今季米女子ツアーでも日本勢が躍動している。なかでも、際立った活躍を見せているのは、本格参戦2年目の西郷真央(23歳)だ。
日本人選手5人目のメジャータイトルを手にして、CMEグローブ ポイントランキングは現在4位という西郷。彼女の躍進の理由、そして強さの秘密について、JLPGAの永久シード保持者である森口祐子プロに話を聞いた――。
西郷真央(さいごう・まお)2001年10月8日生まれ。千葉県出身。身長158cm。血液型AB。
今季米女子ツアー1勝。CMEグローブ ポイントランキング4位(7月1日現在)
西郷真央さんは、日本女子ツアー本格参戦を果たした2020-2021シーズンのパーオン率が3位、2022シーズンが10位、2023シーズンが4位。この数字を見ると、やはりショット力、とりわけアイアンショットの正確性は、プロデビュー当時からすごいモノがあったのだなと思いますよね。
プロ1年目は2位が7回と、あと一歩で優勝することができませんでしたが、2年目の2022シーズンでは開幕戦でツアー初勝利を挙げると、そこから堰を切ったように勝ち星を重ねて、5月半ばまでに5勝という快進撃を披露。
しかしその年の最終戦、JLPGAツアー選手権リコーカップは4日間で通算35オーバーという大乱調でした。主な要因は、ドライバーのティーショットがイップスぽくなっていたこと。そのため、ドライバーを使えずにスプーンでティーショットを打ったりしていたのですが、それでもダメで......。
正直、見ているこちら側としては、棄権するんじゃないかと思っていました。でも、彼女は最後まで戦い抜いたんですよね。
そうして、翌2023シーズンの半ばを迎えた頃には、不振のドライバーも復調。その年の米女子ツアー予選会を2位で通過し、翌2024シーズンから米ツアー参戦を果たしました。私は、彼女がアメリカに行くことは、このタイミングがよかったなと思っています。
米ツアー1年目の昨年は、結局優勝はできませんでしたが、1990年の小林浩美さん以来となる、日本人ふたり目のルーキーオブザイヤーを受賞。そして2年目の今季、メジャー初戦のシェブロン選手権で米ツアー初優勝を飾りました。
シェブロン選手権は最後、5人によるプレーオフとなりました。
迎えたプレーオフ。西郷さんは、本戦の18番のときとほぼ同じ攻め方を見せました。グリーン奥からの3打目のアプローチも、(ピンに対して)ほとんど一緒の角度からでした。
私は、「ショットが得意な西郷さんだから、同じショットをなぞっていくような形は悪くないのではないか」と思って見ていました。実際、西郷さんはその1ホール目で、ただひとりバーディー。初優勝がメジャー制覇という快挙を成し遂げました。
西郷さんの強さと魅力は、やはりショット力。そのことを、あらためて感じさせる優勝だったと思います。