『渚釣り』はサーフからチヌ(クロダイ)をフカセで狙う釣り方です。中には、変化の乏しいサーフで行うフカセ釣りと聞いてもピンとこない方もいるかもしれません。

そこで今回は、サーフからチヌを狙う『渚釣り』を、実釣記も交えて解説します。

(アイキャッチ画像提供:WEBライター・杉本隼一)

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サーフからチヌを狙う『渚釣り』

チヌを狙う釣り方は豊富に存在しますが、その中でも人気が高いのが「フカセ釣り」です。フカセ釣りというと、磯や波止から釣ることをイメージする人がほとんどだと思います。

確かに磯や波止周りはチヌが好む障害物やシモリなどが多く、甲殻類などのエサも豊富なのでチヌが生活しやすい環境が整っていますが、近年注目され始めたのがサーフからのフカセ釣り、いわゆる「渚釣り」です。

水深が浅く、一見何も無いサーフから本当にチヌが釣れるのかと疑問に思う人も多いはず。そこで今回は、サーフからチヌが釣れる理由を解説します。

『渚釣り』は魚の通路を狙う

磯や波止も含めた多くの釣り場では「かけ上がり」とよばれる海底の地形変化があります。サーフも例外ではなく、波打ち際では1mほどしか無くてもかけ上がりより沖では水深が深くなっています。

他にもサーフには「離岸流」という局所的に潮が沖に流れる場所があり、このようなポイントでは海底が溝のようになっているので魚が溜まりやすい傾向があります。またかけ上がりや離岸流は魚の「通路」でもあるので、サーフのチヌはこのような場所を通って回遊してきます。

つまり、渚釣りは魚の「通路」にエサを求めて泳いできたチヌを足止めし、エサを食わせるというわけです。

厳寒期の渚釣り攻略法3選

渚釣りは夏から秋にかけての気温が高い時期に面白い釣りですが、冬から春にかけての厳寒期やノッコミシーズンでも楽しめます。今回は厳寒期に渚釣りでチヌを狙うときの攻略ポイントを紹介します。

1.遠投して沖を狙う

水温の高い時期であれば魚の活性が高く、比較的浅い場所でも食ってくることもありますが、厳寒期などの水温が低い時期は魚が沖の深場にいます。そのため、仕掛けはできるだけ遠投できることが望ましく、ウキは大粒で重量があるものを選ぶと良いでしょう。また、離岸流が発生しているポイントであれば仕掛けを沖に流していく釣り方もおすすめです。

サーフからフカセでチヌを狙う『渚釣り』で本命浮上 厳寒期の攻略法3選
ウキは遠投が可能なものを(提供:WEBライター・杉本隼一)

2.遠投出来てニゴリが強い集魚材

かけ上がりのさらに沖を攻めるためには撒きエサも遠投しなくてはならないので、集魚材は遠投タイプのものが必需品です。また、水温が低い時期のサーフは潮が澄んでいることが多いので、ニゴリが強い集魚材をブレンドすると視覚で魚を寄せることができ、同時にハリスの存在感を減らす事もできます。

3.厳寒期でもフグ対策は必須

サーフではどうしてもエサ取りのフグが多いので、厳寒期と言えどもオキアミや練りエサでは瞬殺されることもあります。そのため、水温が低い時期でもコーンやサナギなど、エサ取りに強いさしエサもしっかり用意しましょう。

サーフからフカセでチヌを狙う『渚釣り』で本命浮上 厳寒期の攻略法3選
エサの準備は万全に(提供:WEBライター・杉本隼一)

三保真崎海岸で渚釣り

1月30日、私の地元である静岡県の三保真崎海岸へ渚釣りに行ってきました。三保真崎海岸には、足元が階段状になっている場所があり、まずはその周辺を観察します。すると、かけ上がりが岸近くにあり、弱い離岸流が発生している場所を発見。そこに釣り座を構えることにしました。

サーフからフカセでチヌを狙う『渚釣り』で本命浮上 厳寒期の攻略法3選
タックル図(作図:TSURINEWS編集部)

今回は遠投出来るように道糸にPEラインを使用し、ウキは遠投できる大きめのものを使用しました。

PEラインは慣れないとトラブルの原因となるのでセミサスペンドかサスペンドタイプのナイロンラインもおすすめです。

かけ上がりはフグだらけ

先に撒きエサを準備してあらかじめポイントに15杯ほど撒いておきます。こうすることで仕掛けを準備している最中にも撒きエサが効いて魚を集めてくれます。

厳寒期なので多めに15杯撒きましたが、水温が高い時期は撒きすぎるとエサ取りだらけになることもあるので少なめにしておきましょう。

サーフからフカセでチヌを狙う『渚釣り』で本命浮上 厳寒期の攻略法3選
かけ上がりを狙う(提供:WEBライター・杉本隼一)

10時半にゆっくり釣りを開始し、まずはかけ上がりを攻めますがフグが多く、柔らかいエサは瞬殺、たまにハリも無くなってきます。かけ上がりは昼前までフグの猛攻で本命の気配がないため作戦を変えてかけ上がりのさらに沖へ遠投する事にしました。

42cm本命チヌ登場

かけ上がりはフグだらけですが、少し沖へ投げるとフグが少ない様子。昼前に一瞬フグが大人しくなったので、集中していると仕掛けに違和感があり、竿を立てると強い引きに変わりました。

掛かったのは65cm位ある大きなボラ。何とかランディングした後、本命ではないのでリリースしました。

ボラを掛けた後、続けてモゾモゾとしたアタリが。これは間違いなく本命のアタリなのでソフトに合わせると、渚チヌ特有の強い引きが伝わってきます。

右へ左へと横走りしたかと思いきやいきなり沖に向かって突っ込んだりとスリリングなやり取りになりましたが、どうにかネットイン。あがってきたのは、42cmほどの本命チヌです。渚釣りの醍醐味である強烈な引きを楽しむことができました。

隣でも本命チヌがヒット

しかし、昼過ぎになるとアタリが止まってしまい、再びフグがいたずらするようになりました。

すると、渚釣りをするという方が声を掛けてくれたので、休憩も兼ねて少し話をすることに。その方も渚釣りの魅力にどっぷり浸かっている様子でした。しかも、隣で釣りを開始するとすぐに本命をヒットさせ、「やっぱりサーフのチヌは綺麗だ」と、やり取り中にも渚釣りの魅力をたっぷりと聞くことができました。

サーフからフカセでチヌを狙う『渚釣り』で本命浮上 厳寒期の攻略法3選
サーフでチヌを狙ってみよう(提供:WEBライター・杉本隼一)

残念ながら、その後は続かず仕方なく納竿することに。今回の釣果は1枚と苦戦しましたが、サーフからフカセ釣りでチヌが釣れることを証明出来た釣行となりました。しかし、まだまだ未知の釣りである渚釣り。今後もさらに盛り上がっていくことに期待です。

<杉本隼一/TSURINEWS・WEBライター>

▼この釣り場について
三保真崎海岸

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