春は陸っぱりからのエギングでアオリイカが狙える季節!産卵のために岸に寄ってきた大きいアオリイカも釣ることも夢ではない。今回はそんな春イカをゲットするためのタックルや攻略法を紹介しよう。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 山根充伸)
春のアオリイカ
春に狙えるアオリイカは、冬の間に産卵のため沖の深場で体力を蓄えていた親イカたち。水温の上昇に合わせ、ひと潮ごとに岸近くの海藻が生えたエリアへと集結してくる。この親イカは産卵前は活発に餌を取るが、産卵に入ってしまうと捕食も少なくなるため、この時期は釣行のタイミングや場所選びなども重要になる。
また、成長したイカは警戒心も高いので、決して簡単なシーズンではないものの、ハマれば十分数釣りも狙え、釣れれば良型なのが春イカの魅力だ。そんな春イカを釣るためのポイントやタックル、釣り方のコツを解説していこう。
春イカの時期
春にアオリイカが釣れる時期の一つの目安は水温。沿岸の水温が、産卵がはじまるとされている18℃近くなると期待値がグッと高くなる。
地域差も大きい
そのため春イカの時期は地域によってもかなり差が出てくるのが特徴。暖かいところほど早く産卵がはじまり、黒潮の影響を受けやすい紀伊半島の和歌山、三重や高知、徳島、暖かい九州などの地域では冬の2月頃からはじまる場所もある。
逆に寒い地域ほど遅くなり、北陸など雪解け水が流れ込む地域や、水温が上昇しにくい瀬戸内海などの内湾は梅雨前までズレ込むことも。また、東北や北海道など産卵の条件が整わず親イカ狙いが成立しない地域もある。
その他の目安になる情報
水温が18℃と言われてもピンと来ない人も多い。釣具店や釣り仲間などからピンポイントで釣れている情報を得られればベストだが、その他にはティップランなどアオリイカを狙う船の釣果情報で水深10m近くの浅場で釣れ始めた……といった情報や、乗っ込みシーズンが似ているクロダイの釣果情報なども目安になる。
春イカの時間帯
時間帯については朝夕のマヅメ時が実績が高く、マズメ時を絡めて釣行するといいだろう。また、昼と夜なら警戒心が下がる夜のほうがどちらかといえば釣りやすいが、夜釣りの場合でも釣り場の海藻の場所などの確認が必要になるので、明るいうちから釣り場に入るようにしよう。
潮の動きも重要で、潮が流れているタイミングのほうがアオリイカの回遊に出会える可能性が上がる。
春イカのエギングタックル
続いて春のエギングに最適なタックルを紹介しよう。

春エギングのロッド
この時期のアオリイカは比較的沿岸近くのシャローで釣れるのだが、ポイントによっては遠投が必要になる。遠投の効く8~9ftクラスのエギングロッドがお勧めで、できるだけ持ち重りのしない軽量なロッドを選択しよう。
硬さは大型のエギを使うことや、良型とのやり取りを考えてMクラスが一般的。とはいえMLクラスの柔らかいロッドを使うのもエギをソフトに動かしやすいため神経質な春イカには有効になる。また、超大型のアカイカが混ざる温暖な地域ではM以上を使おう。
春エギングのリール
リールは2500~3000番クラスのシャロースプール(浅溝)タイプのスピニングリールで、ドラグ性能のいいものをセットしよう。ハンドルはシングルでもダブルでも、使い慣れたものでいい。
ラインとリーダー
ターゲットが大型のイカになることや、ウイードエリアを中心に攻めることが多いので、PEラインの0.6~0.8号を使う。視認性が良く、強度のあるものを150~200mほど巻いておこう。
リーダーはフロロカーボンの1.75~2号を1~1.5ヒロほど取り、強度のある摩擦系ノットでPEラインと結束しよう。リーダーとのジョイントにスナップを付けておくと、エギの交換が楽に行える。
その他のアイテム
エギや小物を入れておくショルダーバッグやウエストバッグのほか、昼の海中の観察と目の保護のための偏光グラスは必須。また大型のイカを取り込むためのギャフやタモなど。他に万が一の落水に備えて、ライフジャケットも必ず着用するようにしよう。
春イカ用のエギ
エギに関しては大型のアオリイカを狙うので、3.5~4号を選択する。タイプとしては、シャローのウイードエリアをメインに攻めていくので、スローシンキングのシャロータイプとノーマルのエギを中心に揃えよう。
エギのカラー
カラーはナチュラル系のもの、ピンク、オレンジ、チャートなど派手カラーやダーク系のものを使い分ける。最近は各メーカーからいろいろなデザインやカラーのエギが発売されているので、自分で気に入ったものを使うことから始めよう。

重要なポイント選び
基本的に春のアオリイカは、オス・メスのペアから数10匹の群れでいる。産卵のためシャローのウイード(藻場)エリアを意識しながら沿岸域を移動しているので、狙うポイントは当然絞られてくる。
ディープでも釣れるが、比較的岸近くのシャローまで接岸してきているので、周囲にホンダワラやアマモなどウイードが茂っている堤防や藻場、テトラ帯やサーフなどが有望ポイントになる。底が砂地でも産卵床となるウイードがあればいいポイントになる。

この時期、釣り人が思っている以上に岸近くまで寄っているので、釣り座の足元や湾奥部のシモリが点在する水深1mほどのドシャローに、大型のイカが群れで漂っていることもある。「え、こんな所にいるの?」と思うような超ドシャローを観察し、イカを探してみるのも面白いだろう。
春エギングの基本的な釣り方と流れ
一般的な釣り方はキャストしたエギをボトム付近まで沈め、シャクリを入れた後のフォールで抱かせるのが基本だ。だが、秋イカと同じような釣り方をしていたのでは親イカを手にすることは難しい。

