ニジマスはサケ科の淡水魚で、英名は「レインボートラウト」。スーパーやお寿司屋さんでよく見る「トラウトサーモン」は、多くがこの海面養殖を行ったニジマスで、実は釣りをしない人にとっても身近な魚です。

今回はそんなニジマスを美味しく食べるためのレシピを紹介。また、この魚を美味しく料理・保存するには水分を抜くことや臭み取りも重要になるので、食べ方以外にも下処理方法やさばき方、最適な保存方法なども徹底解説します。

(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版APC・藤崎信也)

ニジマスのレシピおすすめ14選 下処理・さばき方・保存方法も...の画像はこちら >>

ニジマスの下処理

ニジマスは水分が多いため傷みやすく、餌などの生育環境によってどうしても臭みのあるニジマスが存在します。そのため、釣り上げた後の丁寧な下処理も美味しく食べる鍵となります。まずは、釣ったニジマスの下処理方法を紹介していきましょう。

血抜きと締め処理

ニジマスの場合、血抜きや締めは省略してしまう人も多いですが、しっかり血抜きと締め処理を行うことで臭みが減り、鮮度の保ちもよくなります。まずナイフなどで脳天を刺して脳締めを行い、エラを切ったらバケツやクーラーの水の中(氷冷水で行うのが魚体も冷やせてベスト)などでエラを持ちながら魚体を振り放血します。可能なら神経締めまで行うといいでしょう。

また、血抜き時には管理釣り場に血を流すのはNG。釣り場を汚さないように、必ずクーラーやバケツの中か、さばき台で行うようにします。1匹1匹締めるほうが魚にストレスを与えずおいしさは保たれますが、数釣りが当たり前のエリアトラウトでは中々面倒。キープする魚を活かしておいて、締め→血抜き→ヌメリ&ウロコ取りまで釣り場のさばき台で処理してしまうとスムーズでしょう。

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ぬめり取り&ウロコ取り

たわしやステンレスたわしなどを使って魚体をゴシゴシこすると、ヌメリとウロコが一緒にとれます。水で流してヌメリがある程度なくなればOKです。この処理を行わないとまな板の上で魚が動いてしまい、さばきづらくなるほか、臭みの原因にもなります。

ウロコをとり流水で洗い流す(提供:週刊つりニュース関東版 小谷)

持ち帰るまでの保存

持ち帰るまでの保存の仕方は水に漬けておくのはNG。身が水を吸って美味しくなくなるほか、雑菌も繁殖しやすくなります。また、鮮度を落とさないよう保冷も必ず行いましょう。釣り場での下処理が終わったら、魚体から水気を拭き取り、袋などに入れ、氷を入れたクーラーボックス内で保存するといいでしょう。

ニジマスのさばき方

ヌメリ&ウロコが取れたらさばいていきましょう。包丁が苦手な場合は、ハサミでも代用できます。

頭を残す場合のさばき方

頭を残して串刺しにしたり、見栄え重視で料理する場合はこちらの方法でさばきましょう。

1.包丁をお尻から入れて下アゴの付け根まで刃を動かす。

腹に刃を入れる(提供:週刊つりニュース関東版 小谷)

2.エラと内臓を取る。

エラを取る(提供:週刊つりニュース関東版 小谷)

3.血合いに刃を入れて水できれいに洗い流す。

血合いを綺麗に洗い落とす(提供:週刊つりニュース関東版 小谷)

頭を落とす場合のさばき方

単純に身を使いたい場合はこちらのさばき方がオススメです。三枚おろしにする場合も頭は落としておきましょう。

1.胸ビレの後ろから包丁を入れて頭を落とす。

頭を切り落とす(提供:週刊つりニュース関東版 小谷)

2.腹側からお尻まで包丁を入れる。

腹に刃を入れる(提供:週刊つりニュース関東版 小谷)

3.内臓を取り、血合いに刃を入れてきれいに流す工程は同じ。

三枚おろしのやり方

小型のニジマスを焼き物にする場合はそのまま丸ごと焼いてしまってもいいですが、大型の個体の焼き物や刺身にする場合などは三枚おろしまで行いましょう。

1.中骨に沿って頭側から包丁を入れ、コツコツと中骨に当たっているのを感じながら尾側へ動かす。反対側も同様に行う。

三枚おろしにする(提供:週刊つりニュース関東版 小谷)

