釣りエサの代表といえば、「オキアミ」と答える人は多いだろう。釣れる魚種の多彩さや手頃な価格から、多くの釣り人に選ばれている。
(アイキャッチ画像撮影:週刊つりニュース関東版 編集部・堀内)
オキアミとは
そもそもオキアミとは何なのか?
“オキアミ(沖醤蝦、英: krill)は、軟甲綱 真軟甲亜綱 ホンエビ上目 オキアミ目に属する甲殻類の総称。形態はエビに似るが、胸肢の付け根に鰓が露出することなどで区別できる。プランクトン(浮遊生物)である”(「オキアミ」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2019年8月29日 (木) 20:17 UTC))
姿はエビそのものなのに、エビではなくプランクトンだというのは驚きだ。エビに似ているけどエビではない。果たして味はエビに似ているのだろうか?
意外と多いオキアミ食レポ
ネットで調べてみると、釣行後にあまったオキアミを食べている人がかなり存在する。また、某釣り餌総合メーカーは、オキアミ類を原料とする食品などの提案を行なっている。
ほかにもオキアミのレシピを公開している釣り餌取り扱い企業も!オキアミは人が食べても問題なさそうだ。
食用のオキアミを探す
エビっぽいのにエビじゃない。しかも食用にできるとは、ますますオキアミに興味が湧いてきた。釣り餌用のものを口にするのは憚られるので食用とされているものを探そう。
まずは近所のスーパーへ行き鮮魚コーナーを見て回る。ブラックタイガー、バナメイエビ…。

あっ、それっぽいのがあるではないか!パッケージ裏をよく見てみると「アキアミ」とある。アキアミ?オキアミじゃなくて?
調べてみよう!
“アキアミ(秋醤蝦、Acetes japonicus)はサクラエビ科に分類されるエビの一種。日本を含む東南アジアの内湾域に生息する小型のエビで、食用や釣り餌などに利用される。”(「アキアミ」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2019年8月29日 (木) 20:20 UTC))
こちらはエビの仲間。オキアミ同様釣り餌にも利用されているが別物だ。

食用のオキアミは売っていないのだろうか?
仕方ない。もう釣り餌でいいや。でもお腹を壊すのはごめんだ。食べても大丈夫そうな商品を探そう。
釣りエサのオキアミは食べられるのか?
釣り餌として売られているものは、魚へのアピール力強化のために着色剤や、防腐剤などが添加されている場合があり、食用には適さないようだ。
だが漁獲時にトロール船内で急速冷凍された無加工のものは、人に有害なものは添加されていない。
オキアミを観察する

まったく釣りをしないので、オキアミを見るのは初めて。じっくり観察してみよう。
今回購入したのは「南極産 オキアミLサイズ」。オキアミの大きさは3~6センチほど。一見するとエビっぽいが、確かにエビとは違う。若干虫っぽいような。
それと印象的だったのは眼。エビよりも体に占める眼の割合が大きいような気がする。体の色はエビよりも若干白っぽい。
しかし何の前情報もなしに見たら、完全にエビだと思うだろう。
オキアミのから揚げの作り方
まずは凍ったオキアミを解凍だ。電子レンジの「半解凍」メニューで一気に解凍のはずが何分やっても全然溶けない。現在時刻23時。
若干熱が入ってしまったが、ブロック状に凍っていたオキアミがほぐれだした。これでやっと調理ができるぞ!
メニューは「オキアミのから揚げ」だ。

1.解凍したオキアミを流水でよく洗い、キッチンペーパーなどで水気をよく拭き取る
2.オキアミに満遍なく片栗粉をまぶし、180℃の油でカラッと揚げる。
3.熱いうちに塩を適量振って、完成!

実食

見た目は完全に居酒屋メニューでおなじみの「小エビのからあげ」だ。においはエビよりも強く感じる。意を決してひとつ口に入れるとエビじゃんコレ!おいしい!
ただ少し油っぽくて若干クドイような。ちょっと胸焼けがするような。揚げ油はちょっといいやつ使っているんだけどな。
私は自他共に認める味音痴。多少まずくても大抵のものはおいしく感じてしまうのだ。
株式会社週刊つりニュース社員で実験

この日は週刊つりニュースの暑気払い。みんな釣り好きな人たちで、オキアミとは長い付き合いだ。オキアミと聞くと釣りエサを連想してしまい、食べるのをためらうのでは?と思ったが、結構カジュアルにポイポイ口に運んでいる。よかった!味の感想を聞いてみよう!
代表取締役社長
「普通におつまみ。噛めば噛むほど、エビっぽい旨味が出てくる。居酒屋でそれっぽい器に盛ってお通しで出せば、みんな「美味しい」って食べそう。塊の状態を想像するとちょっときつい」
週刊つりニュース編集課長 S藤さん
「食べる前に「オキアミ」と言われてしまうと、どうしてもエサやコマセのブロックを想像してしまう。口に入れた瞬間は衣や味付け?のせいか、エビを思わせるが、噛むとオキアミ独特の臭いが口のなかに広がって無理。揚げてとか、かき揚げなら、オキアミと聞かずに食べたらイケるかも」
週刊つりニュース編集部 S家さん
「口に入れた瞬間はエビっぽいがエビより全体的に存在感が薄い。不味くもないが美味くもない。インパクトなく、残念な感じ。
デジタル編集長 K菊さん
「食べた率直な感想は、エビだけどちょっと脂っこい?かな。オキアミ・アミエビなどのキーワードの事前共有が無ければ、違和感は特に無いです。ピールに最適!南極産おつまみ!と、出されたら注文してもいいかも」
週刊へらニュース編集部 A生さん
「湿気を含んで、しんなりしたカッパエビせんのよう。風味はエビせん以上で食欲をそそる」
みな「におい」について言及しているのが気になるところ。好みが「あり派」と「なし派」に別れた。
次のページでオキアミの悪夢が…
オキアミの「におい」
調理中や食べている時はあまり気にならなかったオキアミの「におい」だが、その後1週間ほどは帰宅して玄関ドアを開けるとオキアミフレーバーがお出迎えする状況に陥った。くさい。部屋がめっちゃオキアミくさい。
我が家は24時間常に空気清浄機を着けているし、キッチンは調理後すぐに掃除を行い綺麗にしていたのにも関わらずこの状態。部屋ににおいが染み付いてしまったようだ。
なるほど。
オキアミとは、味はイケても臭いがきついから食用ではなく釣りのエサなのか。妙に納得してしまった。
オキアミ食はあり?なし?
価格は安く、味はエビのようでおいしいので「あり」だが、入手の手間やその後のにおいのことを考えると、わざわざオキアミを食べず、普通にエビを買ったほうがいいだろう。
結論としては、「オキアミ食うならエビ食べろ」だ。
<堀内/TSURINEWS・関東編集部>