大阪湾、瀬戸内で、ここ数年で徐々にカットウ釣りをさせてくれる遊漁船が増え、ショウサイフグ釣りは冬場の人気の釣りになりつつある。大阪湾では関東のような浅場ではなく、深場での流し釣りがメイン。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)
ショウサイフグのポイント
数年前、ある船長から「カワハギ釣りで出船したいけれど、ポイントが分からないので一緒に乗ってほしい」と言う依頼がきっかけでカワハギポイントを回るも、釣れるのはショウサイフグばかり。
そこで、次の試し釣りではショウサイフグを狙ってのカットウ釣りで出船したものの、なかなかポイントが絞れない。
そこで気付いたのがタチウオのポイントでもある神戸沖の水深70~80mの深場だ。理由は、タチウオのテンヤに時折掛かってくるショウサイフグがいることや、タチウオ漁場では多くの船がエサを使ってタチウオを釣るという背景からだ。
そのおこぼれを貰うためにショウサイフグがタチウオポイントに集結しているのでは…と言う考えからだ。
その推測は見事?に当たり、まずは70m級の深場でショウサイフグが釣れることが判明した。

タチウオシーズンが終わり、ポイントにエサが入らなくなると、フグの群れは自然のエサを探す、あるいは水温による移動が徐々に行われて、ポイントもズレて行くことが分かった。
冬場にショウサイフグ釣りが始まって今季で4、5年を迎えるが、今年も12月からの本格出船に向けて試し釣りなどを行っている。
大阪湾のショウサイフグは良型
さて、大阪湾でのカットウ釣りの最大の魅力は釣れるショウサイフグがデカい事。30cm級はおろか、ショウサイフグでは最大クラスとなる35cm超も姿を現し、丸々と肥えていて身も多く、数尾釣れば鍋にてっさに唐揚げに・・・と楽しめるのだから、人気が出るのも当然だ。
フグが大きいだけに掛けた瞬間の重量感たるやすさまじく、深場から上げてくるのにも一苦労するくらいだ。その重量感も心地良いのだ。
大阪湾、特に神戸沖や淡路沖の深場は、基本的に砂泥底が多く、フグもその砂泥底に潜んでいるゴカイや貝、甲殻類などを食べていると思われる。実際、釣り上げたショウサイフグをイケスに入れておくと、大きなゴカイや貝類などいろいろなモノを吐き出す。
ディープカットウ仕掛けのタイプは?
大阪湾のディープカットウ釣りではあまり根掛かりをしないので、関東などで使われる上オモリのカットウ仕掛けでも良いのだが、実は下オモリ式のいわば胴突きタイプのカットウ仕掛けが使いやすい。理由はフグがあまり浮かないので、水深70mを超えるような場所で底スレスレに掛けバリをキープさせることが難しいためだ。

下オモリ式のカットウ仕掛けの場合は、掛けバリとオモリの間に捨て糸を入れることで、オモリを着底させた状態なら、底からきっちりと一定の高さを保持できる。また固定式の上オモリ仕掛けでは水深が深いために重いオモリを使いたい時に、別の追加オモリが必要となり、時としてバランスが悪い仕掛けができ上がる。

下オモリの場合はたいてい、オモリを交換できるので潮の速さ、水深などによってオモリの交換が簡単に行えるというメリットがある。
最近では、上オモリながら遊動式のカットウ仕掛けも登場している。タイラバの遊動シンカーのようなオモリを使うので、追加オモリを通すだけでダルマのような形にセットできるので利用できる可能性は高い。具体的にオモリは30~50号を使用する。

ディープカットウ釣りタックル
ディープカットウに使うタックルについてだが、もちろん専門の竿はないから、何かを転用しなければならない。深い海底から発信される小さなフグのアタリを取ることができる感度の良い穂先、深場でもしっかりと掛け合わせる事ができるバットパワーなどを考慮して、現状ではカワハギタックルもしくはタチウオテンヤタックルが多く用いられている。
基本的にはカワハギタックルは浅場(30号程度の軽いオモリ使用時)、深場ではタチウオタックルを使うと無理なく釣りができるだろう。
カワハギロッドに小型ベイトリール、PEライン0.8号の先にリーダー4号を1mほど接続する。

