ベイトリールをカスタムする際、見た目だけでなく「操作感」を大きく変えるのがハンドルの長さです。特に、純正よりも長いロングハンドルは、重いルアーを扱うアングラーやパワーフィッシングを好む人たちの間で定番化しつつあります。

この記事では、ロングハンドルの特徴・メリット・デメリットを整理し、釣りスタイルに合わせた選択の考え方を解説します。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・盛田亮祐)

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ベイトリールのロングハンドル

ベイトリールのハンドルは、一般的に「70mm~85mm」が標準的な長さです。そこから90mm以上のものを「ロングハンドル」と呼ぶことが多く、ハンドルの支点(センター)からノブまでの距離が長い設計になっています。

長くすることで、同じ力を加えてもより大きなトルク(回す力)が得られる仕組みです。つまり、「力を入れずに重いものを巻ける」状態になるわけです。

ロングハンドルが注目される理由

近年のルアーフィッシングでは、ビッグベイトやスイムベイトなど、重量のあるルアーを使う釣りが増えています。

また、太いラインを使ったカバーゲームや、深場を狙うディープクランキングなどでは、強い巻きトルクが求められます。

こうした背景から、「もっとパワーを」「もっと安定した巻きを」と求めるアングラーが増え、ロングハンドル化が一つの定番チューニングになりました。

「釣り場でとく見かけるけど意味あるの?」 ベイトリールをロングハンドル化する長所&短所
「釣り場でとく見かけるけど意味あるの?」 ベイトリールをロングハンドル化する長所&短所
ロングハンドルとビッグベイトの組み合わせ(提供:TSURINEWSライター・盛田亮祐)

ロングハンドルのメリット

ここからはベイトリールをロングハンドルにカスタムすると得られるメリットを5つ紹介します。

1. 巻き上げトルクが増す

ハンドルが長くなると、支点から力を加える距離が広がるため、てこの原理で大きな力を出せます。重いルアーや大物とのファイト時でも、力を入れすぎずに安定して巻けるのが大きな利点です。

特にディープクランクのように抵抗の大きいルアーを巻く際は、疲労感が大きく軽減されます。

2. 巻きの安定感が上がる

ハンドルが長いと、手の動きのブレが減り、回転が一定しやすいという特徴があります。スローリトリーブやストップ&ゴーのような繊細なアクションを維持しやすく、一定スピードでルアーを引く「巻きの釣り」に安定感が出ます。

3. ファイト時の余裕が増す

大きな魚を掛けた際、ロングハンドルは「粘り強く巻ける」ことから、ドラグを多用せずともリールで魚をいなせます。特にトルクの必要なビッグベイトゲームやカバー際の釣りでは、強い味方になります。

4. 細かいリトリーブ調整がしやすい

ハンドル1回転あたりの角度変化が緩やかになるため、微妙なスピードコントロールがしやすくなります。一定のテンポでルアーを泳がせたい場面に向いています。

5. クランクベイトとの相性が良い

ロングハンドルの「トルクが強く、巻きが安定する」という特性は、クランクベイトとの相性が抜群です。クランクベイトは潜行中の抵抗が大きく、ブレずに一定速度で巻くことが釣果に直結します。

ロングハンドルにすることで、ルアーの震動を手元でしっかり感じながら、安定したリズムで引き続けることができます。

「釣り場でとく見かけるけど意味あるの?」 ベイトリールをロングハンドル化する長所&短所
「釣り場でとく見かけるけど意味あるの?」 ベイトリールをロングハンドル化する長所&短所
パワーと安定感を得てブラックバスをキャッチ(提供:TSURINEWSライター・盛田亮祐)

ロングハンドルのデメリット

次にベイトリールをロングハンドル化した場合のデメリットを4つ紹介します。

1. 巻き取りスピードが遅く感じる

ロングハンドルにしても、ギア比が同じであれば巻き取り量そのものは変わりません。

ただし、ハンドルが長くなることで、1回転させるために腕を大きく動かす必要があるため、体感的に巻き取りスピードが遅く感じることがあります。テンポよく探る釣りでは、この“もたつき感”が気になる場合もあります。

2. 感度・軽快さが低下する

ハンドルが長いと慣性が大きくなるため、回転のキレや感度が少し鈍くなります。特にライトリグや小型ルアーを扱う釣りでは、過敏さが失われることがあります。

3. 重量増・バランスが崩れる

ハンドル自体が長くなることで重量が増し、リール全体のバランスに影響が出ます。軽量ロッドと組み合わせたときに「持ち重り」を感じやすい点も注意です。

4. 干渉や取り回しの悪化

ハンドルが長くなることで、ボディやロッド、衣服などと干渉しやすくなる場合があります。特にダブルハンドル仕様では、ピッチング時に違和感を感じることもあります。

「釣り場でとく見かけるけど意味あるの?」 ベイトリールをロングハンドル化する長所&短所
「釣り場でとく見かけるけど意味あるの?」 ベイトリールをロングハンドル化する長所&短所
カスタムのデメリットもある(提供:TSURINEWSライター・盛田亮祐)

「パワーと安定感」を得る選択

ロングハンドルは、巻き感・トルク感を劇的に変えるチューニングです。その一方で、スピード感や感度といった軽快さを犠牲にする側面もあります。

どちらが正解というわけではなく、「何を優先するか」が選択のポイントです。力強い巻きを求めるならロングハンドル、繊細な操作を重視するなら標準~ショートハンドル。

特にクランクベイトのような“巻きの釣り”では、ロングハンドルのメリットが際立ちます。自分のスタイルに合わせて選ぶことで、リールのポテンシャルを最大限に引き出せるでしょう。

「釣り場でとく見かけるけど意味あるの?」 ベイトリールをロングハンドル化する長所&短所
「釣り場でとく見かけるけど意味あるの?」 ベイトリールをロングハンドル化する長所&短所
ハンドル長さによる使用感の違い(提供:TSURINEWSライター・盛田亮祐)

<盛田亮祐/TSURINEWSライター>

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