9月17日、和歌山県・串本のカセにアメリカから来日したミスタービーと向かった。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版APC・溝川弘巳)
串本のカセでブリを狙う
午前4時に須江白野港に集合、漁港で待っていたのはミスタービーの友人・南紀太郎さんだ。ミスタービーはカセ釣りが初めてなのでわくわくしている。
タックルは、ロッドがオールラウンダー赤青一撃190にリールはスピードマスター4000T、ラインはフロロカーボンライン12号、直付けでハリヒラマサ16号、ゴム張りオモリ5号。
エサのイワシを付けて水深35mへ送り込み、自作のエサまき器で水深25mにイワシをまく。南紀太郎さんは素早くこの作業を行い、両手でサオを持ち微妙なアタリを待つ。私とミスタービーも同じくアタリを待った。
反応ないまま夜明けを迎える
串本のカセは夜明けまでが勝負だ。暗闇のなか、ヘッドライトの明かりでタナを探るがアタリは出ない。周りには20隻近くカセがあるので、どこかでアタリが出るはずだが、さっぱりだ。
無数のアジが海面を覆い、エサを落とすと飛びついてくる。あまりにもアタリがないので、このアジをタモですくった。少しまきエサをして素早くすくう。1回で10匹近く取れるので夢中になってしまう。
すると「来たぞ!」と南紀太郎さんが素早く巻き取っている。瞬時に上がってきたのはイナダ。「なんらツバスかよー」とガッカリしていた。
そこからアタリがなくなり夜明けを迎えた。串本のカセは明るくなると青物がこないのでオキアミのテンビンフカセや完全フカセに切り替えるが、まだ暑さが厳しいため帰る用意を始めた。
有限実行の90cm
ブリを見ることができないかと思いながら片付けていると「おっしゃ来たぞ」と大きな声。サオが大きく曲がっている。かなりの大物だ。
南紀太郎さんはサオを強引に立てて大物と勝負している。相手は本命のブリに違いない。
10分ほどの格闘の末に浮いてきたのは、丸々と肥えた90cmのブリだった。ミスタービーは大喜びではしゃいでいた。
良型シイラも登場
そして次の瞬間、私の置きザオにヒットした。南紀太郎さんの時よりサオは根元から曲がっている。かなりの大物だ。この付近のカセでは18kgのブリが上がっている。魚の動きが止まった瞬間にサオを起こすが全然寄ってこない。走らせるとロープに絡むので強引にやり取りする。けれどドラグを絞り腰の力で引き寄せた時、パッチとラインが切れた。せっかくの大物を取り逃がしてしまった。
すぐに生きアジをハリに付けて落とし込むがなんのアタリもなく、諦めかけたときにシイラが群れで回遊してきた。置きザオのアジを巻き取りシイラの前で待つと、少し興味を持ったが去っていった。残念と思ったが、再びシイラが回遊してきてアジを捕食した。
万力と呼ばれるだけのことはあり、直線的に走る引きは強烈だ。
満足して帰ろうとするが、ミスタービーは南紀太郎さんに「なぜ釣らせてくれない」と猛抗議。無理やり連れて帰られ、漁港で南紀太郎さんと口論になったが、最後はなぜかハグをして帰った。串本はロマンがある。
<週刊つりニュース中部版APC・溝川弘巳/TSURINEWS編>
この記事は『週刊つりニュース中部版』2025年10月17日号に掲載された記事を再編集したものになります。
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