クロワデュノール(牡3歳)、ビザンチンドリーム(牡4歳)、アロヒアリイ(牡3歳)と、今年は日本調教馬が3頭出走するGI凱旋門賞(10月5日/パリロンシャン・芝2400m)。3頭とも前哨戦を勝利しての参戦で、これまで以上に勝利への期待が高まっている。
だが、現地10月2日の10時45分から行なわれた枠順抽選で、アロヒアリイこそ4番枠と好枠を引いたものの、ビザンチンドリームは15番枠、クロワデュノールは17番枠と、凱旋門賞では不利とされる外枠へ。枠順的には厳しい状況に置かれた。
さらに、3頭の前に立ちはだかるのは、地元フランスをはじめとした欧州の強豪馬たち。日本の3頭にとっては、それこそが最大の壁と言える。
欧州の各ブックメーカーでは、デビュー6戦5勝、現在GⅠ3連勝中のミニーホーク(牝3歳/アイルランド)と、昨年の凱旋門賞2着馬のアヴァンチュール(牝4歳/フランス)の"2強"といった評価が断然。それに続く3番手は5~6頭がひしめいて、クロワデュノール、ビザンチンドリームはそのなかに含まれている。
いずれにせよ、上位2頭の強さは相当なもの。特に近年は牝馬の活躍が目立っており、昨年も牝馬がワンツーフィニッシュを決めている。過去10年の結果を振り返ってみても、牝馬が5勝、2着4回と、明らかに無視できない存在となっている。
とはいえ、凱旋門賞では馬場や枠順の影響が大きいこともあって、穴馬の激走も頻繁に見られている。たとえば2021年には、日本(JRA)発売で13番人気だったトルカータータッソが勝利。単勝が万馬券という大波乱となった。
無論、今年も日本での馬券発売が行なわれる。ということで、ここでは好配当が期待できる外国馬の穴馬候補をピックアップしていきたい。
まず注目したいのは、ソジー(牡4歳/フランス)。昨年の4着馬で、普通に考えれば、有力候補に挙げられる1頭だ。実際、欧州の各ブックメーカーでは3番手評価の一角に入っている。
だが、おそらく日本では人気の盲点になると思われる。というのも、フランス調教馬のなかでは、日本調教馬のように硬い馬場を好む存在と見られていて、渋った馬場では能力を発揮できないというイメージが浸透しているからだ。
しかも、現地の天気は金曜、土曜ともに雨。パリロンシャン競馬場の排水性はかなり改善されているとはいえ、レース当日は重馬場が予想される。となれば、一段と評価は下がるだろう。
しかし、同馬のパリロンシャン競馬場での戦績は、7戦5勝(うちGⅠ3勝)、2着1回。抜群の相性を誇っている。
そして、その昨年の凱旋門賞だが、馬場状態を表わすペネトレメーターの数値は3.8。かなり重い馬場だった。それでいて、強豪相手に4着。他にも同数値が3.6という状態で2勝を挙げており、イメージほど重馬場下手ではないのだ。
また、同馬を管理するのは、凱旋門賞8勝を誇るアンドレ・ファーブル調教師。今年はGⅡニエル賞(9月7日/パリロンシャン・芝2400m)を勝ったクアリフィカー(牡3歳/フランス)との2頭出しで勝機を伺う。2020年には前走がマイル戦だったペルシアンキングを出走させて3着。出走させるからには、勝ち負けできる自信があってのことだ。
手綱をとるのも、ステファン・パスキエ騎手。ディープインパクトが出走した時の凱旋門賞を勝ったレイルリンクの鞍上だ。昨年はアヴァンチュールを2着に導いている。
まさにソジーには"買い"の要素がズラリ。にもかかわらず、人気の盲点となるなら、買わない手はないだろう。
続いて面白そうなのは、ブックメーカーによっては8月まで1番人気に評価するところもあったカルパナ(牝4歳/イギリス)だ。
評価を落とすことになった要因は、前走のGⅢセプテンバーS(9月6日/ケンプトン・AW2400m)。そこで、同じく凱旋門賞に出走するジアヴェロット(牡6歳/イギリス)の2着に敗れてしまったのだ。
加えて、凱旋門賞出走には「馬場が渋ること」を条件に挙げ、ギリギリまで出否を迷っていた。それだけに、なかなか手を出しづらい1頭、という評価となっている。
だが、もともとは1番人気に評価されていたような馬。その実力は確かだ。そんな馬がそれなりの配当をつけるのであれば、オイシイ存在であることは間違いない。
2走前にはGⅠキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(7月26日/アスコット・芝2390m)で、欧州2400m路線における現役最強馬の呼び声もあるカランダガンの2着。これを物差しにすれば、今年の出走メンバーのなかでも最上位クラスと言える。
昨秋のGⅠ英チャンピオンズフィリーズ&メアズS(アスコット・芝2320m)では、重馬場を物ともせずに完勝。渋ったパリロンシャンで好走している馬は、のちに渋ったアスコットで活躍していることが多く、当然その逆も考えられる。デビューしてから12戦すべて3着以内と安定感もあり、渋った馬場を味方にして上位争いに加わっても何ら不思議ではない。
最後にもう1頭、気になる馬がいる。前走のGⅢプランスドランジュ賞(9月14日/パリロンシャン・芝2000m)で、クロワデュノールに僅差の2着で敗れたダリズ(牡3歳/フランス)だ。
前走ではクロワデュノールよりも1kg軽い斤量で敗戦。その点を踏まえれば、常識的には手を出しづらいところだが、直線で不利を受けながらもゴール前ではクロワデュノールに迫って見せた。
こちらも馬場が渋ってくれることは大歓迎。2番枠という好枠を引いて、クロワデュノールとの差も十分に埋められる。スムーズに運ぶことができれば、一発あってもおかしくない。