船とアウトバックのツーショットをカメラに収めて、時刻は9:15。無事に出艇することができました。

早々にワカサギの群れ発見!
カヤックを漕ぎだして間もなく、桟橋のすぐ沖付近でいきなり大きな群れを発見し、早速仕掛けを投入します。

早々に1匹目のワカサギ!
着底後、チョンチョンと誘いを入れて、しばしポーズ。すると、ロッドにピクピクという感触があり、幸先良く1匹目をキャッチできました!
初めてのカヤックワカサギ釣りで痛恨のノーフィッシュを経験し、ワカサギよりもスレていた筆者の心も一安心です。

魚探で群れを追う作戦
リズム良く20匹ほどキャッチしたところで、「このポイントで落ち着いて釣ってみようかな」と、おもむろにアンカーを降ろした途端、ワカサギの群れは移動し反応ゼロに。
しかたなくアンカーを回収し、少し移動すると再び群れに当たりポツポツと数匹追加しますが、ハリを外している間にも群れは離れてしまいます。
そんな状況が続くためアンカーを打つのはあきらめ、ワカサギの群れを魚探で見ながら追っていく作戦に変更。ただ闇雲に漕ぎまわっても効率が悪いので、反応が多い水深13~15m付近に沿って重点的に探索します。
ポイント移動でワカサギ入れ食い!
この時点での釣果は50匹ほど。123匹の自己記録更新はどうにか達成したいところです。そして、しばらくワカサギを見失う時間帯があり焦ったものの、対岸に移動すると本日最大の群れを発見しました!

ボトムから表層付近まで群れが広がり、仕掛けを落とせば釣れる、まさに入れ食い状態です。
6連掛けも達成
オモリが底に着く前に、フォールの最中でも次々にアタってくるので、着底がよくわからないほど。そんな調子で、6連掛けを含め着々と数を伸ばすことに成功しました。

その後、夢中で楽しんでいるうちに時刻は16:00に。アタリも遠のきだしたため納竿としました。
最終釣果
最終釣果は140匹。朝から夕方まで粘ったわりには少ないと思われるかもしれませんね。ですが、筆者はまだワカサギ釣りを始めたばかり。同じ日に、ボートから500匹以上釣った人がいたことを気にしてはいけません。

反省点
次回もっと良い釣果を出すための、反省点・改善点はハッキリしています。
まず何より反省するべきは、トラブルが多くて手返しが悪かったこと。ハリ数が多いので、ワカサギを外している最中に服に刺さったり、リーシュコードなどに絡んだりして、もったいないタイムロスが多すぎました。筆者の慣れの問題でもあります。
改善策
改善策は、ズバリ「仕掛けをカヤックの上に持ってこない艤装」です。ハリ外し付きのバケツを水上にせり出すようにセットし、ロッドホルダーの位置も調整すれば、不意のハリ刺さりはグッと減るはずです。
手漕ぎカヤックではパドリングの邪魔になって難しい艤装ですが、足漕ぎカヤックならば可能でしょう。次回までの課題ですね。
ワカサギ釣りと足漕ぎカヤック
今回、あらためて感じた足漕ぎカヤックのメリットは、「小移動のしやすさ」。ロッドを手に持ったまま、ペダルを踏み込むという最小限の動作だけで移動できるのは、他には無い足漕ぎカヤックならではの大きなアドバンテージです。

攻めの釣りが可能!
ボートワカサギの常連さん達も、アンカーを打たずこまめに流し直す方が釣果を伸ばしているとのこと。足漕ぎカヤックなら、流すどころか群れの上に居続けることも可能なはずです。ワカサギの群れを常に追いかけまわす、「攻めの釣り」に足漕ぎカヤックは最適でしょう。
淡水カヤックフィッシングの魅力
今年になって、湖でのカヤックフィッシングデビューした筆者ですが、澄んだ水に浮かぶのは本当に気持ちが良いものです。とくにワカサギ釣りは、釣果が出やすいながらも奥が深く、ハマる要素が満載です。もっと装備を充実させて、次回はさらなる釣果を目指したいですね。
また、淡水でのカヤックフィッシングは道具類の塩抜きが必要なく、片付けが格段にラクなのも良いところ。沼系のマッディウォーターはともかく、芦ノ湖のようなキレイな湖なら軽く水気を拭くだけなので、筆者と同じ面倒くさがりの方にもおすすめしますよ。
次はレイクトラウト大会へ!
最後に、この記事が掲載される頃には、本栖湖で開催されるレイクトラウト釣り大会にホビーカヤックで出場しているはずです。釣果に関わらずその模様をレポートする予定ですので、お楽しみに!
<福永正博/TSURINEWSライター>