FIFAワールドカップ2026出場国紹介 ブラジル

 来年北中米で行なわれるFIFAワールドカップ2026の出場国を紹介。ここでは第1回から23大会連続出場を決めたブラジルの近況をお伝えする。

【南米予選で大苦戦】

 世界で唯一、第1回のワールドカップからすべての大会に出場しているサッカー王国・ブラジル。FIFAワールドカップ2026南米予選で本大会出場権を獲得し、その連続出場を23大会まで伸ばした。しかし、歴代最多優勝を誇るブラジルにとって、決して手放しで喜べるような予選ではなかった。

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 今予選の最終順位は5位。これは前回大会であれば、大陸間プレーオフに回る順位である。今大会は出場国数が増え、南米の本大会出場枠が4.5から6.5カ国に増加したことで、プレーオフ行きを免れた格好だ。

 また、ブラジルが獲得した勝ち点28も、10カ国の総当たり形式の予選となってから同国史上最も少なく、初めて勝ち点30を下回った。

 今予選のブラジルは、スタートから異例の体制だった。カタール大会で退任したチッチ監督の後任が決まらず、2023年2月にU-20代表監督のラモン・メネゼスを暫定監督に据え、同年7月にフルミネンセとの兼任かつ1年契約という異例の形で、フェルナンド・ジニスを暫定監督に任命した。

 ジニスが暫定の1年契約だったのは、2024年のコパ・アメリカ後に、当時レアル・マドリードを指揮していたカルロ・アンチェロッティの代表監督就任が決定的とされていたからである。

 ジニス体制で予選を迎えると、開幕から2連勝といいスタートを切ったものの、第4節からウルグアイに0-2、コロンビアに1-2、アルゼンチンに0-1と南米予選で同国史上初の3連敗を喫した。さらに、南米予選で64試合無敗を誇っていたホームで初の敗戦。しかも、それがアルゼンチンとの"スーペルクラシコ"という、ブラジルにとってはあまりに屈辱的で不名誉な敗戦となった。

 この敗戦でジニスは就任からわずか6カ月で解任され、2024年1月にドリヴァウ・ジュニオールが監督に就任した。6~7月のコパ・アメリカは準々決勝敗退となったが、その後の南米予選は4勝2分1敗と徐々に立て直しを図れていた。

 しかし、2025年3月の第14節、アルゼンチンとのアウェーで1-4の大敗。4失点での敗戦は予選史上ワーストスコアな上、予選で初めて(しかもアルゼンチンに)ダブルを食らった。これが引き金となり、ジュニオール監督は解任された。

 そして、同年5月にレアル・マドリードとの契約を満了したアンチェロッティが監督に就任。史上初の外国人監督の誕生となった。

【名将・アンチェロッティがチームを立て直すか】

【FIFAワールドカップ】ブラジル代表はジンクス発揮?「予選で苦戦は本大会で強い」
 アンチェロッティはイタリア人らしく、まず守備組織を再建し、就任から3試合連続でクリーンシート(無失点)を達成。攻撃においても、タレント任せの単調な攻撃から脱却し、連係した攻撃を構築。短い期間ながら攻守に確かな変化をもたらしている。

 そんなアンチェロッティが作るチームの中心となるのは、レアル・マドリードで共に戦ったカゼミーロやエデル・ミリトン、ヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴらだろう。そこにマルキーニョスやラフィーニャ、ブルーノ・ギマランイスといった経験豊富なタレントが加わり、組織と個が融合した次世代のセレソンが生まれようとしている。

 不名誉な記録ばかりの予選だったが、最後に優勝した2002年日韓大会がそうだったように、予選で苦しんだ時こそ、本大会で強いというジンクスがセレソンにはある。名将・アンチェロッティに導かれ、新生セレソンがどんな戦いを見せるのか注目である。

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