下半期の短距離王決定戦となるGⅠスプリンターズS(中山・芝1200m)が9月28日に行なわれる。

 今年もスプリント路線を代表する好メンバーが集結。

スポーツ報知の坂本達洋記者も見応えある一戦を前にして心を躍らせる。

「昨年の覇者ルガル(牡5歳)、一昨年の勝ち馬ママコチャ(牝6歳)に、今春のGⅠ高松宮記念(3月30日/中京・芝1200m)を勝ったサトノレーヴ(牡6歳)、さらに香港からも実績馬ラッキースワイネス(せん7歳)が来日。豪華な顔ぶれがそろいました。

 香港馬のラッキースワイネスは、2023年に国際招待競走のGIチェアマンズスプリントプライズ(シャティン・芝1200m)、GⅠ香港スプリント(シャティン・芝1200m)などを制して、"スプリント王国"の雄に君臨していた実力派。7歳を迎えて、さすがに全盛期をすぎた感はあるものの、その地力は侮れません。人気になれば、上位馬の人気が一段と割れるでしょうから、穴党にとっては歓迎でしょう」

 スプリンターズSの過去を振り返ってみると、1番人気は過去10年で4勝、3着2回とまずまずの成績だが、直近4年は3着が1回あるだけ。全幅の信頼は置きづらい。一方で、伏兵の台頭が頻繁に見られ、波乱含みの一戦であることは間違いない。坂本記者もこう語る。

「トップクラスのメンバーがしのぎを削る一戦とあって、ひと筋縄ではいかないのが面白いところ。過去10年の結果を見ても、3連単では10万円超えの高額配当が5回も出ています。1番人気のストレイトガール、ファインニードルが勝った2015年と2018年も、いわゆる"ヒモ荒れ"となって、10万円超え、20万円超えの高配当となりました。

 つまり、穴党の出番が大いにあるレース。そして、"ヒモ荒れ"の波乱を演出してくれそうな穴馬を狙っていくことが、高配当ゲットへの近道となるのではないでしょうか」

 では、坂本記者が狙い目に定めるのはどの馬なのか。まず、ウインカーネリアン(牡8歳)の名前を挙げた。

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「メンバー最年長の8歳馬ですが、脚質から軽視するのは禁物です。今春のドバイワールドカップデーでは、GⅠアルクオーツスプリント(4月5日/メイダン・芝1200m)に出走。果敢にハナをきってゴール寸前まで先頭で粘る、見せ場たっぷりの内容で2着と好走しました。力に衰えのないことを証明したと思いますし、自分の形に持ち込めれば簡単には止まらないと見ています。

 その後はじっくりと休養し、スプリンターズSへ向けてのステップレースとして、前走ではGⅢキーンランドC(8月24日/札幌・芝1200m)に出走。フィオライアにマークされる形になりながら、勝ったパンジャタワーからコンマ2秒差の5着なら、及第点の内容、結果だったと言えるでしょう。

 現地で取材していましたが、レース後に鞍上の三浦皇成騎手が『体は週を追うごとによくなっていましたが、息のほうは(本来のものとは)違いました。このあとは、ここを使って無事なら(状態は)もう一段階上がってくると思います。楽しみです』とコメント。

先を見据えての仕上げだったようで、本番がますます楽しみになりました。

 キーンランドCのあとは美浦に戻って、じっくり乗り込まれてきました。美浦のWコースでの1週前、当週の追い切りではきっちり先着。その動きのよさは、目を引きました。

 管理する鹿戸雄一調教師も、『前走と比べてしっかりと上がってきている』と好感触を得ている様子。スプリンターズSでは、さらに上のパフォーマンスを見せてくれそうです。

 Cコースになって2週目となる中山・芝コースも、まだまだ逃げ、先行勢が有利な印象。今週も週末の天気はよさそうで、良馬場であれば前が有利とみます。大外枠でも、ポンと好スタートを切って、すんなり逃げられれば、ゴール前までアッと言わせるシーンがあってもおかしくありません」

 坂本記者はもう1頭、目をつけている馬がいるという。こちらもまた、今春のドバイのアルクオーツスプリントで5着と健闘したピューロマジック(牝4歳)だ。

「同馬も脚質にフォーカスして、あぶり出した1頭です。

 3歳だった昨年のレースでは、ハイペースを逃げて8着。

当時は優れたスピードを誇りながら、前進気勢が強く、勢いにまかせた"逃げ馬"でした。それが、2走前のアルクオーツスプリントで控える形を取って、結果は5着でしたが、ゴール前の伸び脚には光るものがありました。

 実際、続く前走のGⅢアイビスサマーダシュ(8月3日/新潟・芝1000m)でも、鞍上のクリストフ・ルメール騎手がうまく前に壁をつくって、残り200mを切ったところで抜け出して快勝。上がり3ハロンでは、JRA史上最速となる31秒3というタイムを叩き出しました。まだ半信半疑なところはありますが、あらためて非凡な能力を証明したと言えます。

 今回の鞍上は松山弘平騎手。昨年のGⅢ北九州記念(1着。小倉・芝1200m)以来のコンビとなりますが、栗東のCWコースでの最終追い切りに騎乗。直線に入ってからも先行する僚馬の後ろで我慢させながら、最後はビュンと伸びていきました。メリハリの利いた内容で、中身の濃い追い切りだったのではないでしょうか。

 サトノレーヴをはじめとした有力馬を見る形で、道中ひと脚タメて、前が苦しくなるような流れになった場合は、一気に浮上する可能性があると踏んでいます」

 激戦必至の"電撃戦"。人気勢にもヒケを取らない力を秘める、ここに挙げた2頭の激走に期待したい。

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