【演技直後に流した涙】
11月8日、大阪。GPシリーズ第4戦NHK杯のフリースケーティングで、今季限りでの現役引退を発表している樋口新葉(24歳/ノエビア)は、力の片鱗を見せていた。そのリカバリーは、さすが歴戦の猛者だった。
「昨日のショート(プログラム)と違って、地に足がついた感覚で滑ることができました。自分の最高のパフォーマンスができる状態ではない試合で、滑りきれたのがうれしかったですね。ここまで滑れたって」
樋口は振り返るが、演技直後は氷上に膝をついて頭をうずめ、数秒間、微動だにしなかった。心身ともに疲弊したか。起き上がった彼女は涙を流していた。
今シーズン、樋口は右足甲のケガに悩まされ、痛みを抱えながらの練習を続けていたという。現役最後と決めたシーズンは出遅れ、公式戦は約2カ月ぶりだった。試合勘も鈍ったまま、痛み止めの薬を服用しながらの演技だ。
「最後は気持ちだと思っているので、気持ちで持っていけるように」
樋口は言う。腹のくくり方が彼女らしい。その気概で、彼女はいつだって瀬戸際で流れを逆転してきたのだーー。
【痛みと不安と対峙してきた日々】
11月7日、ショートプログラム(SP)の舞台に立った樋口は、実戦に向けてよく体をしぼっていた。彼女自身の内面は揺れていたはずだが、泰然自若に映った。
もっとも、心がどれだけ強くても痛みを抱えた体はついてこない。右足甲のケガは耐え難いストレスだった。ジャンプは着氷のたび、激痛が走り、乱れが出た。練習の回数を減らしたところが納得できないジャンプとなり、結局は回数が増え、痛みも増すという悪循環だった。
「やんなきゃって気持ちは大きかったです。ケガで痛くなったのは仕方ないんですけど、痛くなったのを理由にできないのが、自分のなかでは悔しくて」
樋口はそう言って乾坤一擲でSPに挑んだが、やはりジャンプは苦戦した。ダブルアクセルは成功も、3回転ルッツは2回転になり、コンボもつけられなかった。3回転フリップも回転不足の判定。ケガだけでなく、実戦からも離れていたことも影を落としていた。
「練習と試合は緊張が全然違うので......それに(9月の)木下カップの体調不良のことだったり、そこで滑った時の感じだったり、自分は本当に力を発揮できるのかって不安になってしまって」
そう語った樋口だが、不思議と堂々としているようにも映った。
「焦っているんですけどね」
彼女はそう言って、苦笑を浮かべる。
「焦ってもうまくいかないので、できること、やらないといけないことを考えながら、自分のベストを尽くせるように考えています。ただ、練習では無意識に怖がって変な方向に跳び上がっているんだろうなって。その緊張と変な感覚が合わさって、本番ではルッツが曲がっちゃいました。無意識に痛みをかばう動きをなくせるといいんですけど......」
SPの53.15点で10位は、思わぬ出遅れと言える。もっとも、北京五輪ではトリプルアクセルを成功させて4位と健闘し、団体でメダルにも貢献した実力者は意地も見せた。スピンはオールレベル4だ。
「スピンのレベルを取れたことが自分のなかで大きい。練習はしていましたけど、不安もあったので。ジャンプは失敗しましたが、おかげで50点台に上げられました。そこは自信を持って、フリーも滑れたらいいかなって思います」
【大観戦のステップシークエンス】
そして翌日のフリー、樋口は実力の一端を見せた。冒頭のダブルアクセル+3回転トーループを成功すると、曲のテンポに乗って流れをつかむ。3回転ルッツ、3回転ループをどうにか降りて、寄る辺のスピンにつなげる。
「フリーはショートより自信を持って滑れる練習を重ねてきた。"全部出しきれば大丈夫"と思っていました。落ち着いて呼吸できて演技できたのがよかったです」
ただ、そのあとの3回転ルッツは転倒し、予定していたコンビネーションもつけられなかった。3回転サルコウは2回転になって、どうにか2回転トーループもつけたが、最後の3回転フリップも4分の1回転不足。後半に入って体力が落ちた。それでもスピンはみごとで、ステップシークエンスでは観客の大歓声を浴びた。
「滑っている時は集中して周りの声は聞こえなかったんですが、(体力的に)一番苦しいステップで応援が聞こえたのがうれしかったです」
樋口は明るい声で言う。フリーは115.12点と8位だった。ルッツ、フリップの右足トージャンプが痛みで練習から積み上げられないなか、一歩前へ進んだ。
「フリーは体力面で終盤に息が上がってしまう。後半になっても落ち着いて滑れるような体力をつけないといけないですね。
11月中旬にはスケートアメリカ、年末には全日本選手権へと戦いは続く。オリンピック選考も佳境を迎える。
「勘違いかもしれないけど、昨日から足の状態がいいかなって。試合だから痛み止めを飲んでいますが、飲んでも痛いというのが続いていたんです。安心して滑れたのは、来週のスケートアメリカにもつながるかなって。全日本もできることを精一杯!」
競技人生最後のNHK杯は合計168.27点で総合9位だった。満足できる数字ではないだろう。ミラノ・コルティナ五輪出場に向けた状況は甘くない。
しかし、樋口は逆転へのきっかけを大阪のリンクでつかんだはずだ。



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