10月7日、キス投げ釣りの全国ナンバーワンを決める「第40回G杯争奪全日本がま投(キス)選手権(主催:がまかつ)」の決勝大会が石川県かほく市の高松北部海岸で行われた。時間内に投げ釣りで釣ったキスの尾数で勝敗を決するルールで、全国の予選を勝ち抜いた30人の精鋭が集結。

決勝では10投全てでキスを掛けた小島健治選手が終始ペースを維持し、初優勝を飾った。

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(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

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全日本がま投(キス)選手権

全日本投げキス選手権決勝戦レポート 小島選手が初優勝!【石川県】
当日の参加者(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

前日まではかなり荒れていた現地。前日に試し釣りに入ったメンバーによると、かなりキスの食いは渋くタフな戦いになる事が予想された。

ただ、その波も当日朝にはかなり落ち着き、早朝6時からの予選では30人の猛者たちがその腕をふるうのには十分な条件となった。参加者は全国の予選を勝ち抜いた27人に、昨年同大会の上位3人を加えた30人。

予選は3回戦方式

予選は3回戦方式で、3つに分けられた各エリアに10選手が入って釣り、1時間30分ごとにエリアを交代する。全員が3つのエリアで釣りを終えた段階で、釣ったキスの尾数で順位を決定する。各エリアで上位2選手が午後から行われる決勝戦へとコマを進めるルールだ。

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予選のシーン(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

まだ少し波が残る中で行われた予選では、近投で着実に小型キスを1尾ずつながら釣り上げる選手や、思い切った遠投で連掛けを狙う選手など、思い思いの戦略を展開。

トラブルも続出

ただ、前日までの荒れた状況の影響か、切れた海藻などが漂い、試合序盤には、横への流れが激しく道糸の海藻が絡んだり、仕掛けを流されてのオマツリなども発生し、ラインブレイクやトラブルなどに見舞われる選手もいた。

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近くで釣るのはオマツリ防止策(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

ただ、前日の試し釣りに比べるとキスの食いはかなり回復しており、あちらこちらで小さいながらもキスが釣れて、1投目から4連、5連と連掛けができたエリアもあった。

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キスが連で砂浜へ(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

予選通過の面々

その結果、予選A組からは小竹永泰(富山県射水市・35尾)と昨年の覇者である米田和人(石川県加賀市・33尾)が、予選B組からは知久馬勉(福岡県福岡市・28尾)と森健治(兵庫県神戸市・25尾)が、予選C組からは長澤昇(愛知県安城市・33尾)と小島健治(神奈川県中部大磯町・29尾)の各選手が決勝へ進出した。

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決勝進出を決めた6選手(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

決勝進出は6人、遠投で連掛け

午後12時半からスタートした決勝は本部前のエリアを使用。ここは予選では使用してい,ないため、新しいフィールドとなる。決勝はクジ抽選で決定した順に本部前から浜へと入る事ができるルール。

海に向かって右から、知久馬、長澤、小竹、小島、森、米田の各選手が順に並んでのスタートとなった。

午前中に比べるとさらに波は落ち着き、状況は良さそうだ。森選手を除いた、5選手は遠投で、森選手のみが近投で開始をしたが、すぐに小島選手と小竹選手がオマツリのトラブル。しかし、上げてきた両選手の仕掛けには、キスが連で掛かっている。

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遠投で攻める小島選手(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

スタートからしばらくは、他の選手も1尾、2尾と回収するたびにキスを釣り上げ、釣り合いの様相となり、ほとんど差は見受けられない状況。最後まで息を抜けない状況下、歓声が上がると4連、5連の他点掛けに成功した選手の姿が見える。

遠投でのメリットとデメリット

森選手も遠投に切りかえると、全員が遠投での釣りになり、その分1回の投入に時間がかかる。ここで、連掛けをすれば一気に数が伸びるが、素バリを引いてしまうと大きなマイナスになる。

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4尾の連掛けに成功した小島選手(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

