サッカー日本代表 3月のメンバーは誰がいいか? 後編

 3月13日に発表される、サッカー日本代表のW杯最終予選バーレーン戦、サウジアラビア戦のメンバーは誰がいいか。後編では4バックを推す識者たちに予想(希望)メンバーをあげてもらった。

前編「従来の3バックで予想した識者たちの考えたメンバー」>>

【4バックの再構築に着手したい】

中山 淳(サッカージャーナリスト)

サッカー日本代表の4バックを見たい! 識者が展望するバーレー...の画像はこちら >>
FW/前田大然(上田綺世) 
MF/三笘薫(南野拓実)、中村敬斗(久保建英)、堂安律(伊東純也) 
MF/鎌田大地(守田英正)、佐野海舟(遠藤航) 
DF/伊藤洋輝、高井幸大、板倉滉、毎熊晟矢 
GK/鈴木彩艶

 2026年W杯アジア3次(最終)予選でグループ首位を独走する日本は、4試合を残して本大会出場がほぼ決定している。それを考えると、3月の予選2試合も含め、今後は本大会を見据えたチーム作りにシフトチェンジする必要があるだろう。

 そこで着手したいのが、アジアカップ(2024年1~2月)で破綻した4バックの再構築だ。

 森保一監督は、アジアカップ後のW杯アジア2次予選の北朝鮮戦(2024年3月21日)を最後に、機能しなくなった4バックを諦めて3バックに基本布陣を変更。それをきっかけに、3次予選の快進撃につなげることに成功した。

 ただし、試合を重ねるごとに新布陣の3-4-2-1の劣化が始まった。対戦相手が日本の戦い方を研究して対策を講じたこともあるが、アタッカーを配置する両ウイングバックが守備時にはDFラインに吸収されて5-4-1と化してしまい、敵陣でボールを握り続けるという本来の目的が失われてしまった。

 このままでは、本大会で決勝トーナメントに進出したとしても、日本が主導権を握ることが難しいのは火を見るより明らかだ。

 つまり、本大会までにクリアすべき最大のテーマは、どんなレベルの相手に対しても、4バックで守りながらいかにして攻撃的に戦えるか、という点になる。ボール保持時に、4バックから3バックに可変するのもひとつの方法だ。

 とにかく、ここからは新システムの構築に着手しながら、同時に新戦力を発掘してチーム内の競争力を上げる必要がある。そういう意味で、3月の2試合では高井幸大、佐野海舟といった伸び盛りの選手や、クラブで好調の前田大然、毎熊晟矢らをスタメンに抜擢し、フレッシュなスタメンで臨みたい。

 選手層の厚い2列目とボランチ2枚の組み合わせは複数あるので、それぞれの組み合わせで攻守のバランスを確認するのもいいだろう。

 いずれにしても、この3月にこれまでのスタメンとシステムを継続する必要性はまったくない。

【出場経験の少ない選手にチャンスを】

小宮良之(スポーツライター)

サッカー日本代表の4バックを見たい! 識者が展望するバーレーン戦&サウジアラビア戦のメンバー
FW/中村敬斗、町野修斗(前田大然)、堂安律(伊東純也) 
MF/田中碧(遠藤航)、佐野海舟、鎌田大地 
DF/町田浩樹、瀬古歩夢(渡辺剛)、板倉滉(高井幸大)、菅原由勢 
GK/小久保玲央ブライアン

 森保ジャパンは、8大会連続ワールドカップ出場に王手をかけている。3月、バーレーン、サウジアラビアのどちらかに勝てば本大会出場が決まる。勝利のために万全を尽くすべきだが......。

 今の陣容は「史上最強」で、よほど相手を侮って采配をミスしなければ、アジアで負ける公算は低い。

 ヨーロッパカップ戦を戦う選手の疲労を考慮に入れたら、主力には休みを与えるべきだろう。ヨーロッパリーグなどが佳境の久保建英を筆頭に、プレミアリーグで大車輪の三笘薫、負傷を抱える守田英正は"温存"すべき。伊藤洋輝、上田綺世のようにケガから復帰後でチャンピオンズリーグ(CL)の最中にある選手も無理をさせるべきではない。

 同時に、チームの底上げも急務で、出場経験の少ない選手にチャンスを与えたい。「W杯出場がかかった試合で?」という反論はあるだろうが、負荷のかかった試合でなければ真価も見えない。少なくともバーレーン戦で出場を決めたら、総入れ替えすべきだ。

 森保一監督は「石橋を叩いて渡らない」性格で、こうしたな賭けに出るとは思えず、3-4-2-1を譲らずに久保、三笘、守田などを頼って戦うことになるのだろうが......。

