真冬の海は、ライトゲーム対象魚にとって過酷な環境である。水温の低下は代謝機能を大きく低下させ、遊泳能力や捕食頻度にも直接影響を及ぼす。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・井上海生)
水温低下が引き起こすアジの移動
真冬に顕著なのが、魚の「水平移動」よりも「垂直移動」である。表層は外気温の影響を強く受け、水温変動が激しい。一方、深場は水温が安定しやすく、急激な冷却を避けることができる。そのため、アジもメバルも浅場から深場へとポジションを移す傾向が強くなる。
特に港湾部では、数メートルの水深差で水温が明確に異なる場合があり、この差が魚の集散を決定づける要因となる。
真冬のアジは「群れ」を維持する
アジは低水温期でも群れ行動を維持する魚である。これは捕食効率ではなく、外敵回避と環境適応のためであると考えられている。真冬のアジは、潮通しが良く酸素供給が安定する深場に群れを形成し、長時間その場に留まる傾向がある。
また、港湾部に残るアジは外洋回遊個体ではなく、居着きに近い性質を持つ群れであることが多い。これらの個体は、環境変化に対する耐性が高く、同じエリアで越冬するケースが確認されている。
アジが底寄りに定位する理由
真冬のアジがボトム付近に定位する最大の理由は、水温と流速の安定である。底層は表層に比べ水温変化が緩やかで、強い流れを受けにくい。
このため、常夜灯周りであっても表層には浮上せず、光の届く範囲内の下層で留まる行動が多く観察される。
メバルは「定着性」がさらに強まる
メバルはもともと定着性の強い魚であるが、真冬になるとその傾向はさらに顕著になる。行動範囲は極端に狭まり、テトラ帯や岩礁帯の隙間、縦ストラクチャーの影など、物理的に守られた空間を選択する。
これらの場所は潮流の直撃を避けられるだけでなく、外敵から身を守る効果も高い。真冬のメバルは「隠れること」が生存戦略の中心となるのである。
根に着く理由とエネルギー効率
メバルが根にタイトに着く理由は明確である。低水温下では遊泳によるエネルギー消費が大きく、無駄な移動は致命的となる。ストラクチャーの際に身を寄せることで、最小限の動きで流れてくる餌を得ることができる。
また、岩礁やテトラ帯は昼夜を問わず水温変化が少なく、越冬場所として非常に適している。
共通点は「深さと変化のある場所」
真冬のアジとメバルに共通する居場所の条件は、「浅場ではないこと」「水深があり水温が安定していること」「地形や構造物による変化があること」である。単調な砂地やフラットエリアは、冬季には生息密度が著しく低下する。
深さ、構造、潮、この三要素が重なる場所こそが、真冬に魚が集まる理由である。
真冬は魚の存在が最も明確になる季節
皮肉なことに、真冬は魚の行動が最も分かりやすい季節でもある。生存に適した場所が限られるため、魚は分散せず、環境条件の良いポイントに集中する。
沿岸から釣ることは適水温から考えても困難となってしまうが、いずれ春がくる。水温が上がってくれば再び浮上してくるので、今はそれを待つしかない。温排水周りなどを探す方法もあるが、人間の体感としても「寒くて釣りどころではない」というのが本音だろう。今は魚の行方を思い、竿を休めるときかもしれない。
<井上海生/TSURINEWSライター>
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