3歳牡馬三冠レースの初戦、GI皐月賞(中山・芝2000m)が4月20日に行なわれる。

 今年はとにかく、クロワデュノール(牡3歳)の「1強」ムード。

GIホープフルS(12月28日/中山・芝2000m)を無傷の3連勝で圧勝したうえ、そのホープフルSをはじめ、同馬がこれまでのレースで負かしてきた馬たちが年明けの重賞やオープン特別で勝ち続けているからだ。

 スポーツ報知の坂本達洋記者も、そのあたりを補足してこう語る。

「(クロワデュノールは)ホープフルSでは後続に2馬身差をつける完勝。しかもその後、同レースの2着馬ジョバンニ(牡3歳)がリステッド競走の若葉S(3月22日/阪神・芝2000m)を快勝し、3着馬ファウストラーゼン(牡3歳)もGII弥生賞(3月9日/中山・芝2000m)を、4着馬ジュタ(牡3歳)もリステッド競走の若駒S(1月25日/中京・芝2000m)を勝っています。

 ほかにも、11着マスカレードボール(牡3歳)がGIII共同通信杯(2月16日/東京・芝1800m)、13着ピコチャンブラック(牡3歳)がGIIスプリングS(3月16日/中山・芝1800m)で勝利。ホープフルSがハイレベルな一戦だったことは間違いなく、その勝ち馬であるクロワデュノールが断然の評価を受けるのもうなずけます」

 そのクロワデュノールについては、坂本記者も手放しで称える。

「どこかに死角はないか探してみましたが、さしたる不安要素は見つかりませんでした。ローテーション面についても、最近では外厩の充実やレースでの消耗を考慮して、前哨戦を使わずに本番へ向かうパターンが定着。実戦を使わなくてもきっちり仕上げきれるノウハウが蓄積されていて、実際に2019年のサートゥルナーリア、2020年のコントレイルがホープフルSからの直行で皐月賞を制しています。

 また、皐月賞はコーナー4つの中山・芝2000mにおける舞台適性も大きなポイントとなります。その適性から逆転候補を探してみましたが、クロワデュノール自身、同じ舞台で世代上位のメンバーを相手に正攻法の競馬で堂々の勝ちっぷり。クロワデュノール以上に適性を感じる馬は見当たりませんでした」

 となると、今年は穴党の出番はないのだろうか。

坂本記者は「いえ」と言って、こんな見解を示す。

「今年は重賞勝ち馬が8頭参戦。クラシック初戦にふさわしい好メンバーがそろいました。クロワデュノール以外は力関係の比較が悩ましいところで、今回は妙味ある相手探しによる好配当狙いが吉と言えるのではないでしょうか」

 そこで、坂本記者はクロワデュノールが勝っても、オイシイ配当が期待できそうな穴馬候補2頭をピックアップした。1頭目は、カラマティアノス(牡3歳)だ。

【競馬予想】皐月賞はクロワデュノールの相手探し 好配当見込め...の画像はこちら >>
「前走の共同通信杯でも2着と好走していますが、この馬は中山コースでさらにパフォーマンスを上げてくると見ています。デビュー2戦目の未勝利戦(9月16日)で中山・芝1800mを走っていますが、前が止まらない馬場、展開にあって、中団後方から追い上げてハナ差、クビ差の3着。ゴール前では差しきる勢いでしたから、内容は悪くありませんでした。

 そこから、心身ともに成長。"ここぞ"というところで、鋭い決め手を繰り出せるのは、今回のメンバーであっても大きな武器になると思います。

 また、手綱を取る戸崎圭太騎手が、この中間の調整過程から手応えをつかんでいることは見逃せません。共同通信杯の前には追い切りで左にもたれる面がありましたが、今回の1週前追い切りでは『(もたれる面が)まったくなくて、すごくいい感じで追い切りができた』と戸崎騎手。

続けて、『具合がいい雰囲気を感じました。追い切りがスムーズだったので、右回りのほうかいいのかも』と好感触を口にしていました。

 同馬を管理する奥村武調教師も、『迫力のある動きができていたので、よかったと思う』と納得の様子。前走を使っての上積みも十分にありそうです。

 前走の取材時と比べて、陣営のトーンの違いは明らかでした。中山替わりで一段階上の走りを見せてもおかしくないと思っています」

 坂本記者が推奨するもう1頭は、スプリングSの覇者ピコチャンブラックだ。

「こちらは、中山実績があることからも無視できない1頭です。2走前のホープフルSは13着と大敗しましたが、初めての多頭数の競馬で、タフなレースになったことが響きました。おかげで、集中力が切れてしまって、力を出しきれませんでした。

 しかし、前走のスプリングSでは好位で運んで、石橋脩騎手の好判断もあって、3角先頭から押しきる強い内容。あらためて能力の高さを証明しました。

 やはり、この馬の一番の魅力はエンジンのよさ。

新馬戦(7月20日/福島・芝2000m)で7馬身差の圧勝劇を演じているように、持っている力を発揮できれば、相当な走りをしてくれます。

 この中間も、石橋脩騎手が2週前、1週前と追い切りに騎乗。毎週のように入念なコンタクトを取っており、気持ちの難しさもカバーしてくると思います。

 管理する上原佑紀調教師が『距離はもっとあっていいと思います』と分析するように、前走から1ハロン延びる2000m戦にも不安はありません。今回もリズム重視の乗り方になると思いますが、前、前で運んでいければ、有力各馬に出し抜けを食らわせても......と、楽しみなイメージが膨らみますね」

 2020年、断然人気のコントレイルが勝った際にも、8番人気のガロアクリークが3着に突っ込んできて好配当を演出している。ここに名前を挙げた2頭が今年、その再現を果たしても不思議ではない。

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