年に1度は訪れたい川がある。日本で唯一、カラフトマスを釣ることができる北海道の道東・標津町を流れる忠類川だ。

ヒグマは怖いが、遡上したてのシロザケのパワーと背っぱりになったカラフトマスの格好よさに魅了されたなら、誰でもシーズンが待ち遠しくなる。

(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版 APC・藤崎信也)

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忠類川でカラフトマスを狙う

本州もサケを釣らせる河川はあるが、日時が限定された上、イベント的な要素が大きい。

それに比べて、忠類川では8月から11月の約3ヶ月間、調査休止日(木曜日)を除いて毎日楽しめる。7月下旬ごろから遡上が始まり、12月上旬までシロザケの産卵は続く。そんな忠類川を9月29日(日)~30日(月)に訪れた。

今年はカラフトマスが極端に少なく、すでに遡上は終わった印象。沿岸のサケ漁は漁獲量が例年比を大きく下回っており深刻な状況。不安はあったものの、釣行を決行。

1尾目は70cm超えのオス

5時すぎに現地到着。受け付け後、支度を済ませて開始時刻の6時を待つ。

駐車場に並ぶ車の半数はレンタカー。道民半数、遠征組半数で、単独釣行が少なくない。待っている間は、見知らぬ釣り人同士の釣り談義に花が咲く。

6時と同時に、思い思いの場所へ散っていく。

遡上が少ないことから、私は上流へ。

川へ入ってすぐの分流には10尾ほどのサケが入っていて、オス同士がケンカの真っ最中。メス同士も産卵場所を巡って争っており、これは釣れるパターンだ。サケは川に入れば摂餌しないが、異物を排除する排他行動で口を使う。

魚を目視確認してフライをサケの鼻先に通すと、一発でパクリ。5分ほどかけて何とか浅場に誘導してランディング。70cm超えのオスだ。この分流で3尾をキャッチ&リリースして上流へ。

当日最大の78.5cmをランディング

瀬が淵へと落ち込む、遡上するときに休憩場所になる流れ。よく見ると数尾が確認できる。川底を感じながらリトリーブすると、淵の中からフライを追ってくる。

3投後「根掛かりかな」と思ったらアタリ。深場から引きずり出すが、一気に下流の瀬に入られる。

50mも走らされ、10分かけてランディングしたのは、当日最大の78.5cmのオス。魚体の奇麗な個体はパワーが凄い。

『カラフトマス』求め北海道2days遠征釣行記 フライで最大81cm
29日最大の78.5cmのシロザケ(提供:週刊つりニュース関東版 APC・藤崎信也)

下の平瀬と合せて6尾の釣果。さらに上流へと移動し2尾追釣。11時半までに64~78.5cmを11尾。遡上してから時間が経っており魚体は傷付いている。

午後はフレッシュな魚を求めて最下流まで移動。しかし、これは大誤算。釣れないばかりか、魚影が確認できないまま、時間だけが過ぎていく。少し上流へ移動してシロザケ2尾を追釣し、16時過ぎに納竿。

初日の釣果

当日の釣果は、64~78.5cmを13尾。数的には文句なしだが、遡上が止まっているようで、どの魚も何度か産卵した後。それでも「サケ類でNO1」と言われるパワーを実感できて満足。

堤防やコンクリート護岸がない、手付かずの河川で釣りをするのが何より楽しい。昨年の大雨により倒木や流木が増えて釣り辛いように思うが、これも大自然。1度荒れて水が変われば遡上が期待できそうだが、今のところ魚影は少し薄いように感じた。

ヒグマ対策に林道は避け釣行

二日目の30日は朝から快晴。気温11・5度と清々しい。受け付けで前日の釣況を確認すると、やはり下流域は芳しくない。一方で「フレッシュなカラフトマスが2尾釣れた」の情報を得る。また、前日に上流で親子連れのヒグマが目撃されたとのこと。

そこで、管理棟から最も近い入口から入川し、河原を歩いて上流へ向かう。林道では出会い頭にクマと遭遇することがあるからだ。河原は歩きにくいが、遠くまで見渡せるので、ヒグマとの接近を予見しやすい。河原の広い河川では鉄則なので覚えておいてほしい。

小場所でメス&オス1尾ずつ手中

少し上流の淵っぽい小場所でスタート。前日、帰る途中に魚影を見た気がした場所だ。

キャストを始めて3投目にガツン。「根掛かりかな」と思ったら、数秒後、走りだす。下流は早瀬なので、力で走りを止めて一気に引き上げると64cmのメス。何度か産卵したらしく、無数の傷が痛々しい。

その5投後にもヒット。今度は上流の緩やかな流れに上って行く。つがいのオスだろうか、73.5cmあった。

平瀬でフレッシュなシロザケ3尾

上流が段々瀬、下流が平瀬の8畳ほどのプールへ。アップクロスにキャストすると、近くまでフライを追って来る。

次のキャストで、ガツンブルンのアタリはあったものの、10秒ほどでフックアウト。

だが、溜まっていそうなので粘る。2時間で3尾のうち2尾が婚姻色は出ているが、傷1つないフレッシュなシロザケだ。

上流で今回釣行最大の81cmオスをキャッチ

さらに上流へ向かう。流れが対岸に当たり、深くえぐれたポイントへ。

手前の浅場では、複数のペアが底を掘り返している。ここでは、ダウンクロスにキャストして扇状にリトリーブ。1時間半ほどで2尾をキャッチ。そのうちの1尾は、今釣行最大となる81cmのオスだ。

フレッシュな魚に出会え、80cmアップも取った。残るはカラフトマスを釣りたいところ。

最下流の平瀬で51.5cmのメスをキャッチ

河原で早めの昼食を済ませ、新しい魚の遡上を期待して、オデコ覚悟で最下流へ。途中でオス1尾を追釣し、最下流に着いたのは13時。

流れを確認するが、やはり魚影はない。仕方なく水深50~60cmの平瀬を探り始めると、5分ほどでスレ掛かり。キャッチはできなかったが、水面に現れたのはカラフトマスのメスだった。「ここに狙いの魚はいる」

その後は、ダウンクロスで扇状に広く探ると、待望の魚をキャッチ。尾が少しささくれ立ったメスの51.5cmだったが、諦めかけていただけに嬉しい。

二日目の釣果

その後、フレッシュなオス2尾とメス1尾のカラフトマスを追釣して、14時45分に納竿。

当日の釣果は48.5~81cmを12尾。内訳は、シロザケ8尾にカラフトマス4尾。前日と合わせて25尾は文句なし。

『カラフトマス』求め北海道2days遠征釣行記 フライで最大81cm
背っぱりのオスのカラフトマス(提供:週刊つりニュース関東版 APC・藤崎信也)

今後の展望

遡上が悪く、貧果を覚悟していたが来てよかった。釣果は伸びたが、魚影はかなり薄い。魚がいる場所は限られ、産卵場所のザラ瀬や遡上時に休憩場所になる淵など、的確にポイントを見つけないと釣果は望めない。それでも、魚のいる場所では、比較的口を使ってくれるので、釣果は場所次第のように思う。

釣行当日の羅臼沖の漁では今年一番の漁獲量だったとのこと。やっと知床の海にサケが戻ってきているようだ。

標津の海にはまだその回遊は届いていないが、10月中旬になればシロザケの遡上がピークを迎えるものと思われる。

<週刊つりニュース関東版 APC・藤崎信也/TSURINEWS編>

▼この釣り場について
忠類川
場所:北海道標津町 この記事は『週刊つりニュース関東版』2019年10月18日号に掲載された記事を再編集したものになります。

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