2.半身になったら腹骨を斜めに包丁を入れてすき取る。この際、最後は包丁の刃を立てて切る。

腹骨を取る(提供:週刊つりニュース関東版 小谷)

皮引きについて

刺身の場合や、皮が苦手な人は皮も引いていきます。端から包丁を立てて、皮を切らないように前後に振りながら動かしていきます。ニジマスの皮はとても柔らかいため、皮引きが苦手な人が多いかもしれません。その場合は端だけ包丁を入れて、後は手で剥くこともできます。

皮を引く(提供:週刊つりニュース関東版 小谷)

小骨(血合い骨)について

こちらも刺身で食べる場合や、小骨が苦手な人は取っていきましょう。小骨は三枚下ろしにした状態から指の触感と目視で位置を確認し、ていねいに1本1本毛抜きで小骨を抜いていきます。これはかなりの手間なので、どうしても面倒臭い人は、小骨部分を削いでしまうと簡単です。触れば大体の場所は把握できるので、そこの部分を思い切って切り取ると、身は少しもったいないですが、時短になります。

毛抜き等で血合い骨を除こう(提供:週刊つりニュース関東版 小谷)

ニジマスの保存方法

すぐに食べずに保存する場合は腐敗の原因となるため、内臓を取って血合いを洗い、エラを取る工程まで行いましょう。水気をしっかり取ってから、ドリップを吸収するキッチンペーパーに包み、空気に触れないようラップでもしっかり包んでからジップロックなどに入れ保存します。

冷蔵庫内ではなるべく低温のチルド室やパーシャル室で保存するといいでしょう。

冷凍保存する場合

冷凍保存する場合も水分を取ることと、なるべく空気に触れないようにすることが重要です。上記同様の処理でもいいですが、食品用脱水シートに包んだ上で空気に触れないように保存すると、冷凍・解凍時の身のダメージを抑えられるためオススメです。

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ニジマスのレシピ14選

続いてニジマスのオススメの食べ方と調理方法を紹介していきます。ニジマスを調理する際のポイントは水分が多い魚のため、水分を飛ばす調理の仕方で旨味を凝縮させること。水分とともに臭みも抜けるので、料理前のふり塩などは省略せずにしっかり行いましょう。

また、どうしても臭みがありそうな個体の場合は、「ハーブ焼き」や「西京焼き」など味や香りをしっかり加えて加熱する調理方法がオススメです。

塩焼き

塩を振って焼くだけの簡単な料理ですが、ポイントは塩の使い方。焼く前に塩を振って(お腹の中にも振る)馴染ませ水分を出しましょう。このときにお酒も振るとより臭いが取れて、焼き上がりもふっくら仕上がりやすいです。20~30分ほど置いたら、出た水分を拭き取ってからフライパンやコンロなどで焼き色が付くまで焼きます。

ニジマスの塩焼き(提供:TSURINEWSライターてる)

炭火焼き

キャンプ場に併設された釣り堀や、管理釣り場のBBQ場などで、炭火焼きにする機会も多いニジマス。身の水分を遠火の強火でじっくり飛ばせる炭火焼きは、一般家庭の調理器具で塩焼きにするよりも美味しく仕上がりやすいです。串打ちする場合、口から尾に向けて、中骨に絡めるように串を刺します。

口から尾に串を打つ(提供:週刊つりニュース関東版 小谷)

塩は前述の塩焼き同様に、塩をしてから少し置いたほうがベストです。

焼く前に化粧塩として全体に少量、尾やヒレには多めに塩を振ると綺麗に焼けます。まずは串を立てる形で、腹側が下になるように遠火で焼き、5分くらいしたら今度は背側を下になるようひっくり返しましょう。さらに5分くらいしたら、網に乗せて皮の両面に焦げ目をつけて完成です。

ニジマスの炭火焼き(提供:TSURINEWS関西編集部 平塚悠介)

一夜干し

一夜干しは水分とともに臭みが抜けるので、ニジマスに向いた調理と言えるでしょう。10%ぐらいの塩水+酒少々の漬け液に1時間程漬け込みます。水気をしっかり拭いたら、干物ネットで外干しするか、脱水シートに包んで冷蔵庫に入れ一晩程度乾燥させ、焼いて食べます。もっと干し時間をかけてしっかりと水分を抜いた干物にしても美味しいです。ただ、乾燥させるほど塩分も凝縮し塩辛くなるので、塩加減は注意しましょう。

