真夏の大一番、GII札幌記念(札幌・芝2000m)が8月17日に行なわれる。

 夏競馬唯一のGIIとあって、秋の大舞台を見据えた一線級の馬も出走することが多い注目の一戦だが、今年はちょっと様相が違うようだ。

長期滞在で北海道競馬を取材中の、日刊スポーツの太田尚樹記者が語る。

「正直なところ、今年は例年のような豪華メンバーが集まりませんでした。GI馬もステレンボッシュ(牝4歳)だけ。しかも、同馬は今年2戦が案外で、断然の主役というまでには至りません。おかげで、翌々週の『GIII新潟記念(8月31日/新潟・芝2000m)のほうが、好メンバーがそろっているのでは』といった声が囁かれているほどです。

 その要因としては、ハンデ戦だった新潟記念が今年から別定戦に変更。そちらにも、実績馬が出走しやすくなった、ということが挙げられるのではないでしょうか」

 今年は、やや小粒なメンバー構成となった札幌記念。そうした状況にあって、太田記者は馬券予想においてはこんな見解を示す。

「札幌記念はもともと1番人気が13連敗中のレースですが、今年は前走で馬券に絡んだ馬もわずか4頭。実績馬だけでなく、好調馬も少なく、波乱要素たっぷりです」

 太田記者が言うとおり、札幌記念はそもそも波乱含み。勝ち馬にはそれなりの面々の名前が並ぶが、過去10年の3連単の配当はすべて万馬券。10万円を超える高額配当もしばしば生まれている。

 そういった傾向のあるレースにあって、今年は例年以上に混戦模様。思わぬ伏兵の台頭も十分に考えられ、過去にないほどのビッグな配当が飛び出してもおかしくない。

 そこで、太田記者は2頭の穴馬候補をピックアップした。1頭目は、シュトルーヴェ(せん6歳)だ。

【競馬予想】例年以上に波乱含みの札幌記念 人気の盲点になりそ...の画像はこちら >>

「今回、前走のGIIIダイヤモンドS(2月22日/東京・芝3400m)から1400mもの距離短縮に踏みきって、3年ぶりの2000m戦で挑んできましたが、力を要する洋芝ならこなしてくれる......というか、むしろ合うのではないか、と見ています」

 太田記者が触れた3年前の2000m戦は、夏の新潟の未勝利戦。やや重の力を要する馬場で、5馬身差の圧勝劇を演じている。一方で、気になるのは約半年ぶりのレースであることだが、太田記者によれば、その点も「不安はない」と言う。

「今回の鞍上を務めるレイチェル・キング騎手が1週前追い切りに騎乗。彼女は『(シュトルーヴェは)気分がよくてフレッシュ。2000m戦へ向かうにあたっては、いいと思うわ』と手応えを得ていました。

 GII2勝の実績馬ですし、先週の札幌で6勝を挙げている鞍上も魅力です。鉄砲駆けの実績もありますし、ガラリと一変の可能性は大いにあると思います」

 太田記者が注目しているもう1頭は、トップナイフ(牡5歳)だ。

「穴馬なら、この馬も無視できません。一昨年のレースでも、9番人気で2着と好走しています。以来、連対実績はありませんが、昨年末に膝の手術をして今回が3戦目。そろそろ変わり身が期待できます。

 同馬を管理する昆貢厩舎の昆昌輝調教助手も、『もともと叩き良化型。前回より全然いいと思います』ときっぱり。大きな上積みを見込んでいます。

 前走のGIII函館記者(10着。6月29日/函館・芝2000m)では、前崩れの展開にも泣かされました。今回も、同じ厩舎で先手を取りたいアウスヴァール(せん7歳)との兼ね合いがポイントになりますが、状態が上がっていること考えれば、2年前の再現があっても不思議ではありません」

 北海道シリーズの総決算でもある札幌記念。人気の盲点となりそうな実績馬2頭の大駆けに要注意である。

編集部おすすめ