10月に入り、新子のアオリイカたちもサイズアップして楽しめるようになってきた。しかし陸っぱりでは釣り人が多く、釣り座の確保やイカのスレで、納得のいく釣りができなくなっているのも事実。

そこで今回は遊漁船やボートエギングよりも敷居が低く、ストレスなしに楽しめるイカダからのエギングにチャレンジしてみよう。

(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

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イカダでエギング

イカダには大きく分けて、魚やカキ、真珠などを養殖するイカダと、釣りをするための釣りイカダがあり、今回はこの釣りイカダを利用してのエギングについて解説していこう。

ここ東海エリアには幸いなことに太平洋側、日本海側ともに釣りイカダが多く設置されている。

イカダ釣りが初めてという人は本紙ワイド釣況欄などから釣行先を選び、エギングでの貸切が可能かどうか、問い合わせて出かけよう。

イカダは渡船店にもよるが、岸近くの比較的水深の浅い場所から、水深のある場所に設置したイカダがある。

今回の秋アオリエギングでは、底が砂地でドン深のイカダより、岸近くの水深10m前後のイカダに乗る方がいいだろう。実際初めて乗るイカダではそんなことは分からないので、底の地形やポイントを把握した渡船店に任せて渡してもらおう。

タックルと装備

秋のイカダエギングの基本攻略法4選 船より敷居低く混雑とも無縁!
今回のタックル図(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

ロッドは8ft前後の陸っぱりで使用するエギングロッドで十分。イカダは1度乗るとすぐには陸に戻れないので、トラブったときのことを考え、タックルは2セット用意しておくと安心だ。

リールは2500~3000番クラスのシャロースプール(浅溝)スピニングリールで、ドラグ性能のいいものをセットしよう。

ハンドルはシングルでもダブルでも、使い慣れたものでいいだろう。ラインは伸びがなくアタリが取りやすいPEラインの0.6~0.8号。

強度があり、視認性がいいカラーのラインを50~200mほどリールに巻いておこう。リーダーはフロロカーボンの1.75~2号を1~1.5ヒロほど取り、強度のあるノットでPEラインと結束しよう。

エギはこの時期のアオリイカは小型~中型までサイズがバラバラなので、2.5~3号を中心にチョイスし、カラーはナチュラル系のもの、ピンク、オレンジ、チャート系などの派手カラーからダーク系のものを使い分けよう。

最近は各メーカーからいろいろなデザインやカラーのエギが発売されているので、自分の気に入ったものを使ってみるといいだろう。リーダーとのジョイントにスナップを取り付けておくと、エギの交換が楽に行える。

秋のイカダエギングの基本攻略法4選 船より敷居低く混雑とも無縁!
スナップを使おう(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

また潮が速かったり水深が深かったりすると、エギのウエートアップも必要になる。私はイトオモリをエギの先端に巻くことが多いが、アゴリグシンカーやノーズシンカーを装着してもいい。

装備としてはまずライフジャケット。海中の観察と目を保護するための偏光グラス。

触腕1本だけにハリ掛かりしたときや、良型のイカを取り込むためのネット。釣ったイカを生かしておくスカリもあれば、新鮮なイカを持ち帰ることができる。

あと突然の雨や風に備え、カッパなどの雨具も用意しておくといいだろう。これを着るだけで寒さをしのげる。

イカダ下の水深を知ろう

まずは乗るイカダの水深を、船頭さんから聞いておくこと。

これはとても大事なことで、イカダ下の水深を把握しておくと、岸向き、または沖向きにキャストしたときのエギのパッケージに表示されている沈下速度を目安に、カウントでボトムコンタクトがおおよそ推測できるからだ。

いよいよ実釣だが、ここで注意しておかなければならない点が1つある。イカダでは自分の立ち位置から岸向きを狙う場合、陸っぱりとは全く逆の状況になり、水深が手前にくるほど深くなっている。

そのことをしっかり頭に入れておかないと、自分がどのタナを探っているのか、分からなくなってしまうので注意したい。

基本的な釣り方

タックルの準備ができたら、まずはエギをキャストし船頭さんから聞いた水深とエギの沈下速度(ノーマルエギで約3.5秒/m)を目安にボトムまでフォールさせ、周囲にいるイカに沈んでいくエギを見せよう。

着底後はすぐしゃくる

着底したらラインを巻かず、軽くバシュッとシャクリを1回入れる。PEラインとエギの特性でエギが真上に跳ね上がり、根掛かりを回避しやすくなる。

またエギを見ていたイカは、この跳ね上がりひとつでスイッチが入るからだ。着底したラインはスラックを取るぐらいならいいが、それ以上巻いてしまうとエギがリーダーに引っ張られて根に掛かるリスクが高まるので要注意。

