漁業に大きな負の影響をもたらす赤潮。これを「生物農薬」の技術で処理する技術が完成するかもしれません。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
「海の死神」赤潮
ここ数年、我が国の漁業に大きなダメージをもたらす存在があります。それは「赤潮」。
特定の海域で植物プランクトンの一種が大量発生する現象で、海が赤く見えるために赤潮と呼ばれています。この時海の中では、プランクトンたちやその死骸を分解する微生物たちが大量の酸素を消費するため酸欠状態となっており、あらゆる生き物が窒息してしまいます。
赤潮は内湾などの海水が逗留しやすい場所で発生しやすいのですが、このような場所ではブリやタイなどの養殖、あるいはウニやホタテなどの高級品の漁が盛んに行われています。そのため赤潮によって漁業被害が出やすく、大きな損失に繋がることもあります。
赤潮はなぜ発生する?
赤潮原因プランクトンは植物の一種なので「肥料」があると大きく成長します。彼らにとっての肥料は、我々ヒトが排出する生活・工業排水です。
我々の暮らしの中で発生する排水は、植物プランクトンの餌となる窒素・リンを大量に含んでおり、河川を通じて海に排出されています。海水中のこれらの成分濃度が高まると、プランクトンが大量に増殖します。その中には赤潮の原因となるプランクトンも含まれており、結果として赤潮につながってしまいます。
加えて近年の気候沸騰や海洋温暖化も赤潮を起こしやすい環境に繋がっており、ここ数年は毎年のように大きな漁業被害が発生しています。ヒトによる総合的な環境破壊の結果が、我々に牙を剥いているのです。
赤潮を破壊する生物農薬が誕生か
しかし、そんな赤潮を直接的に「破壊」できるかもしれない技術が、このたび生み出されました。
赤潮原因プランクトンの最も代表的なものに「カレニア・ミキモトイ」というものがあります。このカレニア・ミキモトイに好んで寄生するプランクトンが、2020年に東北大学などのグループによって発見されていました。
このプランクトンは「アメーボフリア」と呼ばれるグループの一種で、その後の単離・培養技術の開発とそれを使った実験により、カレニア・ミキモトイへの高い殺藻効果が確認されたのだそうです。
今後より研究が進めば、このアメーボフリア属プランクトンを人工的に散布することで赤潮を解消することができるようになるかもしれません。
<脇本哲朗/サカナ研究所>
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