大都会の前海は汚染されて魚も棲めないようなところだと思われがちですが、実際はむしろ名漁場であることが多いです。
(アイキャッチ画像提供:茸本朗)
「魚庭」ってどこ?
日本第二の人口規模を誇る関西都市圏の中心都市・大阪。その前海である大阪湾には、都市圏を貫流する淀川や大和川の水が注ぎ込みます。
しかし実際はそういったことはなく、淀川河口域には非常に多くのクロダイやスズキ、ボラなどの魚が泳ぎ、時期になればウナギやアユの稚魚も遡上します。砂の中にはたくさんのシジミが転がっており、専門に獲る漁師もいます。
そもそも古くから大阪湾は豊富な魚介類が水揚げされる豊かな海として知られており、魚庭と呼ばれていました。これがなまって「なにわ」と呼ばれるようになったとも言われています。
日本一の空港の横は美味しい魚貝類の宝庫
日本一であり世界有数の大都市である東京の前海・東京湾。こちらも海域によっては汚染が問題となっており、先のオリンピックの際にもその汚さが注目されましたが、ここもまた豊穣の海でもあります。
東京湾岸における最大の構築物といえば、日本一の空港である羽田空港ですが、これがある羽田の海はかつて「日本一の漁場」と言われたこともある場所でした。奥まった東京湾(江戸湾)には広大な干潟が広がり、とくに多摩川が大量の泥を運んでできた羽田沖の干潟は数多くの貝類や海藻類、それを餌にする魚たちが集まったのです。
現在でも羽田空港沖では漁業が行われており、そこで獲れるアナゴは超一級品としてブランドになっています。
伊勢湾が誇る日本一の海の幸とは
東京、大阪に次ぐ第三の都市圏・中京圏の前海である伊勢湾。ここも大阪湾や東京湾同様、豊穣の海となっています。
伊勢湾が全国に誇る水産物といえば「海苔」。
他にも広大な干潟が育む数多の貝類、南部に広がるリアス式海岸で養殖される真珠貝ことアコヤガイなど、様々な水産物が採れる豊かな海なのです。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
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