さらに釣れるキスは10cm未満の小型が多く、150m以上も先からのシグナルが届かない事も多く、キスの数釣りを得意とする面々もアタリが分からないと嘆いていた。

場所移動は自由だが、磯やアユ釣りの大会のように時間を決めての場所交代がない分、自分でさまざまな見切りやタイミングを考える必要がある。

場所移動も戦略の一つ

スタートから30分を過ぎると、場所を動き出す選手が出てきた。長澤選手は右手から中央、そして左端へと大きく移動を繰り返す。

各選手ともに釣っている場所でキスの食いが落ちると、少しの移動を繰り返していたが、小島選手は終始動かず。

その上で、仕掛けを回収するたびにキスが付いている。また、回収のたびに仕掛けを交換する念の入れようは凄い。1時間30分の中でも、200mほどのエリアで10人が投げ続けると、場荒れがするのか、中盤以降は徐々にペースが落ちてくる。さらに移動が激しくなったが、劇的な変化がないまま決勝戦が終了した。

小島選手が安定の23尾

決勝戦は釣ったキスを本部前に持ち込み、観衆の前で数を数えて、重量を測るシステムだ。連掛けがあったり素バリを引いたりで出入りの激しい釣りだけに、最終結果は数えてみるまで分からない。

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各選手が観衆の前で計数(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

結果、安定してキスを釣り上げ、中には連掛けも多かった小島選手が23尾(173g)を釣り上げて、小竹選手(20尾・150g)を押さえ、見事に初優勝を成し遂げた。3位には昨年の覇者・米田選手(16尾・194g)が入賞し、上位3人には来年の同大会へのシード権が与えられた。

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見事上位入賞した3選手(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

ちなみに4位には長澤選手(9尾・79g)、5位は知久馬選手(9尾・64g)、6位には森選手(5尾・27g)が入った。

小島選手のプロフィール

優勝の小島選手は、1968年生まれ。地元大磯で10歳の頃から釣りを始め、年間を通じて現在も大磯で四季の釣りを楽しむ。本格的にキス釣りを始めたのは35歳の頃で、現在も所属するチーム・三栄舎のメンバーに出会って、キス釣り競技の世界へ。過去、G杯には6回の出場経験を持ち、最高位は全国3位。

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優勝が決まり祝福を受ける(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

小島選手のコメント

優勝した小島選手に、優勝できた理由などを質問してみた。以下小島選手のコメント。

遠投でキスの居場所発見

予選から遠投で通し、7色(175m)から6色くらいでアタリが多かった事で、5色で回収。周りをしっかりと見て、近投で釣れているなら自分も近投に切りかえるつもりはしていたが、得意の遠投で、キスの居場所を見つけたので遠投での釣りに徹した。釣り方としては小刻みなストップ&ゴーの繰り返しで、アピールから食わせの間をしっかりと取るように心掛けた。

アタリがあれば止める

アタリがあれば、仕掛けが絡んでもいいので、そこで止めて追い食いを待ち、アタリがない、もしくは分からなければストップ&ゴーで5色まで引きずるなど工夫した。

小型キス対策

思ったよりもキスが小さかったので、最初はシロギスファイン3号を使用していたが、確実に食わせるためにさらに小さなワカサギ袖2.5号の仕掛けがあったので使ったみた。小さなキスに合わせてジャリメ(イシゴカイ)も、尻尾近くの細くて軟らかい部分を使った。

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小島選手の仕掛け(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

1投ごとの仕掛け交換

1投ごとに仕掛けをかえていたのは、古いエサを外して、交換するよりも新しい仕掛けに張り替えて、丁寧にエサを付けた方がいいと思ったから。とにかくエサ付けは丁寧に行ったのがよかった。

G杯はもちろん、キス競技の最高峰なので、優勝できて感無量。来年は自分の釣りに合えば結果は付いてくると思うので頑張ります。

<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>

▼この釣り場について
高松北部海岸
所在地:石川県かほく市

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