日本の食卓に欠かせない魚であるタラ。身近で安価な魚として認識されていますが、実情はお隣の大国によって左右されてしまうもののようです。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

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日本の食卓を支えるタラ

我が国には「これは食卓に欠かせない」という魚がいくつかありますが、北日本における「タラ」はそのひとつでしょう。我が国で消費量の多いタラにはマダラとスケトウダラがありますが、いずれも非常に重要な食用魚です。

冬の食卓を支える「タラ」の価格はロシアの気分次第 安価な大衆魚は過去の話?
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スケトウダラ(提供:PhotoAC)

タラはさまざまな形で販売されますが、もっとも馴染み深いのはフィレまたは切り身です。前者はフライにされて海苔弁やハンバーガーの具材に、後者はちり鍋など鍋の具材に欠かせません。

他にもカチカチに干した棒鱈やポン鱈を水で戻して里芋などと煮る料理は正月料理として親しまれています。またマダラの白子は高級珍味として、スケトウダラの卵巣はタラコや明太子の原料として忘れてはいけないものです。

スケトウダラは半分がロシア産

そんなタラですが、乱獲による資源量の減少や、海洋環境が変わったことにより水揚げが大きく減少しています。そのため国内での需要を国内で水揚げされたものだけで賄うことができず、海外からの輸入に頼っている状態です。

なかでも大きな割合を占める輸入元がロシア。我が国が輸入するスケトウダラの実に半分がロシアからの輸入品だそうです。

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スケトウダラすり身(提供:PhotoAC)

スケトウダラは「すり身」の原料など加工品としても重要な位置を占めています。すり身加工品は中国から輸入しているものも多いのですが、ロシア産のスケトウダラを中国で加工したというものも多くなっています。

かまぼこやさつま揚げなどの練り物はスケトウダラのすり身を使うことが多く、ロシアのスケトウダラがないとこれらの生産は成り立ちません。またロシアのウクライナ侵攻が始まってからは、欧州によるロシアへの制裁の影響もあってすり身の国際価格が高騰し、練り物メーカーが苦境に陥ることもありました。

マダラの価格はロシア次第か

もうひとつの重要種であるマダラも、ロシア産が我が国の需要を支えています。そしてこちらも、近年は安定とは程遠い状況にあります。

2017年まで、我が国の冷凍マダラ輸入先は品質に定評のあるアメリカが最多となっていました。しかし2020年ごろからより安価なロシア産の輸入が増え、近年ではアメリカ産を逆転しトップとなっていました。

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マダラフィレ(提供:PhotoAC)

そんな中、昨年は世界的にマダラが不漁となり、輸入需要が高まりました。アメリカ産は自国内の需要を満たす形になったなか、アメリカ産に頼っていた欧州の需要をロシアが狙い撃ち。円安で購買力を失っている日本への輸出を絞ったと見られています。

結果として我が国の昨年度のマダラ輸入量は激減し、価格は高騰。冬の安価な白身魚というマダラのイメージは、ロシアの動向に左右される形となってしまっているのです。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

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