朝夕がめっきり冷え込み、マフラーやダウンジャケットがほしくなる季節になってきた。いよいよ冬間近だ。

この時期に身近な堤防で手軽に狙えるターゲットがアナゴだ。今回は冬の波止釣りで狙えるこのおいしいターゲットについて解説してみたい。

(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版・編集部)

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アナゴの釣り場

寿司屋でもおなじみのアナゴは、いわゆるマアナゴ。体の側面に白い斑点があるのが特徴だ。よく南の海で釣れる大型のクロアナゴと間違われがちだが、生息域が大きく異なる。

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身近で手軽に狙える(提供:週刊つりニュース中部版・編集部)

このマアナゴは意外なほど身近な海に生息しており、中部エリアでいえば愛知県の名古屋港や三重県の四日市港がそう。夜釣りがメインになるが、車横付けのポイントも多いので、寒さ知らずで楽しめることが多い。

他にも知多半島の各漁港や、鈴鹿~松阪にかけてのサーフ、漁港周りなども好ポイント。まだまだポイント開拓の余地がある釣りでもある。

ただし南に行きすぎると塩分濃度が高くなり、前述のクロアナゴばかりになる。ちなみにこのクロアナゴ、決してまずくはないが、小骨が多く食用には向かない……らしい。

アナゴ釣りのシーズン

アナゴは周年狙えるターゲットではあるが、主なシーズンは2回。夏の6~8月と晩秋から初冬の10~12月。夏シーズンは数は出ないものの、くれば型ぞろい。

晩秋~初冬はメソと呼ばれる新子が多く接岸するため、数釣りが楽しめる。

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かわいい顔して貪欲(提供:週刊つりニュース中部版・編集部)

アナゴの釣り方

最もポピュラーな釣り方がブッコミ釣りだ。複数本のサオを並べて、のんびりアタリを待つスタイルだ。道具をあまり選ばないし、ハリさえ適正のものを使えば高確率で釣果を得られる。

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数本のサオを並べる(提供:週刊つりニュース中部版・編集部)

他には足元から水深のある港湾部の釣り場に限られるが、イカダザオやテトラザオを使い足元を攻めるというもの。ブッコミに比べて誘いをかけやすく、渋い状況では食い込ませやすいというメリットもある。

アナゴ釣りのタックル

ブッコミ釣りで使うタックルは、極端にいえば投げられるものであれば何でも良い。ただし砂浜や足場の高い釣り場でない限り、あまり長いものや硬いサオは使いにくい。長さは3mまでで、軟らかめのものが使いやすい。振り出しのコンパクトロッドやバスロッドなどが好適。

逆に遠投する必要がある砂浜では、3~4mクラスの投げザオがお勧めとなる。

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こんなビッグサイズも(提供:週刊つりニュース中部版・編集部)

リールは小~中型のスピニング。ドラグを使う釣りではないので、安価なもので十分だ。ラインはアタリが出やすいPEラインがお勧め。

あまり細いものは堤防の角などに擦れると、いとも簡単に切れてしまうので1~1.5号ぐらい巻いておくと安心だ。

PEラインの先には絡み防止のため、先イトとしてフロロカーボン4号を50~80cmほど結束しておく。

アナゴ釣りの仕掛け

仕掛けだが、キス釣りのようにテンビンを使っても良いし中通しオモリの1本バリでも良いが、現場で簡単に作れるのが中通しの1本バリだ。シンプルな仕掛けなのでトラブルも少ないし、根掛かりで切れたときも復旧しやすい。

オモリは、中通しのオタフクオモリが海底で安定する。先イトにオモリを通し、サルカンを結ぶ。その先にハリを結んだハリスを結ぶだけだ。

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両天秤にダブル(提供:週刊つりニュース中部版・編集部)

ハリは今の季節なら小型のアナゴが多いので、丸セイゴ8~9号辺りが妥当。ハリスは細くする必要は全くないので、2~3号を15cmほど取る。ハリスが長いとアナゴを抜き上げたとき、体にぐるぐるに巻きついてしまうので、短ハリスが鉄則だ。何なら10cm以下でも全く問題はない。

アナゴ釣りのエサ

エサは、ムシエサと切り身エサがメイン。ムシエサはアオイソメが一般的だが、購入時に選べるなら細めのものにしよう。1匹丸ごと刺して使う。

また高価だが、イワムシも効果的。ハサミで3cmほどに切って使う。このイワムシの体液が、アナゴには抜群に効く。

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ムシエサ(提供:週刊つりニュース中部版・編集部)

切り身では、なるべく脂分の多い魚を使いたい。イチオシはサンマ。生でも冷凍でも干物でも良いので、三枚におろして1cm幅に切り塩をまぶして水分が抜けて固くなったらタッパーに入れて冷凍庫へ。1回の釣行で余っても、また冷凍庫へ入れておけば次回使えるので非常にリーズナブルなエサだ。

