晩秋、そして冬場の海は寒波来襲などで荒れたり、急な水温低下に泣かされたりする時期だ。そんな時に強い味方となるのが、テトラや捨て石などの隙間に潜む根魚を狙った穴釣りだ。

ターゲットや狙う場所を知っておけばいざという時のお土産稼ぎにも有効だ。

(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

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穴釣りの魅力

穴釣り・・・と聞いてピンとくるのは、「氷に穴を開けてワカサギを釣る氷穴釣り」と言う人もいるだろう。しかし、今回紹介するのは石や消波ブロックの隙間に仕掛けをスルスルと落とし込んで、隙間の奥にいる魚を釣り上げる穴釣りである。

ターゲットとしては、穴の中に潜む根魚が中心となる。これらの根魚はこれから水温が下がってくる冬場に活発になってくる種類が多い。たとえば、ガシラ(カサゴ)、アイナメ、メバルと言った「根魚御三家」に加えて、グレなど本来は上物として知られる魚などもヒットする。

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厳寒でも魚種多彩(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

そして、水温が高い時期よりも水温が低下してくる冬場の方が、穴の奥に潜みやすい。つまりは、ポイントを絞りやすいと言う訳だ。さらに、穴の大きさ、深さによってはかなりの大物もヒットしてくるから面白い。

どんな場所が適している?

穴釣りというくらいだから、穴がないと始まらないのがこの釣り。基本的には人工的なストラクチャー(構築物)を利用する事が多い。もっとも分かりやすい穴釣りのフィールドは、消波ブロック帯だ。護岸や浜を外洋から押し寄せる波が原因の浸食から守るために設置されているので、通常は海底から陸上まで積み上げられている事が多い。

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消波ブロックは格好のポイント(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

そのため、消波ブロックでできる隙間は奥深く、うまくいけば数mも奥行きがあって、大物が潜んでいる。

ただ、注意してほしいのは、足場の悪さ。消波ブロックの形状や大きさによっては危険を伴うので、足回りなどは滑らない磯用のシューズやブーツを履くなど安全対策が重要だ。

また、絶対に無理はしてはいけない。大きな消波ブロックは1辺が3mくらいある物があり、水中は入り乱れた穴により複雑な流れが発生している。隙間に落ちると上がれなくなったり、カキ殻やフジツボで傷だらけ、潮流で穴に吸い込まれたり頭をぶつけて気絶したりする。1人ではほぼ助からない。

ほかに堤防を設置する際に基礎固めとして敷かれる石積みも分かりにくいものの、隙間がたくさんある。ただ、海底に敷かれているので実際に仕掛けを落としてみなければ分からず、もしかすると何らかの理由で石積み自体が砂や泥に埋もれてしまっているかもしれない。

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一見、何もないが海底には穴が(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

石積みの場合は水際より上まで積まれて居る場合もあるが、波止の基礎石である事を考えると、足場の良い波止のケーソン上からの釣りが可能だ。いずれも穴の中を狙うので、水深自体は深くなくてもOK。あまりに深い場所だと、潮流や波の影響を受けて仕掛けが安定せず、勝手に仕掛けが動いて根掛かりの原因になる。

穴釣り用の仕掛け

穴釣りに使用する仕掛けはとにかく、根掛かり防止策がもっとも大切だ。たとえば、テンビン仕掛けに使用する2本バリのように、長い仕掛けが付いたものだと、オモリ自体が穴の中に入り込んでも肝心の仕掛けが穴に入っていない。

ほか、ハリがフラフラして根掛かりが多発する。

定番としては、ブラクリ仕掛けと呼ばれる、3号前後のオモリの下に1~2cmのハリス(絹糸が多い)とハリが付いただけのシンプルなものが用いられる。ほかに中通しオモリでハリスを極端に短くした仕掛けもあるし、1本バリの胴突き仕掛けでこちらもハリスを極端に短くしたものもある。いずれにしても、ハリ自体がフラフラと自由に動いて引っ掛かるのを防ぐ意味で極端に短いハリスを利用する。

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穴釣り仕掛け例(作図:TSURINEWS関西編集部・松村)

リールはスピニング、両軸どちらでもOKだが、遠くへ投げる事はないので両軸の方が扱いやすい。リールに巻く糸は感度で言えばPEラインだが、根ズレに弱いのでナイロンかフロロカーボンラインが最適。太さはターゲットなどにもよるが、4号程度あれば十分だ。

