まもなく紅葉の季節となる静岡県富士宮市にある田貫湖は、これから底釣りが面白くなる時期だ。だとすれば比較的水深が浅い同湖南側エリアが面白いので、今回はそちらに的を絞って紹介しよう。

なお実釣は水深2m強の南ボート桟橋で行った。

(アイキャッチ画像提供:週刊へらニュース 熊谷充)

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田貫湖の概況

相次ぐ台風による大雨で、オーバーフローが続く超満水状態の田貫湖。水がそうとう入れ替わったはずだが、落ち着きを取り戻すにはまだ多少の時間が必要みたいだ。現況では魚の食いはイマイチだが、それでも水温が上昇し始める午後からは食い気が立ってくるようだ。

毎年楽しみにしている新ベラ放流だが、10月28日の実釣取材時に確認したところ、現時点ではまだ放流日や放流量は未定とのことだった。だがスタッフは「今年も間違いなく放流しますから、楽しみにしていてください」と力強く答えた。

なお例年どおりの放流(毎年11月中旬~下旬のどこか)であれば、放流直後から数週間は釣り禁止(魚を休ませる)の期間が設けられる。行ったはいいが釣り禁止ではもったいないので、釣行前に確認するといいだろう。

ポイント(桟橋)

いつもは北側エン堤や神社前桟橋周辺を紹介していることが多いので、今回は湖の南側に的を絞って紹介してみたい。

南ボート桟橋

沖に向かって伸びる2本の細長い桟橋で、どちらでも釣りは可能だ。入口には門があるが、鍵は掛かっていない。突端がベストで1人ないし、知り合い同士なら2人が扇形に開いて入釣できる。水深は突端の桟橋下で2m前後。

ただし人気なので、ここに入りたいなら早朝着が必須。突端が空いてなければその手前でもいいが、できればある程度の水深が確保できる桟橋の中央付近から沖寄りがいい。

今週のヘラブナ推薦釣り場【静岡県・田貫湖】
南ボート桟橋は人気のポイント(提供:週刊へらニュース 熊谷充)

左右いずれの桟橋でもエサ打ちは外向きがよく、内向きは魚がいない可能性がある。

沖に張り出しているぶん、手前から十分な水深があるので竿は8~13尺もあれば十分だろう。

一本松桟橋

南ボート桟橋よりも水深が深く右側端で3本前後、左端でも2本半前後ある。

手前の底は凹凸で根掛かりが多いので、底釣りをしたいなら竿18尺以上を出してカケアガリのさらに沖にあるフラットな底にエサを落としたい。宙釣りであれば竿は10~15尺。

食堂前桟橋

今週のヘラブナ推薦釣り場【静岡県・田貫湖】
食堂前桟橋(提供:週刊へらニュース 熊谷充)

4~5人が乗れる小さな桟橋。水面から距離があるので、水汲み用ひも付きバケツなどが必須だ。

また座面が高いのでアワせる時に短竿だと竿が立ちづらくなりバラシの要因になる。長竿を出すか、中尺竿なら胴調子または軟調子の竿が向いている。

南側エン堤

北側エン堤ばかりが注目されがちだが、南側エン堤でも釣りはできるし実績もある。ただしオーバーフローから水が落ちている時は流れが発生しているので、なるべくそこから離れたほうがいい。

エン堤裏の遊歩道を超えたすぐ後方に駐車場がある。

南テントサイト前の野地

キャンプ場前の水辺からも竿を出せる。水際にジャカゴがあるのでそこに釣り台を置けば、いくらか前に出ることが可能だ。

キャンプの人災を避けるためにも長竿をだしたほうがいいが、夕方は岸近くに接岸してくるので10尺竿前後で狙っても面白い。

釣り方とエサ

湖北に比べて水深が浅いエリアが多いのでメインは底釣りになる。

エサは両ダンゴ、グルテンセット、両グルのいずれかでいい。11月いっぱいは両ダンゴからスタートして、食いが悪いようならグルテンに切り変える。いきなり両グルテンから始めると、魚を寄せられない可能性がある。

また水深が浅いと魚の引きが強烈になる。とくに沖走りが強いので、ハリスは最低でも0.5号で場合によって0/8号が必要なこともある。竿の調子や長さと相談して決めるといいだろう。

同湖の魚は上ずりやすいのが特徴。空振りが続けばエサが舞い、さらにずりを助長する。底釣りで通したいならハリを上から刺してチモトは押さえないなど、上ずりを少しでも抑制する工夫が必要だ。

しかし、それでも上っ調子なら思いきって宙釣りにするか、釣るタナを限定しないチャカグル底が面白い。以下はその方法。

仕掛け

リズムよくエサ打ちしたいので竿は13尺まで。タナは上バリトントン。

エサはボソっ気がありつつも、グルテン繊維で持たせるようなタッチ。ハリはリフトなどの軽量タイプでサイズは5号前後。ハリ付けは常に上刺しでチモトは押さえない。ウキは浅ダナ用PCムクでエサ落ち目盛は宙の状態でトップ3節出し。エサ打ちは常に振り切り。

以上のセッティングで両バリにエサを付けて打ち込み、ナジミ幅が2節になるように微調整。あとはナジみきりまでの一方通行の釣りを終始徹底する。

アタリの取り方

アタリはハリスが張り切る前は小さな変化形で、倒れ込み終盤では豪快なアタリになり、エサが着底したら再度小さなアタリとなる。ナジミ途中で触りがあれば待ってもいいが、それでも5秒が限界だろう。

こうして打ち続けていると、やがて水面直下に魚が見えてくるはずだ。その後はタナを徐じょに切ってもいいし、セミカッツケで狙っても面白いだろう。とにかくアタリを待たないことと、エサをしっかり丸めないことの2点に注意。

動いたらアワせるつもりでやってみよう。思わぬ好釣果が期待できるかも。

<週刊へらニュース 熊谷充/TSURINEWS編>

▼この釣り船について
田貫湖
場所:静岡県富士宮市
料金:現場徴収¥700。釣り台必携
お問い合わせ:…田貫湖キャンプ場 0544(52)0015
この記事は『週刊へらニュース』2019年11月8日号に掲載された記事を再編集したものになります。

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