奥川恭伸が語る2025年シーズン(後編)
前編:ヤクルト・ケガなき1年を過ごした奥川恭伸に訪れた次なる試練はこちら>>
6月に入ると、奥川恭伸の表情に徐々にではあるが、明るさが戻ってきた。
「この頃、取り組んでいたのは体の開きを抑えることでした。
【先入観が邪魔をしてしまう】
今シーズンの初勝利は、7月19日の神宮での広島戦だった。7回3安打無失点と圧巻のピッチングだった。同27日の中日(神宮)でも7回2失点の好投で2連勝。8月3日の阪神戦(神宮)も7回を投げきって3連勝。初回から3回まで、初球はすべてストライクという奥川らしいピッチングだった。
通算成績を3勝4敗まで戻したが、その後は思うようなピッチングができない試合が続いた。
「難しかったですね。技術的にもうまくいってなかったのですが、先入観がすごく邪魔をしているなと。細かいことですが、配球していくなかでバッターの得意な球種も投げないといけないし、コースにもきっちり投げないといけない。その時に『危ない』という先入観が働いて、それでストライクゾーンに投げきれず、カウントを悪くする流れになってしまった。2021年はそういうことを考えずにできていたんですが、今はいらない情報を入れすぎてしまったのかなと」
四死球は投球回100イニングで37個を数えた。
「コントロールがいいというイメージはやめてほしいと思いつつも、自分でもやっぱりちょっと多いよなって(苦笑)。アウトコースで簡単にストライクが取れず、変化球でもカウントも取れないといった部分もありますけど、先ほども言いましたがゾーンで勝負できなかったですね。四球の大半は、勝負にいくのが怖くて......という感じでした」
奥川は「今年はこれくらいはやれるんじゃないかという自分の想像から、かなりかけ離れてしまいました」と振り返ったが、「来年はしっかり力をつけて、自信を持ってあのマウンドに立てるようになりたい」と前を向いた。
「オフにはもう一度しっかり体を鍛えて、150キロをコンスタントに超える真っすぐを投げたいと思っています。球速が上がれば、打者の変化球への反応も変わってくるはずですし、その変化球の精度も高めていきたいです。得点圏や点を与えられない場面で、きっちり三振を取る。無駄な四球は出さない。そして、自信を持ってゾーンで勝負する。
今年はバッターに『その球を狙われるのが嫌だな』と思うこともありましたが、来年は狙われても、しっかり投げ込んでファウルを取れる状態にしたいです。それができれば、もとの自分のスタイルに戻れるし、もっとよくなると思っています。規定投球回と2ケタ勝利も達成できるんじゃないかなと」
【力を抜くことを思い出した】
現在、フェニックスリーグに参加中の奥川は、14日の西武戦(南郷)で2回に5連打を浴びて4失点するも、3回から5回までの3イニングは1安打無失点4奪三振と好投し、マウンドを降りた。
試合後、奥川は「言葉はよくないかもしれないですけど、力を抜くことを覚えました」と、笑顔を見せた。
「いや、力を抜くことを思い出しました、ですね(笑)。フォームとボールのギャップ、打ち取り方を思い出しました。そこからは、真っすぐでもファウルを取れた。結局、今年は強い球を投げたい、速い球を投げたいと、力が入りすぎていたんですね」
オフには、昨年から取り組んでいる体づくりに取り組む予定だ。
「強い球、速い球が投げられるように、11月から1月はしっかりトレーニングできる期間なので、引き続きその土台づくりをしていきたいと思っています」
奥川は長きにわたるケガで、野球人生で初めてとなる挫折を知り、今年は大好きな投げることでまた挫折を味わった。このふたつの挫折を乗り越えた時、ヤクルトに待望のエースが誕生する。










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