ちょっとラブリーな見た目の変なサメ「ナヌカザメ」。食べてみたら絶品でした。
(アイキャッチ画像提供:茸本朗)
7日も生きる!?変なサメ
先日、定置網漁の見学にお伺いした際、とある変わったサメをお土産に頂戴しました。そのサメとは「ナヌカザメ」。
サメと聞くと多くの人が「鋭く尖った牙を持つ、大きくて獰猛な肉食魚」を想像されるかと思います。しかしこのナヌカザメはまさに正反対で、大人しくてのんびりと泳ぎ、手づかみしても噛みついてくることもありません。そのまだら模様と体型も相まって、まるでオオサンショウウオの仲間みたいなマッタリした印象を受けます。
漁師さんの言うところによれば「陸に上げても7日間死なないからナヌカザメ」なのだそう。本当に七日生きながらえるかはわかりませんが生命力は強いそうで、内臓を取り出した後でも海に逃げ帰ってしまうことがあったそうです。
不思議な特徴をもつ
このナヌカザメは、水深数百メートルほどの深海に多く生息する「深海鮫」の一種です。そのため他の深海鮫と同じように、油脂で肥大した巨大な肝臓を持っています。
サメの仲間は浮袋を持たず、肝臓の油脂分の浮力で体を浮かべています。水深が変化すると浮袋が水圧に負けて変形してしまうので、普通の魚は深海から浅海に上がってくることはできないのですが、サメは浮袋を持たないため浅い場所まで回遊してきます。岸からかけられた定置網にナヌカザメが入ってくる理由はここにあります。
またナヌカザメはサメ類の中では特徴的な「扁平で幅広の頭部」そして「伸縮性のある太い腹部」を持っていますが、これは敵に襲われたときに「海底の障害物の隙間に逃げ込み敵の侵入を防ぐ」ために使われるという俗説があります。
実際にそのような動きをしているのかはわかっていませんが、釣り針に掛かると「はじめ根掛かりしたかのように重くなるが、諦めずに引っ張り合いをしているとやがて根負けして上がってくる」そうなので、障害物の間に逃げ込み体を膨らます習性はあるのかもしれません。
食べたら自分もスタミナ抜群に?
さてそんなナヌカザメ、味の方はどうなのでしょうか。そもそもサメを食べるの? とびっくりする人もいるかも知れませんが、サメ類はしばしば食用とされており、このナヌカザメも新潟などではある程度流通しているといいます。
それでも評価の方を調べるとあまり芳しくなかったのであまり期待せずに食べてみたのですが、口にしてみるとびっくり。まるで「スルメイカや貝」のような味がしたのです。
ナヌカザメは他のサメと比べると皮下のゼラチンの層が厚く、火を通すと心地よい舌触りと弾力を生みます。更に筋肉の「柔らかくも歯ごたえのある食感」が火を通したときのスルメイカそっくりで、アンモニア臭さもなく非常に美味しく食べられました。
サメはゼラチン豊富なためか「スタミナ食材」と言われることがよくありますが、このナヌカザメを食べれば7日間……とは言いませんが数日は元気に過ごせるのではないかという気がしました。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
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