Mリーグ女流雀士インタビュー(4)
東城りお@前編

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 新加入選手の活躍が目立つ今季のMリーグ2021。昨年末12月28日の第2試合で2021年の最終戦を勝利で飾ったのも、セガサミーフェニックスに今季から加わった東城りお選手(日本プロ麻雀連盟)だった。

 終盤は何度も長考しながら慎重に打牌選択を繰り返し、トップを引き寄せた東城選手。ポーカーフェイスで戦うMリーガーが多いなか、時には頬を膨らませ、時には眉をしかめてと、自然体でMリーグに臨む東城選手の魅力に迫る。

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東城りおは小5で麻雀を覚えて20歳でプロ。Mリーガーになるた...の画像はこちら >>

東城りお(とうじょう・りお)1990年9月18日生まれの31歳

---- まずは、麻雀を始めたキッカケを教えてください。

「小学校5、6年生の時に父親のパソコンゲームで覚えましたね。高校時代は麻雀をやる友だちが多かったので、みんなで遊んでいました」

---- 高校時代の腕前はどの程度でしたか?

「役はかろうじてわかるけど、点数はまったくわからなくて。1000点と2000点と満貫と役満しかわかっていなかったですね(笑)」

---- 麻雀プロには何歳の時になったのですか?

「20歳です。

17歳の終盤にタレントになるために秋田から上京したんですけど、早々に所属したタレント事務所がいろいろあって突然閉鎖になって(苦笑)。で、バイトしながらあれやこれやしていたら、知り合いに雀荘のバイトを紹介されて。それが19歳の時でした」

---- 雀荘でのバイトがプロ雀士へとつながったのですか?

「雀荘でのウエイトレスだったんですけど、そこではウエイトレスは麻雀を打たせてもらえなくて。『麻雀が打ちたいのに!』と思っていたら『プロ雀士になれば店で打てるよ』と教えられて。それでプロになりました(笑)」

---- タレント志望の上京が2年半後にはプロ雀士に変貌したわけですね。麻雀の実力がもっとも伸びたのも、プロ雀士になろうと決めた頃だったのですか?

「うーん、どうだろう。

点数計算などの基本的なことは麻雀プロ試験を受ける前に勉強したんですけど、実力はプロになってもあまり変わった実感はなかったですね。

 私は最初に協会(日本プロ麻雀協会)でプロになって、そこに1年いたんですけど、そのあとすぐに試験を受けて連盟(日本プロ麻雀連盟)に入り直して。そこから8年ほどプロとしてのキャリアがあるんですけど、自分のなかで実力がある程度ついたなと思ったのは、今かもしれないですね」

---- Mリーグへの加入が刺激になったということだと思うのですが、そのMリーグには初年度(2018年)から参戦していた可能性もあったと聞きました。

「そうなんですよ。でも、そのタイミングで結婚して長野へ引っ越すことが決まっていたので......」

---- 一度は見送ったMリーグに今季から加わった理由はなんですか?

「離婚です(笑)」

---- 記事にして大丈夫ですか?

「大丈夫ですよ。世の中的に離婚は不幸なイメージがありますけど、私の場合は前向きな解消なので。

自分の『好きなこと』『やりたいこと』『やり残したこと』にたくさん気づいたから、それをやるための決意の離婚でしたね」

---- どういうことですか?

「結婚した最初の半年は所属団体の公式戦をお休みし、その後はコロナ禍になって対局がなくなってしまって。雀荘もないところだったし、家ではテレビのチャンネル権がなかったので、麻雀番組を見ることもできなくて。生活から麻雀というものが2年もなくなって、初めて自分のなかで麻雀が占める割合の高さに気づいたんですよね」

---- それで今は、水を得た魚のようなんですね。

「今の状況は、もう幸せですよ。結婚していた間に募った『麻雀がしたい』『Mリーグに出たい』という欲求を、全部Mリーグにぶつけることができているので」

---- そのMリーグにドラフトで指名された時の心境を教えてください。

「うれしかったですよね。

初年度に指名されたかもしれないMリーグに、こうして参加するチャンスをもらえたので。ただ、長野にいた頃は麻雀番組を見ることもなかったので、実際に開幕するまではMリーグでどう打てばいいのか不安でした」

---- その答えはどうやって見つけたのですか?

