名古屋港周辺のアジングといえば「渋い」「釣れない」が合言葉になりつつある今季。ようやくポツポツと釣果が聞こえはじめたものの、依然として厳しい状況が続いている。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・刀根秀行)
潮変わりがチャンスタイムか
当日の名古屋港の天気は晴れで風は無風。気持ち良さそうな好条件だが、この日は満月。光量が多い夜はアジが散りやすく、それが関係あるのか船長からも「渋いと思います」との声。覚悟した目標は“1時間1匹”。
それでも今季初出船とあって期待は高まる。海面は鏡のように滑らかで、月明かりに照らされた光景は幻想的。ベイトは目視できなかったが、ライブスコープ上にはしっかりアジの反応が映っている。潮は19時から23時にかけて上げから下げへ。流れが変わるタイミングがチャンスだろう。
アタリあるも掛けきれない
まずは1gジグヘッドに自作ワーム「シクス」をセットして投入。自分にはアタリだけで終わったが、中乗りのサカケン氏はあっさりと1匹目を確保。
その後は34の「プランクトン」「オクトパス」などを中心にローテし、0.8~1.8gまで重さも変更。反応は出るものの、掛けきれない繊細な展開が続く。
ポイント移動で待望のアジ手中
最初の一匹以降中々釣れないため近場に小移動。ここは昨年サカケン氏が巨キジハタを上げた思い出のポイント。岸壁ギリにキャストし、フリーで落として任意のレンジを探ると、暗から明へ抜ける瞬間にアタリが多発するポイント特性は一箇所目と同じ。
しかし、こちらは底付近にアタリが多いのが特徴だった。流れは多少あるものの0.6gジグヘッド(こまめちゃん)+プランクトンで成立しそうだと判断し投入したところ、一投目で待望のアジをキャッチ。これで一気に肩の力が抜けた。
ワームカラーをローテ
ここからはコンスタントにアタリが出はじめ、ワームカラーの答え合わせを実施。意外だったのは、濃い緑系だけ極端にアタリがなく“外れ色”だったこと。
岸からのアジングでは今年の春以降ほとんどアタリすら出なかった名古屋港で、これだけ反応があるのは素直に嬉しい。サイズは25cm超えが出なかったものの、数は十分楽しめた。
伊勢湾奥アジングの展望
近年の伊勢湾奥、とくに名古屋港周辺は“釣れないシーズン”が続いている。春先から初夏にかけても例年のような群れが入らず、数が極端に少ない。良いポイントに入っても反応が乏しく、たとえ生命感があってもアタリまで持ち込むのが難しい状況が長く続いていた。
加えて、寒くなってきた最近は知多方面でさえも「釣れる場所で、釣れる人が、やっと拾える」レベルにまで難易度が上がり、エリア全域でアジングのハードルが一段と高くなっていた。
名古屋港の岸釣りに至っては、今年は“アタリが一度も出ないまま終わる日”が珍しくないほど。多くのアジンガーが心を折られ、足が遠のくほどの不調ぶりだった。
今後の復調に期待
そんな背景があるからこそ、今回のアールホリック号での釣果は、数字以上の価値がある。船長は「今日は数が出ない日」と評価していたが、岸の壊滅的な状況からすればこの日のアタリの多さは十分に“希望”と言えるレベルだった。
サイズは小さいものの、回遊性が高い魚体は引きは強く、掛ければしっかり楽しませてくれる。そして何より、長い低迷を見てきた身からすると「満月でこれだけアタリが出た」という事実そのものが嬉しい。ここ1年ほど閉ざされていた伊勢湾奥のアジングだが、アールホリック号はその扉を再び開いてくれる存在だ。
初心者でも、久々のアジングでも、伊勢湾奥の“今”を手にさせてくれる船。沈黙していた名古屋港に、少しずつ灯りが戻りはじめている——そんな希望を感じた一夜だった。
<刀根秀行/TSURINEWSライター>
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