穴釣りのエサ

穴釣りに使用するエサはオキアミ、魚の切り身、シラサエビ、アオイソメなどの虫エサと幅広い。これは根魚の食性が幅広いからで、その時々で当たりエサも変わってくるが、持参しやすいエサを数種類用意すればいいだろう。全てのエサに一長一短がある。たとえば、オキアミは冷凍で入手できるので手に入れやすく扱いやすいが、柔らかく食い込みは良い反面、障害物の中を釣る時にはハリから外れやすい。

身エサは大型魚に有効だが、小型魚は食べにくい。また、ガシラなどは大好物だが、メバルやアイナメなどにはあまり向かない。

シラサエビは万能なエサだが、持参するのには、生かして持っていく道具が余計に必要などだ。

穴釣りタックルは2種類を用意

穴釣りに使用するタックルは、竿の長さが極端に異なる長短2タイプを用意したい。「極端に」というのは、釣り場の地形によるところが大きい。穴釣りは障害物の隙間があれば、仕掛けを投入する価値がある。他の釣りと大きく違う点は立っている真下にも好ポイントがあるという事だ。

長い竿では釣りにくい足元(自分の真下)であったり、短竿では届かない場所にもポイントは広がるので、それらを広範囲にきっちりと探る事ができるようにしたい。

具体的には短竿は全長1~1.5m、長竿が4~5mで、最近では穴釣り専用の短竿が売られているが、長い方の竿は磯竿やチヌの落とし込み竿などを転用する事が多い。

効率の良い釣り方

釣り方は短竿でも長竿でも要領は同じで、基本中の基本は「できるだけ深い穴を探す」である。

視認できる場所で穴を見つけたら、ソッと仕掛けを落としてみる。ここでオモリが浅いタナで止まってしまったら、少し持ち上げては落とすのを繰り返すと、オモリが勝手に転がって深い穴へと落ち込む事がある。穴自体が深くなければ何度落としてもそのままなので、すぐに穴をかえると良い。この見切りが穴釣りには大切な要素となる。

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どんどん探れる広い場所が最適(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

どんどんと移動を繰り返して穴に仕掛けを落とし、深い穴を見つければ少し粘ってみる。ただし、根魚の場合は穴の中に潜んでいればかなり反応は速いので、深い穴に仕掛けを落ちたからと言って長く粘るのも効率が悪い。

穴釣りの特徴は、「1尾釣れれば同じ穴で続けて釣れる事が多い」点だ。おそらく環境の良い、住みやすい穴、隙間には魚が集まってくるのだろう。この時も実は、1尾目もしくは2尾目くらいに大型の魚がヒットする事が多い。おそらくエサを食べる優先順位は大型魚ほど上なのだろうと想像できる。

何尾か釣っていると、その場で釣れる魚が徐々に小さくなってくるので、キープサイズ以下が釣れ出せばその場所は終了として、次の好場を探して移動しよう。
コツとしては、よく釣れた穴は、その時に魚を釣ってしまっても少しすれば新しい魚が入ってくる。それだけ潜みやすい快適な場所なのだろうが、よく釣れた穴の場所を覚えておくと、朝イチに釣った穴で午後からもまた釣れたり、日をかえて次の釣行でも実績のあった穴を手早く探る事で効率が良い釣りが展開できる。

根掛かりの外し方

障害物の中を釣るのだから、根掛かりはつきものである。しかし、ハリとオモリが近い仕掛けの最大のメリットは、根掛かりが外しやすい点である。ハリが障害物に掛かっても、ほんの少し緩めるだけでオモリがハリの下に落ちて、下方向へ引っ張る事でハリが外れる事が多々ある。

穴釣りで万が一根掛かりをしたら、上に引っ張るのではなく、糸を緩めてオモリを落とすのが最優先だ。外れなければオモリを引っ張り上げて落とすのを何度も繰り返す。

そうしているうちに外れることが多いものの、掛かった時に力強く引っ張ってしまうと、ハリがガッチリと障害物に掛かってしまう。

少々のことでは外れなくなってしまう。それでも外れなければ、最終的には仕掛けから竿、手元までを一直線にして引っ張って切るしかない・・・。

この先にやってくる厳寒期はもとより、寒波による急な水温低下で一見、海中には生き物の気配すらしない場面でも、穴釣りなら魚が釣れる事も多い。シンプルな道具立てなので、ぜひお試しあれ。

<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>

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