エギを跳ね上げた後はキレのある動きで、シャクリを連続で入れてみよう。
連続でシャクリを入れると、イカは猛ダッシュでエギのそばに寄ってくる。

フォール中は集中

シャクり上げた後はエギを再び底付近までフォールさせるのだが、ここからが一番集中しなければならないところだ。イカはこのフォール中にしかエギにアタックしてこないので、ラインをよく見てイカのアタリを見逃さないようにしよう。

アタリがなければ方向を変えてエギをキャストし、どんどん探っていこう。
イカダエギングの最大の魅力は、360度全方向がポイントとなることだ。

秋のイカダエギングの基本攻略法4選 船より敷居低く混雑とも無縁!
広く探っていく(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

イカダエギングの攻略法を紹介

基本的な4パターンを紹介。

1.アクション

アクションは陸っぱりの釣りと同じで、縦方向のシャクリなら2~3回、横方向へのダートなら3~4回、ショートジャークなら4~5回、スラックジャークなら2~3回を目安に、状況に合わせてシャクリの回数や幅、スピードやストロークを変えていくようにしよう。

2.ロープ周り

イカダは潮や風で動かないようロープで固定されている。イカダにもよるが、通常は四隅からロープが張り出し、海底に沈めたコンクリートアンカーに固定されている。

イカはこの固定ロープやアンカーに着いていることが多いので、ロープにエギを引っ掛けないよう注意しながら狙ってみよう。

3.サイトエギング

キャストしたエギがイカダの近くまで戻ってきたら、ボトムから海面近くまで一気にシャクり上げてみよう。

活性の高いイカがいれば、海面近くまでエギを追いかけてくるはずだ。
偏光グラスをしていれば、エギを追尾してきたイカがよく見えるので、ここでは欠かせないアイテムの1つ。

イカがついてくれば、サイトエギングで抱かせてみよう。

4.バーチカルの釣り

水深が十分あるイカダでは、キャストしたエギがイカダの直下まで戻っても、すぐには回収せずボトムから中層付近でシャクリとフォールを入れて、そのままエギをぶら下げてみよう。

遠くからエギについてきたイカが、このバーチカル(直下)の誘いに乗ってくることが多々あるからだ。

ここでのキモはシャクった後のロングポーズだ。

イカダティップラン

ボートエギングでは、ヘビーウエートのエギを使ったティップランという釣法があることは、エギングをしている人なら知っていると思う。

実はこのティップラン、水深のあるイカダではかなりの威力を発揮してくれる釣法なのだ。

釣り方は簡単で、市販されているティップラン用の軽量ノーズ系シンカーを装着してキャストする。

着底したらシャクリ幅の小さな巻きジャクリ(シャクリを1回入れると同時にリールのハンドルを1回巻く)を一定のリズムで3~7回ほど入れ、すぐにラインを張ってロッドティップにテンションをかけ、エギがこちらに寄ってくるスピードと同調させるようにロッドを立てていく。

このときのエギの姿勢は横方向へスライドするいわゆる水平状態の状態で、5~10秒ほどアタリを待つ。

アタリがなければ再びボトムを取って同じアクションを入れる。

ただ、このイカダティップランでは、根掛かりでエギのロスト率が高くなるデメリットがあるので注意しよう。

秋のイカダエギングの基本攻略法4選 船より敷居低く混雑とも無縁!
イカエギングの基本の流れ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

アタリとアワセ

基本イカはアクション後のフォール中やステイ中にしか抱いてこないので、アタリが出るのはこのとき。

アタリはラインが跳ね上がったり、着底より早くラインがフケたり、張ったり引き込まれたりとさまざまだ。とにかくラインに変化を感じたらアワセを入れよう。

ティップランの場合は、アクションを入れた後の水平移動へ移行した瞬間に出ることが多く、即アワセが基本だ。

秋のイカダエギングの基本攻略法4選 船より敷居低く混雑とも無縁!
フレッシュな気持ちで(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

最後に

今回はイカダからのエギングについて解説したが、この釣りは陸っぱりから狙う場合とほとんど同じなので、エギング経験者には入りやすく、新たなフィールドを模索している人には新鮮だと思う。

またボートや乗合船を利用するより、リーズナルブルに釣行できるのも魅力。
この秋、イカダでアオリイカとの駆け引きを楽しんでみてはいかがだろう。

<週刊つりニュース中部版 編集部/TSURINEWS編>

この記事は『週刊つりニュース中部版』2019年10月11日号に掲載された記事を再編集したものになります。

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