「私のMリーグデビュー戦で同卓の(佐々木)寿人さんの打ち筋を見た時ですね。いつもどおりでいいんだって、気がラクになりましたね」

 東城選手のMリーグデビューは2021年10月11日の第1試合。KONAMI麻雀格闘倶楽部の佐々木寿人選手(日本プロ麻雀連盟)、渋谷ABEMASの松本吉弘選手(日本プロ麻雀協会)、TEAM雷電の本田朋広選手(日本プロ麻雀連盟)と対戦した。

 昨季レギュラーシーズンMVPの佐々木選手が「魔王」の異名に違わぬ強さを存分に見せつけ、南入前に6万点超の点棒を稼ぐ勢いでトップを獲得。東城選手は最終局でハネ満ツモか、佐々木選手から満貫直撃で逆転トップとなるところまで迫ったものの、2着で対局を終えた。

---- この対局ではリーチを5回かけて、攻める姿勢を見せました。

「魔王が魔王していて勝てなかったんですけどね(笑)。ただ、寿人さんとはMリーグ以外でも対局することが多いんですけど、Mリーグでも寿人さんは寿人さんだったのに安心して(笑)。寿人さんって明らかに"ラスボス"なんですけど、いつもの私はどうやってラスボスに立ち向かっていたかを思い出せたんですよ」

---- ラスボスへの立ち向かい方とは?

「寿人さんは強い攻撃一辺倒なので、その攻撃を押し返すには、それを上回る攻撃を仕掛けるしかないんですね。ただ、闇雲に押し返してもダメなので、タイミングが大事。寿人さんは隙がほとんどないので、手が落ち始めた瞬間をうまく捉えられるように狙っています。

そこで優勢を奪い返す。そんなイメージで打っていますね」

---- 東城選手も攻撃型ですが、その攻撃力が炸裂したのがデビュー2戦目。Mリーグで初トップを獲りました。

「1戦目でいいところまで行けた勢いは止まってなくて。その瞬間で言うと、2戦目でのスコアは今シーズンの最高スコアだったので、対局直後は舞い上がってましたね(笑)」

 東城選手の2戦目は10月18日の第2回戦。赤坂ドリブンズ・村上淳選手(最高位戦日本プロ麻雀協会)、KONAMI麻雀格闘倶楽部・滝沢和典選手(日本プロ麻雀連盟)、U-NEXT Pirates朝倉康心選手(最高位戦日本プロ麻雀協会)と対局し、東城選手は7万点超えの大きなトップを獲得。プラス97.2ポイントをチームに持ち帰った。

---- 完勝の要因はどこにあったのですか?

「弱気な麻雀を打ちたくなかったことでしょうね。Mリーグに臨むにあたっての目標はふたつあって、レギュラーシーズンの個人ポイントをプラスで終えたいのと、最高スコアを目指すことだったんです。だから、真っすぐに攻め抜くことができました」

---- その後、11月18日の対局で伊達朱里紗選手(KONAMI麻雀格闘倶楽部)が10万5500点(+125.5)のMリーグ新記録を樹立しました。どんな感想を持ちましたか?

「伊達ちゃんの10万点超えを塗り替えたいですよね。私が一番しっくりくるスタイルは、手組みで強気の姿勢だったり、強気に押したりする時なんです。だから、攻める時は攻める気持ちを常に意識して、11万点を目指します」

(後編につづく)


【profile】
東城りお(とうじょう・りお)
1990年9月18日生まれ、秋田県出身。上京して雀荘でアルバイトをしている時、プロ雀士の存在を知ってプロになることを決意。現在は日本プロ麻雀連盟所属。2021年、セガサミーフェニックスからドラフト指名を受けてMリーガーとなる。