 悲願のベスト8進出には、ふたつ分のチームが必要である。

そこで、世界の強豪との一戦を想定し(3-4-2-1では攻められる時間に耐えきれない。三笘をウイングバックにするなど攻撃に回れず、守備で疲弊する)、4-3-3で選手を組んだ。

 前線は好調な選手を抜擢すべきだろう。ブンデスリーガで7得点の町野修斗はカタールW杯後の招集はなく、今回は絶好の機会だ。また、CLでもゴールを重ねた前田大然の勢いは生かすべきか。堂安律、伊東純也、中村敬斗などドイツやフランスで得点を重ねている選手は、久保や三笘に迫れるか。

 中盤は鎌田大地、遠藤航も所属先で出場機会が少ないだけに、招集自体は良薬か。ただ、ピッチには新鋭を立たせるべきで、イングランド2部で好調維持の田中碧は"遠藤の代役"の成否が試される。佐野海舟もブンデスリーガで安定した攻守で、その力を見極めたい。

 バックラインは板倉滉を中心に、高井幸大や渡辺剛がバックアッパーになれるか。瀬古歩夢はパワー抜群で、左センターバック(CB)ができる貴重な人材。右足首ケガの状態は心配だが、CBもできる左利きの町田を左サイドバック(SB)に置いて、「いい守りからいい攻め」を固める。

右SBは菅原由勢が高い位置を取れたら脅威を与えられるはずで......。

 GKは鈴木彩艶への称賛が眩しすぎる。大器であるのは間違いないし、成長も見せている。ただ、今もボールのこぼし方や飛び出しの判断など波は激しい。本大会まで小久保玲央ブライアンと競わせるべきだ。

【従来のメンバーに固執すれば下り坂に入る】

杉山茂樹(スポーツライター)

サッカー日本代表の4バックを見たい! 識者が展望するバーレーン戦&サウジアラビア戦のメンバー
FW/前田大然(ジャーメイン良) 
MF/中村敬斗(濱﨑健斗)、鈴木優磨、坂元達裕 
MF/佐野海舟(旗手怜央)、藤田譲瑠チマ(田中碧) 
DF/伊藤洋輝、板倉滉、高井幸大、毎熊晟矢(菅原由勢) 
GK/小久保玲央ブライアン

 布陣は願望を込めて4-2-3-1を選択。日本絶対優勢の状況を踏まえ、従来のスタメンは不必要に招集せず、テスト重視で臨みたい。

 1トップは前田大然。先のチャンピオンズリーグプレーオフ対バイエルン戦で威力を発揮した「最前線のディフェンダー役」として起用する。前田の交代要員はジャーメイン良。いまひとつ弱々しい感じがする上田綺世、小川航基、古橋亨梧に代わる選手を探したい。

 1トップ下には、一度は試されなければならない実力派のJリーガー鈴木優磨を置く。

そのボールを収める力は前田との関係で発揮される。

 左ウイングはウインガーとしては三笘薫より旬に見える中村敬斗。交代選手には、神戸の17歳、濱崎健斗を用意する。右はイングランド2部コベントリーで好調を維持する坂元達裕。久保建英らは休ませる。

 守備的MFは佐野海舟と藤田譲瑠チマのふたり。遠藤航、守田英正の中心選手は休ませる。イングランド2部ですっかり実力派に成長した田中碧は、今回は交代要員とする。

 右サイドバック(SB)は推進力の菅原由勢か、運搬力の毎熊晟矢かの2択だが、筆者の好みではわずかに後者が上回る。左SBはケガから回復した伊藤洋輝。チャンピオンズリーガーとしての貫禄を見せつけてほしい。センターバックは順当ならば板倉滉。

もうひとりは高井幸大を試したい。GKも小久保玲央ブライアンを試したい。

 従来のメンバーに固執すれば下り坂に入る。W杯本大会を1年3カ月後に控えたいま、日本代表にほしいのは勢いで、その源となる競争意識だ。このままでは岡田ジャパン(第2期)、ザックジャパンの二の舞を演じることになると見る。第4コーナーを回った段で失速する。

 いまこそ新たな選手を登用する必要性を感じる。それは本大会出場を確実に決めてから、などと石橋を叩いて渡るような慎重すぎる態度を取っていると、勢いは生まれない。

 このメンバーでも監督采配がしっかりしていれば十分勝てる。同時によいサッカーも期待できる。そうした意味でも守備的な3バックはやめてほしい。新たな発見がいくつあるか。

バーレーン戦、サウジアラビア戦に求められる成果はこれに尽きる。

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