世界中に広がり続けるマイクロプラスチック。その「よりヤバいやつ」が魚に悪影響をもたらすことが判明しました。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
マイクロプラスチック
かつて「夢の素材」と言われたプラスチック。日々の生活に欠かせない存在で、代替品を探すのは容易ではありません。コンビニで袋を貰い損ねたり、ファーストフード店で紙ストローを使われたりするとついついイラッとしてしまう人も多いでしょう。
しかしこのプラスチック、かねてから指摘されてきたように、地球規模の環境問題を引き起こしています。その原因は「マイクロプラスチック」。
プラスチックは微生物によって分解されにくく、酸化などで変質しにくいため、細かくなってもプラスチックとしての特徴を保持します。細かくなったプラスチックを「マイクロプラスチック」と呼びますが、これがいまや地球上の大気圏内全てに存在し、生物たちの体内にもどんどん溜まっていっているといいます。我々の体も、その汚染を受け続けているとみられています。
なぜ海に多い?
そんなマイクロプラスチックですが、特に海洋における汚染が問題視されています。
プラスチックは軽くて水に浮き、錆びることもないので、船や漁具、港湾施設の材料として重宝されています。しかし素材としては脆く、衝撃や太陽光の紫外線などで粉砕されていきます。その結果、マイクロプラスチックとなっていってしまうのです。
海洋に漂うマイクロプラスチックの過半数が漁業関係に由来するという説もある一方、環境の厳しさから代替品への置き換えは陸上の道具よりも難しく、海洋プラスチック汚染の解決は容易ではありません。
魚にもたらす悪影響
しかしそれでも、できるだけ早くこの問題を解決しないといけない理由があります。
マイクロプラスチックがより細かくなり、目に見えないほどのサイズになったものを「ナノプラスチック」と呼びます。このナノプラスチックはあまりに小さいため、微生物の体内にも容易に取り込まれてしまいます。
そして先日、長崎大学などの研究により、ナノプラスチックを取り込んだ微生物を食べたタイの稚魚についてその生存率が大きく低下することが判明しました。生存した個体でも生理的なストレスの影響を受けていることが示唆されるなど、かねてから推測されていた「マイクロプラスチックが生物に悪影響をもたらす」という論が事実であることが確実になったといえます。
これはおそらく魚だけの話にはとどまらず、食物連鎖に関わる全ての生き物、もちろん我々人類も含むその全てが、マイクロプラスチックによるなんらかの悪影響を受けている可能性があります。
全てが明らかになるころには手遅れになっているかも知れず、できるだけ早いうちに環境中のマイクロプラスチックを取り除くことを考えなくてはならないでしょう。個人的には、ある程度の不便は我慢して、プラスチックの使用を低減していくしかないのではないかと考えています。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
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