日本人が好むタコは、生・煮る・焼くとさまざまな料理に合い、世界的に需要が高まっています。しかし餌代や設備費の負担が大きく、養殖が進んでいません。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
コラーゲン餌でタコの成長促進
東海大学の秋山氏らは、カニやイカの肉を細かくしたエサを用意。コラーゲンでできた薄い膜で包んだエサと何も手を加えないエサを準備し、それぞれ比較しました。
イカの肉では目立った結果の差はみられませんでしたが、カニの肉を膜で包む方法ではタコの体重増加が良好で、効率よくエサを食べられていることが判明しました。
コラーゲンで包むことで一箇所にエサがまとまっていることにより、浪費がなくなりコスト削減へつながります。これはタコの養殖において、重要な発見といえるでしょう。
環境整備で費用節約
そして、コラーゲンに包まれたエサの食べ方を観察したところ、膜ごと全部食べる個体と膜を破って中身だけを吸い出して食べる個体の2種類がいることがわかりました。
タコは食事の際、消化酵素を流し込んでエサを柔らかくしてから、吸い取るように摂取するという特徴があります。
コラーゲンの膜でエサを包むことで、流し込む消化酵素が水中に拡散することを防ぐことができます。人間にとっては効率よくエサを与えることができ、タコにとっても効率的に摂取できることがわかったのです。
新エサが商業化の鍵
タコは非常にデリケートな生き物です。養殖を成功させるには、タコにストレスを与えず健康に育てられる環境づくりが欠かせません。
タコのエサ、特にカニ肉をコラーゲン膜で包むことにより、エサの浪費防止や酵素の保持をできることが実証されたことにより、タコの養殖にかかっていたコストが削減され、さらに商業化への道がひらけるでしょう。
今後この技術が広がれば、私たちの食卓により手頃な価格で新鮮なタコが並ぶ日も近いかもしれません。
<れお/サカナトライター>
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