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切り身エサ(提供:週刊つりニュース中部版・編集部)

他にもサバやイワシ、イカでもOK。以前ブリの切り身を使ったことがあったが、皮が固すぎてアタリは出ても全く食い込まなかった。

その他用意するもの

まず夜釣りなので、ヘッドライトは必需品。今はキャップのひさしに挟み込むタイプのものもある。また移動を繰り返す釣りではないので、ランタンでも良い。

サオを複数本並べてアタリを待つので、小さめの三脚などがあると便利だ。

そのままでは風で倒れてしまうので、水くみバケツに水を入れて重し代わりぶら下げておくと安定する。

フタ付きバケツは、釣れたアナゴを泳がせておく。フタがないとアナゴが脱走してしまうので、必ずフタ付きを使うようにしよう。次の日まで生かしておくなら、エアポンプをセットしておく。

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フタ付きバケツに入れる(提供:週刊つりニュース中部版・編集部)

他ににおいのキツいエサを使うので、消臭効果のあるウエットティッシュや手拭きタオルもあった方がいいだろう。またアナゴは手でつかんでもヌルヌルして、ハリを外しにくい。ピストル型のハリ外しがあると非常に便利だ。

他足場の良い堤防でもライフジャケットの着用は必須だ。

アナゴの時合い

釣り方は非常に簡単。エサを付けて左右遠近に投げ分けて待つだけ。よくサオの本数を増やせば、その分釣果がアップすると思われるかもしれないが、アナゴは非常に時合いがはっきりした魚。アタリが2本同時に出ることなんて珍しくないので、多くても3本までにしておこう。それ以上になるととても面倒を見ることができない。

アナゴの時合いは日没直後に集中することがほとんど。今なら午後6時~7時がそれに当たる。そこからよく続いても、9時までが勝負と考えよう。もちろんその後も単発で釣れることはあるかもしれないが、時合いにはほど遠い釣れ方となる。いかに日没後の時合いをモノにするかで、釣果が大きく変わる。

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時合いに集中して釣れる(提供:週刊つりニュース中部版・編集部)

アタリの出方

アタリはサオ先に明確に出る。アタリが出たらサオを手に持ち、そっとイトを張って待ってみよう。PEラインを使っていると、アナゴの捕食の感覚がはっきりと伝わってくる。

アナゴは、エサをかすめ取るのが非常にうまい。もしかするとカワハギ並みのエサ取り名人かもしれないのだ、アワセどころは、グッグーッと持っていかれたとき。しっかりリールを巻きながらサオを立てるだけで良い。

掛け方にコツあり

ゴツゴツとエサを捕食する手応えだけで、食い込んでいかないときに取る手段は2つ。ひとつはサオ先を下げてイトを緩ませてやること。抵抗がなくなって一気に食い込んでいくことがある。

もうひとつは逆に、イトを引いてエサを動かしてやること。その場でガツガツエサを食っていたアナゴは、エサが逃げると思い慌てて追いかけて一気に食い込んでくる。

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一気に抜き上げる(提供:週刊つりニュース中部版・編集部)

このいずれの誘いでも空振りに終わることも多々ある。それほどハリに掛けることが難しい魚でもあるのだ。

ファイトの仕方

掛かったらポンピングはせずに、一定の速度で巻き上げて一気に抜き上げよう。釣ったアナゴは決して地面に置かないこと。そのままぶら下げて、バケツの上でハリ外しを使ってバケツの中にポトンと落とす。地面に置くと暴れて、仕掛けもミチイトともにぐちゃぐちゃになってしまう。

アフターフィッシング

ウナギと同様、アナゴをさばくのに抵抗のある人も多いと思う。だが案ずるより産むが易しということわざもある。まず目打ち用の千枚通しと小さめのナイフを用意しよう。もちろんクギと小出刃でも良い。

絞めたアナゴの目に千枚通しを刺し、まな板に固定したら肩口から刃を入れ、背骨に沿って尻尾の方に引いてくる。背骨に当たる感覚を常に感じるように引いてくる。

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見事本命キャッチ(提供:週刊つりニュース中部版・編集部)

お腹まで開いて内臓と取り、今度は背骨の下に刃を入れて背骨を浮かせるように引くと背骨を外すことができる。

簡単に書いたが、最初は必ず失敗する。だが大事なのは数をこなすこと。5匹目ぐらいからそこそこサマになってくるはずだ。もちろん失敗しても、アナゴの味は変わらない。さばきが上達するためにも、たくさん釣っておいしく食べていただきたい。

<週刊つりニュース中部版・編集部/TSURINEWS編>

この記事は『週刊つりニュース中部版』2025年12月5日号に掲載された記事を再編集したものになります。

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