美味しさの褒め言葉として「甘い」と表現される魚介があります。これらはなぜ甘く感じるのでしょうか。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
イカが甘い!
イカの刺身ほど「新鮮さが大事」な食材はありません。少しでも鮮度が落ちれば生臭みと不快な歯応えに成り下がってしまいますが、鮮度がよければサクサクとした歯切れとともに、口の中に甘みが広がります。
特に高級イカとして知られるケンサキイカやアオリイカ、コウイカの獲れたての刺身は、口に含むとあまりの甘さに驚いてしまうほど。ヤリイカも釣ったその日に食べれば濃厚な甘みが感じられます。
これらのイカの甘みは、もちろん砂糖や果糖などの糖類(単糖類)によるものではありません。グリシンやアラニンといった旨み成分のアミノ酸が多いことが理由で、これらが多く含まれているものを口にすると「甘みがある」と錯覚してしまうのだそうです。
エビが甘い!
甘い魚介類といえば「甘エビ」を忘れてはいけません。標準和名をホッコクアカエビあるいはホンホッコクアカエビというこれらのエビは、生で食べるとハッキリとした甘みを感じます。
この甘みもまた、グリシンやアラニンに由来するものです。ホッコクアカエビのほか、ボタンエビとして知られるトヤマエビ、ブドウエビなどはこれらの旨みアミノ酸を多く含んでいます。
しかしイカと違い、これらのアミノ酸は「死後」に多くなります。エビは死ぬとすぐに自らの消化酵素で筋肉が分解され、そのときにこれらのアミノ酸が生成されます。なので生きている時よりも、死んで少し経ってからの方が甘く感じられます。
アマダイが甘い!
魚の中でもっとも「甘い」と表現されるのはおそらくアマダイでしょう。
アマダイが甘い理由は2つの要素があるとされています。一つはこれもまたグリシン、アラニンなどの旨みアミノ酸で、他の魚と比べアマダイには多く含まれているといいます。
そしてもうひとつが「脂」。アマダイに含まれる上質な脂肪は融点の低い不飽和脂肪酸であり、これが舌の温度で溶けて広がる時、我々の舌は「甘み」の感覚を得るのだそうです。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
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