近年の日本では、春と秋が極端に短縮され、夏と冬が長期化する「二季化」が明確になりつつある。昨年はこの「二季」という言葉が流行語大賞候補になったこともある。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・井上海生)
二季化の影響は?
二季化の訪れとともに、特に注目すべき点は、春と秋が担ってきた「緩衝期間」が失われつつあることである。従来、この移行期は水温が安定しやすく、多くの魚が浅場へ接岸し、釣りが成立しやすい時期であった。二季化は、この最も重要な期間そのものを圧縮、あるいは消失させる方向に進んでいる。
簡単にいえば、極端に海水温が上げ下げしやすくなったので、従来の「端境期」とでもいうべきものがなくなり、海水温の変化に敏感な魚が一時的に全く釣れない時期が来るかもしれない。
海水温の極端化が魚の行動を変える
海水温は陸上の気温変化よりも遅れて反応するが、その影響は確実かつ蓄積的に現れる。近年は水温の上昇・下降が緩やかに推移する期間が短くなり、ある時期を境に急激に変化するケースが増えている。この極端化は、魚類の行動パターンに直接的な影響を与える。
多くの魚は明確な適水温帯を持ち、その範囲内でのみ活発に摂餌や回遊を行う。水温が急激に上昇、あるいは低下すると、この適水温期間は大幅に短縮される。
その結果、接岸や離岸のタイミングが大きくずれ、回遊魚ではシーズンそのものが短期化、あるいは年ごとの変動が激しくなる。釣れる年と釣れない年の差が拡大するのは、この構造的変化によるものである。
魚種の入れ替わり、ターゲットの変化
二季化と水温上昇の進行により、釣れる魚種の構成も確実に変わりつつある。黒潮の影響を受けやすい南方系魚種は北上傾向を強め、一部は定着段階に入り始めている。一方で、低水温を好むメバルやアイナメといった寒冷系魚種は、生息域の縮小や個体数減少のリスクを抱えることになる。
これは単なる「珍しい魚が釣れるようになった」という話ではない。長期的には、地域ごとの定番ターゲットそのものが置き換わっていく可能性を意味する。従来の釣り方やタックル、シーズン設定が通用しなくなり、釣り人側にも適応が求められる局面が増えていくのである。
情報収集力が問われる時代へ
二季化が進行する最大の影響は、「例年この時期が良い」という経験則の崩壊である。長年の蓄積によって形成されてきた季節感は、水温変動の不安定化によって信頼性を失いつつある。その代わりに、短期間だけ爆発的に釣果が伸びる「短期集中型シーズン」が増加している。
今後の海釣りでは、過去の成功体験に依存するだけでは不十分である。水温データ、潮流、直近の釣果情報などを総合的に分析し、変化を前提に判断する力が重要となる。
二季化への対応が釣果を分ける
日本の二季化は、釣りの難易度を上げる一方で、観察力と対応力を備えた釣り人にとっては新たな可能性を生む要因ともなり得る。海釣りは今、明確な転換点に立っているのである。
しかしそんな中でも、新しい環境に適応して再び経験を積むことで、新たなシーズナルパターンが自分で発見できるはずだ。
何もかも悪い方向に転がるわけではないので、二季化を悲観せず、これまでのようにうまく対処していきたい。
<井上海生/TSURINEWSライター>
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