aikoのホールツアー『Love Like Pop vol.22』のツアーファイナルが、12月14日(火)、東京ガーデンシアターにて開催された。本公演は9月1日(水)に開催されるはずだった公演の振替公演として行われた。
定刻の19時。会場が暗闇に包まれると、ツアーファイナルの幕開けにふさわしいストリングスの重厚なサウンドアレンジが効いたオープニング映像が赤い舞台幕を照らす。すると会場は段々と大きな拍手につつまれていき、aikoが最終公演の一番初めにどんな楽曲を持ってくるのかワクワクが募っていく。そんな期待の中、力強いドラムのフィルとともに始まった一曲目は3月にリリースされた14枚目アルバム『どうしたって伝えられないから』に収録されている「Last」だ。舞台幕が勢いよく落ちるとそこには鮮やかなグリーンのビッグシルエットシャツに身を纏ったaikoが登場。
今ツアーは、ソーシャルディスタンスを保ったり、声出しを控えるなどの制約がある中でaiko自身ももちろん様々なことが初めての経験となった。
FM802のキャンペーンソングとして書き下ろされた楽曲「メロンソーダ」が披露されると、はつらつとしたブラスサウンドが心を踊らせてくれる。続けて披露された「ばいばーーい」の光の演出は圧巻だ。曲中のラスサビに繋がる前のビートがなくなるブリッジの際に、横からのピンスポットライトで照らされたaikoの姿は厳かであった。
コロナ禍で声出しを控えられている中、今ツアーの特徴的なブロックとなった、開演前にオンラインで集められた質問をaikoが答えるコーナーを終えると、その後の3曲はしっとりとした曲たちが続く。
最新曲の「食べた愛」も披露されると、ライブは終盤に向けて急加速していく。
「心日和」「ドライブモード」「夢見る隙間」などアップテンポな楽曲が続き、まだまだライブはこれからだと言わんばかりにステージ上を縦横無尽に舞っていくaiko。無数のレーザーライトが輝き出し、会場のボルテージをどんどん上げていく。
ここでaikoのライブでは恒例となっている、男子!女子!そうでない人!のコールアンドレスポンスが始まる。
その後、aikoやバンドメンバーがツアーシャツに着替えて再び舞台に登場すると、アンコールが始まった。
アンコールの3曲を終えて、バンドメンバーが前に出てくる。オールラインナップで挨拶を終えると、会場からは鳴り止まない拍手の雨が降った。aikoが「全然聞こえないです!」とさらに煽ると拍手はどんどん大きくなっていく。ファンの期待にもちろん応えるaikoは「最終日なので、皆さんと楽しい時間を設けてるに決まってるじゃないですか!」と言ってダブルアンコールに突入。疾走感のあるギターサウンドの「プラマイ」から「陽と影」「未来を拾いに」「ボーイフレンド」とここに来てどんどん音圧が増していく、まさに圧巻のライブが繰り広げられていった。
「ボーイフレンド」を歌い終えて、この日最高潮に達したボルテージの中でaikoは、「やっぱりライブは楽しいし、終わってしまうのはすごく寂しいです。だから皆さんと一緒にもっと楽しいことを分かち合いたいので…」と続けて「ご報告があります!!結婚しましたー!」と突然サプライズ報告をおこなった。不意打ちのスペシャルサプライズで会場は思わずどよめき、その後大きな祝福に包まれた。「ずっと内緒にしてたんです。コロナでなかなか言うタイミングがなかったのですが、ライブで言って皆さんを驚かせたかったんです」「心の底から結婚したいと思える人に出会えました、これかもたくさん恋愛の曲を書きます!」と伝え、再びアンコールに突入した。
「beat」「mix juice」「Loveletter」と続き、幸せと活気に満ちた会場は、aikoとバンドの奏でるサウンドをさらに豊かに作り上げていく。そして最後に披露されたのは締めの一曲にはふさわしすぎる「be master of life」だ。結婚発表の多幸感に包まれて最高のテンションで届けた最後の4曲は、aikoにとってもファンにとっても特別なアンコールとなったに違いない。
なお、この日のセットリストプレイリストが各音楽ストリーミングサービスにて公開されているので、ライブの思い出に浸りながらぜひチェックしておきたい。
aikoは12月22日(水)には、昨年2020年3月の振替公演となる『Love Like Rock vol.9』をZepp Tokyoにてツアーファイナルとして開催する予定だ。Zepp Tokyoは2021年いっぱいでの閉館が決まっており、aikoにとってZepp Tokyoでの最後のライブで、2021年を締めくくる。2021年の最後の公演もきっと特別なステージが待っているだろう。