ニジマスの一夜干し(提供:TSURINEWSライター松浦)

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ムニエル

ニジマスのムニエルも定番料理です。牛乳に10~20分程度漬けて臭みを取り、塩とコショウで下味をつけたら、薄力粉を全体にまぶします。あとはフライパンにサラダ油、無塩バターを入れて両面に焼き色が付くまで焼いたら完成です。

刺身

ニジマスは「サーモン」と同じ魚なので、刺身でも美味しい魚。脂が乗った大型のニジマスほど刺身は美味しく、エビやカニ等の甲殻類を食べて育った赤身の個体が特に評価が高いです。

作り方は三枚おろしにして、皮引き、小骨取りの工程まで行ったニジマスを薄く切れば完成。柵の状態でキッチンペーパーに包み2~3日ほど(毎日ペーパーは替える)水分を取りながら熟成させるのもオススメです。

また、カルパッチョなどにしても美味しく食べられます。

ただ、生食する際に気をつけたいのが寄生虫。管理釣り場の場合は食用に管理されている養殖魚が放流されているので安心して食べられる釣り場がほとんどです。しかし、河川や湖など自然環境下に放流されている魚は、放流後の居残り個体も増え、自然のエサを食べている可能性もあるので寄生虫がいる確率が上がります。刺身で食べる場合はマイナス20℃で24時間以上の冷凍を行ったほうがいいでしょう。

刺身はカルパッチョにアレンジしても美味しい(提供:週刊つりニュース関東版 富士村彩花)

ルイベ漬け

ルイベとは鮭やマスの刺身を凍ったまま食べる郷土料理。このルイベを調味料で漬けたものが「ルイベ漬け」で、北海道土産としても有名です。調理方法は一口大に切ったニジマスの半身の刺身を、白出汁小さじ2と塩麹小さじ2のタレに一晩ほど漬けます。

食べる時は醤油漬けのいくらも添えると味わいが増します。本来のルイベのようにわざわざ冷凍する必要はありませんが、冷凍すれば保存も利く利点も。また、そのまま熱々のご飯に載せて半解凍状態で食べるのも美味しいです。

ホイル焼き

ホイル焼きは切った食材を入れるだけなので簡単にできるレシピです。アスパラや玉ねぎ、しめじなど好きな野菜とニジマス、バターをアルミホイルに包みます。フライパンに少し水を張って、包みを並べたら蓋をして中火で加熱。

中の水が沸騰してから10分ほど経ったら出来上がりです。お好みでレモン汁や醤油、ポン酢をかけて食べましょう。

ニジマスのホイル焼き(提供:週刊つりニュース関東版 小谷)

西京焼き

白味噌に漬けて西京焼きにするのも淡白なニジマスに味を加えられるので美味しいレシピです。味噌に漬け込む前に、ニジマスの切り身に塩をして1時間ほど置き、しっかりと水分を抜いておくと味が染み込みます。漬け込む味噌床は白味噌200g程度に酒大さじ1、みりん大さじ1、砂糖小さじ1~2(好みで調整)を混ぜたもの。ジップロックやタッパーに味噌床を入れて、切り身が浸かるように2日ほど漬け込みます。

焼くときは味噌をキッチンペーパーなどで拭っておくと焦げ付きません。グリルの場合、シワをつけたアルミホイルに載せて中火で焼き色がつくまで焼きます。冷凍したまま焼いても水分が抜けているので味が落ちないので長期保存にもおすすめです。また、白味噌ではなく、普通の味噌で味噌床を作っても、味わいは少し変わりますが美味しく作れます。

ニジマスの西京焼き(提供:TSURINEWS編集部)

チーズ焼き

クセのないニジマスにチーズ、ピザソース、マヨネーズで油分と味を足すことで濃厚な味に。25cmほどのニジマス1匹を用意し、クレイジーソルトを振って下味をつけます。

ソースはマヨネーズ大さじ2、ピザソース大さじ2分の1を合わせたものを用意。フライパンにオリーブオイルを熱し、ニジマスを焼きましょう。両面に焼き色が付いたら火を止め、合わせたソース、マッシュルーム(適量)、チーズ(スライス2枚程度)を順番に乗せます。弱火で蒸し焼きし、チーズが溶けたら完成です。

