厳冬期の一か月、あえて釣りを自粛している。理由は単純である。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・井上海生)
水温一桁の現実
水温一桁台の海は別世界である。ベイトは散り、魚のポジションは深く、口を使うタイミングも極端に短い。経験上、この時期に安定した釣果を求めるのは酷である。もちろん腕を磨く意味で通う選択肢もあるが、身体への負担も大きい。冷たい北風の中で数時間立ち続けるのは、修行に近い。
ならばいっそ潔く休む。魚も休んでいるのだから、自分も休養期間に充てる。そう割り切っているものの、釣り人の性分として海が恋しくなるのは避けられない。SNSに流れる釣果写真を見ては心が揺れるが、今は我慢の時間である。
道具の見直し
竿を振らない代わりに、タックルと向き合う時間を増やす。まずはラインの巻き替えである。シーズン中は後回しにしがちな細部を丁寧に整える。スプールエッジのチェック、ドラグの洗浄、リーダーの号数見直し。フックはサイズごとに整理し、鈍ったものは迷わず交換する。
ルアーボックスの中身も総点検である。使用頻度の低いカラーを入れ替え、春に効きそうなナチュラル系を補充する。ジグヘッドのウェイトバリエーションを揃え、ワームの在庫を確認する。こうした作業をしていると、不思議と次の釣行が具体的にイメージできる。準備は退屈を紛らわせる最高の処方箋である。
個人的にこの冬はチニングタックルを買い足した。筆者のメインフィールドである大阪南港は、年中チヌの魚影が濃い。
情報収集期間
冬は動かずとも、頭は動かす。地図を広げ、過去の釣行ログを見返し、春に魚が差すであろうラインを想像する。干潮時の写真を確認し、ブレイクや沈み根の位置を再認識する。潮位と風向きの組み合わせも整理する。
特に楽しみなのが、バイクでの機動力を活かしたポイント開拓である。泉南方面の細かな漁港や小場所は、車では入りにくい場所も多い。バイクなら身軽に移動でき、短時間で複数箇所を見て回れる。実釣せずとも現地に立ち、地形と立ち位置を確認するだけで大きな収穫である。春爆に備えた布石は、すでにこの時期から始まっているのである。
メンタル整理
釣れない時期に無理をすると、焦りだけが積み重なる。結果を求めすぎると釣りが義務になる。
春の夕マヅメ、潮が動き出し、待望のアタリが出る瞬間を想像する。メバルの金属的な引き、チヌの重量感、アジの連発。そんな妄想を膨らませながら、静かな冬をやり過ごす。この一か月の我慢があるからこそ、春の一匹がより価値を持つ。春の新しい魚を手に入れたときには、思わず声が出るに違いない。
暇である。しかし必要な暇である。海が目覚めるその日まで、準備と妄想を重ねて待つ。それもまた釣りの一部なのだ。この二月はにわかに暖かい日が全国的に続いているが、海の海水温上昇は遅い。
<井上海生/TSURINEWSライター>
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