カワハギ用の集寄アイテムも有効
70mを超す深いエリアだと、反射板などカワハギ用の集寄アイテムは不要と思われるのだが、なぜかホログラムなどは効果があるようだ。理由は不明だが、オモリにホログラムシートを貼り付けたり、仕掛けの上にシートを取り付けたりするとアタリが増える。また、ビーズなどの飾り物も有効な時が多いので、まだまだ工夫の余地はありそうだ。

大阪湾ディープカットウ釣りのエサ
大阪湾でのディープカットウのエサとして使われているのが、アオヤギ(バカガイ)とアルゼンチンアカエビだ。アルゼンチンアカエビは普通にスーパーなどで売られているので入手は簡単だが、お正月が近づくと価格が高騰するので早めに入手して冷凍保存しておきたい。

アオヤギは関西ではなかなか手に入らなかったが、最近、釣り堀などで使う人も多いとのことで、関西でも多くのエサ店に置かれるようになった。入手の際はエサを数多く扱っているようなエサ店に問い合わせてみよう。基本的にはこの2種類があれば良い。

エサの刺し方と工夫
エサの刺し方は、アオヤギは数個を利用してハリいっぱいに刺す。先に身の柔らかい部分(内臓)を刺して最後に硬い舌(斧足)の部分に刺すとエサをホールドしやすくする。
フグはまず内臓部分を食べにくるので、時々確認していると、エサがたくさん残っているようで実は内臓部分は食われていることがある。そんな時は内臓が残っているアオヤギはそのままでも良いが、舌のみが付いているなら外して新しいアオヤギを追加していく。比較的ボリュームをキープした方がアピール力がある。
エビの場合は頭を取って胴体の殻を剥き、尾羽の付け根にある殻のみを残して尾羽をカット。
アオヤギに比べると、フグの反応は良いがエサも取られやすいのが特徴だ。少しでもエサを残すために少し硬い殻を残しておく。
最近ではアオヤギを先に刺し、そのあとエビをハリ先に刺すミックス掛けも多用している。エビで反応したフグがエサに付き、エビは取れてもそのままアオヤギもしつこく食べる事でアタリが長続きすると言う理論。

ディープカットウの釣り方
釣り方はまず、海底での仕掛けの安定を重要視する。あまり、不用意にカットウ仕掛けを動かしすぎると、フグが警戒して寄ってこなかったり、エサに付かなかったりするのでできれば、タナを決めたらジッと待つこと。
ただ、オモリを浮かせると海底の起伏などによりいつの間にかかなり浮いている場合があるので、底の取り直しは何度も行う。この時もいきなりオモリを落とすのではなく、ソッと着底させる事。基本的にオモリの位置よりは、親バリに刺しているエサの位置に注目したい。
状況に合わせたタナ設定
その時々で、フグが食べにくる(反応の良い)タナがあるので、そのタナを探す。ピッタリ当たると、その人にばかりアタリがあるから不思議だ。胴突きのカットウ仕掛けの場合は、オモリを着底させた状態で、タナを固定できるから、1度ピタリと合ってアタリが出れば何回も再現しやすい。
アタリの出方
アタリはフグがエサを突くような「ドンッ」と重々しい反応や、いきなりガツガツと食いちぎるような反応など様々だが、アタリがあれば竿を突き上げて掛ける。この釣りは釣り人側から掛けにいかないと掛からないので注意。
テンション抜けは掛かった証拠
掛けた瞬間にドンッと衝撃が走りそのまま重たくなるか、ラインが切れたかのようにテンションが抜けることも多い。これはフグの頭付近に掛けバリが掛かり、頭が上を向いた状態でフグが逃げようとするため、水面に向けて泳ぎ上がるのだ。
掛けた瞬間にラインテンションが抜けた時はとにかく、高速で回収する。長ければ水深の半分くらい泳ぎ上がることがあり、高速で巻いていると途中でようやく、ズシリと重くなる。泳ぎ上げる場合は仕方ないが、基本的にはテンションを抜かず一定のペースで巻き上げてくる。

尻尾の先などに掛かっていれば良く暴れるが、どこに掛かっているかは分からないので、バラシに注意しながら無理をせずに巻き上げる。
釣り上げたフグは帰港してから船長がすべて身欠きにしてくれるので安心だし、調理が楽ちん。ただ、フグだけにきっちりと調理免許を持った船長でないとできないため、人気があるからといって遊漁船が激増しないのも分かる。

<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>