ニジマスのチーズ焼き(提供:TSURINEWSライター藤倉聡)

管理釣り場で釣った魚で作るアレンジレシピ:ニジマスのチーズ焼き~ピザ風味~

天ぷら

3枚に下ろして皮を引いたニジマスを一口大に切り、粗びきの黒コショウを振りかけ5分ほど置きます。市販の水溶きタイプの天ぷら粉にくぐらせ、180度の油で揚げたら完成。一口大なのでおつまみにも向く一品です。

ニジマスの天ぷら(提供:週刊つりニュース関東版 小谷)

ちゃんちゃん焼き

鮭と同じくちゃんちゃん焼きにしても美味しい魚です。作り方は、まずニジマスを3枚に下ろして皮を引き、玉ねぎやにんじん、キャベツ、まいたけなどの野菜もカットしておきます。また、味噌・みりん・砂糖各大さじ2の混ぜタレを作りましょう。

ニジマスのちゃんちゃん焼き(提供:週刊つりニュース関東版 小谷)

フライパンでバターを溶かし、ニジマスを両面焼き色がつくまで焼いたら一度皿に移し、野菜を投入。野菜を軽く炒めたら、ニジマスの身を野菜の上に乗せます。コーンと味噌だれを回し入れたら、蓋をして加熱。野菜に火が通ったら、かき混ぜて出来上がりです。

ハーブ焼き

臭み消しにもなるハーブを使って焼くレシピです。ローズマリーをお腹に詰めたら塩こしょうして10分ほど置きます。ジャガイモ、ニンジン、タマネギなど付け合わせの野菜も用意するなら魚を焼く前のフライパンで焼いておきましょう。

ニジマスを焼くときは、フライパンで熱したオリーブオイルにスライスしたニンニクとローズマリーを入れ香り付け。にんにくがきつね色になったら焦げないうちにハーブと一緒に取り出し、ニジマスをフライパンに入れて弱火から中火でじっくり焼きます。両面に焼き色が付いたら白ワインを入れてふたをし、2~3分すれば完成。

付け合わせの野菜と一緒に、レモンとローズマリーを添えれば完成です。ホクホク食感とハーブの良い香りが口の中いっぱいに広がる逸品です。

ニジマスのハーブ焼き(提供:提供:週刊つりニュース中部版APC・伊藤拓摩)

骨せんべい

小型のマスの場合は三枚おろしで出た中骨を骨せんべいにするのもおすすめです。作り方はまず中骨に軽く塩をして10分ほど置いたら、出てきた水分を拭き取ります。170~180℃ぐらいの油で5分ほど焼き色を見つつじっくりと揚げれば完成。サクサクとした食感が楽しいおつまみにもなる一品で、生ゴミも減るのが嬉しいですね。

ニジマスの骨せんべい(提供:TSURINEWSライターてる)

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マスとば

マスとばとは、サケをカチカチに乾燥させた干物の「サケとば」を同じサケ科のニジマスで作ったもの。本来のサケとばは、調味液に浸けたあと、じっくり天日干しするものを指しますが簡単にオーブンでも作成できます。まず、半身にしたニジマス(小骨は抜かなくてもOK)を5cmぐらいにカットし調味料に漬けます。

マスとば(提供:週刊つりニュース関東版 小谷)

調味料は塩味なら適量の塩を振りかけ20分ほど馴染ませ、醤油味なら醤油、酒、みりん1・1・1のタレに30分程度漬けます。水気をキッチンペーパーでとってから、オーブンにクッキングシートを敷いて並べ、130度設定の、余熱なしで45分加熱。45分経ったらひっくり返して、もう45分加熱し、水分が完全に抜ければ完成です。

ニジマスの卵や白子の食べ方

秋~冬ごろの大型の個体からは卵や白子が取れることもあります。こちらも醤油や塩漬けにしていくらとして食べたり、白子ポン酢や白子天ぷらにして食べれば絶品。下処理は卵は熱湯をかけたのち、40~50度ぐらいのぬるま湯で汚れと薄皮を取り除いてから醤油などに漬けましょう。白子は血管を竹串でしっかりと取り除いたら、酒と塩で洗えばOKです。

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<TSURINEWS編集部>

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