魚の仲間には「鉄砲」と呼ばれるものがいくつかありますが、身近な池にいるあの魚もその一つです。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

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「飛び道具」を使う魚

「鉄砲」と魚の間には一見すると関係性がなさそうですが、実は魚の中には鉄砲という言葉を冠するものがいくつかあります。中でも最も有名なものがテッポウウオです。

鉄砲(てっぽう)と呼ばれるサカナたち 「当たると死ぬ」が由来?
鉄砲(てっぽう)と呼ばれるサカナたち 「当たると死ぬ」が由来?
テッポウウオ(提供:PhotoAC)

テッポウウオは亜熱帯から熱帯域にかけての淡水・汽水に生息する小型の魚です。水族館でも人気のこの魚、最大の特徴は「口から水を噴出する」ことです。

彼らは水中の生物であるにも関わらず、水上にいる小さな昆虫類を主要な餌の一つとしています。水中から水鉄砲のように水を噴出し、餌を撃ち落として食べるためにこのような和名が付けられています。ちなみに英語名はアーチャーフィッシュ(射手の魚)です。

鉄砲のように「当たれば死ぬ」魚

このテッポウウオのように「鉄砲」が標準和名についているわけではないですが、我が国においてはより知名度の高い「鉄砲魚」がいます。そう「フグ」です。

鉄砲(てっぽう)と呼ばれるサカナたち 「当たると死ぬ」が由来?
鉄砲(てっぽう)と呼ばれるサカナたち 「当たると死ぬ」が由来?
トラフグ(提供:PhotoAC)

フグは和食における最高級食材のひとつで、特に漁獲の多い西日本では古くから愛されてきました。その一方で全身に強い毒を持ち、古くから多くの人の命を奪ってきた食材でもあります。

そんなフグに対して昔の人達は「フグは食いたし命は惜しし」という言葉を残しました。命がけでも食べたい、でももし当たったら死んでしまうから怖い……そんなアンビバレンツな感情を表現したのが「てっぽう」という呼び名なのです。

鉄砲と呼ばれている淡水魚

さて、最後に紹介する魚は、ここまでのふたつと比べると「鉄砲」と呼ばれることを知っている人は格段に少ないと思います。しかしその魚自体の知名度はめちゃくちゃ高い、その魚の名前は「フナ」です。

フナは香川県の一部地域で「てっぽう」と呼ばれることがあります。理由を調べて検索してみても「なぜかそう呼ばれている」という表記が見つかるだけで釈然としないのですが、実際に現地に赴いて話を聞いてみると面白いことが聞けました。

鉄砲(てっぽう)と呼ばれるサカナたち 「当たると死ぬ」が由来?
鉄砲(てっぽう)と呼ばれるサカナたち 「当たると死ぬ」が由来?
ギンブナと思しきフナ(提供:PhotoAC)

香川には、酢締めにした魚をネギ、そして根菜と和えた「てっぱい」という料理があります。現在はコノシロなどの海水魚を使うのが一般的ですが、かつてはフナを使うのが人気だったそうです。

このてっぱいは「鉄砲あえ」がなまったものなのだそうですが、この場合の鉄砲とはネギのこと。銃身に似ているためこのように呼ばれているのですが、この料理を鉄砲あえ(てっぱい)と呼んでいるうちにフナのこともてっぽうと呼ぶようになったのではないか、ということでした。

やがてフナ食文化そのものが薄れ、名前の由来も忘れられてしまったということなのかもしれません。ちなみに筆者はフナのてっぱいを自作してみましたが、海水魚で作ったものよりも味が濃く美味しいと感じました。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

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