両手にハサミを持ち、コミカルなイメージもあるカニ。しかし、生き物としては非常に「完成された形態」であるという説があります。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
あらゆる甲殻類は「カニになっていく」
深海から水辺の陸上まで、そして海水から淡水まで、世界中どこでも見られる馴染み深い水生生物カニ。5対の足を胴体の左右にそなえ、その一番前方のものは大きなハサミ(鋏脚)になっているのが特徴です。
この「手がハサミ」という形態は我々の目にはコミカルに写ります。敵に対して攻撃したり、餌を捕まえたりするのは非常に便利そうですが、それ以外の局面ではなんだか不便そうに見えなくもありません。
しかし実際のところ、甲殻類や一部の節足動物などの外骨格生物にとっては、この「カニ型」は非常に理想的な形態なのだそうです。
カーシニゼーション
カニという生き物は、分類学的には十脚目短尾下目というグループに含まれます。
エビやカニなど多くの甲殻類は脚が十本あることから十脚目に含まれており、その中で進化の過程で腹部の組織を胸部に格納し、細長い腹部を短く退化させたものが短尾下目、つまりカニです。したがって定義上は「第1脚が鋏脚で、腹部が退化しているもの」がカニということが言えます。
しかし上記の通り、このカニの形状は多くの甲殻類にとって理想的なもののようで、分類学上はカニではない生き物にもこのような形状に進化したものがいます。代表的なものがタラバガニで、彼らはヤドカリの仲間(異尾下目)でありながら腹部を退化させ、鋏脚をそなえています。
ヤドカリ以外の甲殻類でも、このようにカニ化を果たしたもの、あるいはかつてカニ化を果たした祖先がいたものがいくつもあるそうです。
このように、カニではない生物がカニ的な形状になっていくことを「カーシニゼーション」と呼ぶのだそうです。
逆に「カニを捨てた」?ものたち
さてその一方で、もともとはカニ的な生き物であったにも関わらず、カニとは全く似ても似つかない形状に進化した生物もいます。それがフジツボです。
実は甲殻類であるフジツボは、まるで石のような形で岩にへばりつき、動くことはありません。しかし生まれてすぐはカニの赤ちゃんである「ゾエア幼生」と似ている「ノープリウス幼生」という状態で海中を浮遊しています。彼らはもともとは移動できる生物であったものが、固着して流れてくる餌を待つスタイルの生物に進化したと考えられています。
似たような生物に「カメノテ」があり、こちらもノープリウス幼生から岩に付着するためだけの「キプリス幼生」という段階を経て岩に付着し、成長します。カメノテ、フジツボとも硬い殻に覆われて動かないように見えますが、海水に浸かっているときは「蔓脚」という脚を動かし、餌を捕まえています。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
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