この時期は秋イカを釣る場合のアクションよりも優しくソフトに行い、シャクリの回数を少なくフォールスピードも遅くする。長い距離を追わせずにエギを抱かせるような釣りに徹することがキーになる。基本的な流れをシュミレーションしつつ春イカの釣り方を解説していこう。
ポイントの確認方法
まずは中規模な漁港の堤防外側に立ち、偏光グラスで海中をのぞいてみよう。足元は水深5mで、10mほど沖まで高さ約2mのホンダワラがびっしり生い茂っている。その沖には所々にホンダワラが生え、海底のシモリにはワカメとカジメが群生している。さらにその沖は急なブレイクになっており、イカの回遊ルートになっている。
キャストとアクション
釣り座でタモ入れができるか確認したら、まずは3.5号のシャロータイプのエギをチョイスし、沖のブレイクめがけてキャスト。着水点の水深は約10mなので、フリーフォールで沈めると約60カウントでボトムだ。
着底後2~3回ほど縦へのシャクリを入れ、テンションフォールでアタリを待つ。これを繰り返しブレイクをクリアしたら、ホンダワラ群のエッジまではボトム付近から中層までを、小さなシャクリ&テンションフォールで探りを入れてみる。
横方向のアクション
アタリがなくエギがホンダワラ群に接近してきたら、引っ掛からないようにホンダワラの藻面(もづら)の上まで浮上させ、後は海面から藻面までの間をスローでストロークの大きな横方向のダートアクションを折り混ぜながらじっくり探る。

エギが足元まで戻ってきたらピックアップ。再びキャストの方向を変えて狙ってみるといった具合だ。簡単ではあるが、これが春イカを狙う基本的な釣り方になる。
ランディング
デカイカがヒットしても決して慌てないこと。イカが引けばロッドのバットでため、止まったらリールを巻いてとにかく早く海面に浮かせてしまおう。後はラインテンションを緩めずに、ゆっくり足元まで寄せてくる。
ゆっくり寄せることでペアリングしていたイカや、他のイカが掛かったイカを追ってくることがあるからだ。2人以上で行動している場合は、連携して釣ってみよう。フィニッシュはタモを使って確実にランディングする。資源保護の観点から、出来る限り雌はリリースを試みたいところだ。
春イカ攻略の6つのコツ
基本的な釣り方が分かったら、続いて春イカを釣るためのコツと気をつけるポイントを紹介しよう。
スタイルは待ち伏せ
ショアエギングでは、ポイントや釣り場をどんどん移動して攻めていくラン&ガンスタイルと、回遊してくるイカを1カ所で狙い撃つ待ち伏せスタイルがある。春の親イカの場合、ラン&ガンよりも待ち伏せで狙った方が手にできる確率が高いと思う。
これは待ち伏せすることで、その釣り場の潮の流れやベイトの動きなどの変化を感じ取ることができ、活性の高いイカの回遊に遭遇することが多々あるからだ。ただポイントの選択を間違えると、丸ボウズを食らってしまうことがあるので、注意が必要だ。
ボトムを攻める
春はイカよりも藻の類を釣ることが圧倒的に多い。これは一年の中で冬から初夏にかけて、最も海藻が成長する時期でもあるからだ。このことから、エギをロストする確率が春以外のシーズンと比べ、格段に高くなるのは当然のこと。
高価なエギをロストするのは痛手だが、ロストを恐れてボトム付近のウイード周辺を狙うことを避ければ、春イカに出会う確率は極端に下がってしまう。ロストを恐れずエギは消耗品だと割り切って、ボトム付近をしっかり攻めよう。
エギを通すライン
待ち伏せスタイルで釣る場合、エギを海藻に引っ掛けてばかりいると、イカがエギに警戒心を持つようになってしまう。

海藻を引っ掛けたエギを猛スピードで回収することで、イカがスレてしまうことがあるので、ウイード付近を狙う場合は、藻面をボトムだと思って海面と藻面の間のライン(タナ)を通すようにしよう。
アクションはソフトに
春イカを狙う場合、あまり激しくシャクらない方がいい。縦方向のシャクリなら2~3回、横方向へのダートなら3~4回、スラックジャークなら2~3回を目安に、状況に合わせてシャクリの回数や幅、スピードやストロークを変えていくようにしよう。春イカはとにかく優しく、ソフトにが基本だ。

フォールはスロー
基本イカはエギのステイ中かフォール中にしか抱いてこないが、春イカは沈下速度の速いエギは追わない。なるべくスローシンキングのエギを使おう。

フォールさせる場合は、できるだけラインにテンションをかけたまま沈めるようにするといいだろう。アクションを入れた後は、ロッド操作でエギの沈下を抑えつつ、手前に寄ってきたら徐々にロッドを立てていき、エギが水平方向にゆっくり移動するよう操作してやるのも、春イカには効果絶大だ。
ボトムステイも有効
ステイは少し根掛かりのリスクを伴うが、エギをボトムにしばらく置いてやること。これも効果絶大で、ウイードのエッジ付近の根掛かりしにくい場所があれば、30秒から1分ほどステイさせ、エギから伝わる釣り人の気配を断ち切る。

ただしこの場合のアタリは、イカがエギを連れ去ってくれない限りラインにアタリが出ないので、シャクリを入れたら乗っていたということが多い。
<TSURINEWS編集部>
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