2025年最後の活動で、日本代表のFW陣に新たな候補者が加わってきた。
11月14日に豊田スタジアムで行なわれたガーナとのテストマッチで、20歳の後藤啓介(シント・トロイデン)が初招集で国際Aマッチデビューを飾ったのだ。
来年の北中米ワールドカップへ向けて、「やっとスタートラインに立てました」と話した。U-20世代ではGKピサノアレクサンドレ幸冬堀尾(こうと・ほりお/名古屋グランパス)、MF大関友翔(川崎フロンターレ)、それにこの日一緒にプレーしたMF佐藤龍之介(ファジアーノ岡山)に続いて、2025年の代表活動でピッチに立ったことになる。
彼ら3人がJリーグでプレーしているのに対して、後藤は海外組だ。高校卒業前の2024年1月に、ジュビロ磐田からベルギーの名門アンデルレヒトに移籍した。しかし、トップチームでなかなか出場機会をつかむことができない。191cmのサイズを持つ世代屈指の大型ストライカーは、日本代表の森保一監督へのアピールをできずにいた。状況が変わったのは今シーズンだ。同じベルギー1部のシント・トロイデンへ期限付き移籍すると、ここまで12試合に出場して4ゴールを記録している。9月後半からはスタメンに定着し、代表初招集を勝ち取ったのだった。
豊田スタジアムで行なわれたガーナとの一戦では、75分から出場した。上田綺世(フェイエノールト)に代わって、1トップのポジションに入った。
残り15分で、スコアは2-0である。
「森保さんからは、入る時にまず守備から、ゼロで終わらせるためにしっかりハードワークというのは言われて入ったので、そこはしっかり意識しました。そのなかで、最後に自分が出てから点が取れたら、なおよかったかなと思います」
前線からの守備を意識しつつ、得点機を探った。ガーナのCBと駆け引きをしながら、背後へ抜け出そうとした。
ただ、何度もアクションを起こしたが、パスは出てこなかった。191cmのサイズを生かせるクロスが、ゴール前に入ってくることもなかった。このあたりは、スコアと時間帯が関係していただろう。パスの出し手とタイミングを合わせるのに、多少の時間を要するのも事実だ。
【長身FWが定着できなかった過去】
84分には佐野海舟(マインツ)からのパスを受け、ワンタッチでさばいて佐藤へ落とした。意図の見えるポストプレーだったが、タイミングが合わずにシュートにはつながらなかった。
「リュウ(佐藤龍之介)が勢いよく入っているのは見えていたので、コースを狙えば入ると思いましたし、自分自身が(ゴールに対して)半身じゃなくて、けっこううしろ向きで受けちゃったので、前向きの選手をシンプルに使ってと。(ゴールに対して)正面だったので、リュウもコースを打ち分けやすいかなと思ったので、シンプルに落としたって感じです」
後藤のような190cm超えの大型ストライカーをチーム戦術に組み込むことは、日本代表が長く取り組んできたテーマのひとつである。
2010年の南アフリカワールドカップに挑んだ岡田武史監督は、同年1月に190cmの平山相太を初めて招集した。
2014年のブラジルワールドカップへの道のりでは、ハーフナー・マイクがアルベルト・ザッケローニにリストアップされている。オランダ1部のフィテッセで2012-13シーズンと2013-14シーズンにふたケタ得点をマークした194cmの彼は、攻撃に変化を加えられる可能性を秘めていた。しかし、地上戦での崩しに自信を持っていたチームで、「高さ」が求められることはなかった。
森保監督が指揮する現在のチームで言えば、191cmの原大智(京都サンガ)が7月のE-1選手権で追加招集された。前線の複数ポジションでの起用も見込めるユーティリティ性は、攻撃の選択肢を拡げてくれる可能性を秘める。しかし、9月の活動以降は招集されていない。
これまで190cm超えの選手が選ばれず、森保監督のもとでも代表に定着できていないのは、序列を変えるほどの活躍を見せられなかった、というのが最大の理由である。長身選手だから選ばれなかったわけではなく、定着できていないわけでもない。
【伸び盛りの20歳に刺激あふれる環境】
そのうえで言えば、高さにスランプはない。攻撃のオプションとして計算できる。
相手がセットプレーにマンツーマンで対応する場合、長身選手が途中から入ることでマークにミスマッチが生まれることがある。191cmの日本人選手を180cmに届かない選手がマークする、という状況が生まれることもある。それによって、得点のきっかけが増える。ロングスローを攻撃の戦略に加えるのなら、「高さ」の価値はさらに増す。
話を後藤に戻そう。
今回の代表活動期間中に、上田に質問をしたという。
「(フェイエノールト監督のロビン・)ファン・ペルシに何を求められているのかを昨日聞いて、そういうのもあったからこそ今日のファーストプレーだったり、そのあとのプレーもうまくいったなって思います。無理にキープしなくても、ファウルでチームを押し上げるというのも、今日は近くで見ていて思いました。シンプルにプレーするっていうのもいいし。あとはもう、すべての選手を見ても、ミスしても気にしないっていう。
今回の日本代表には、オランダ1部で得点ランキングを独走する上田がいて、同じオランダ1部で実績を積む小川航基(NECナイメヘン)がいて、スコットランドで長くプレーする前田大然(セルティック)がいて、ドイツでキャリアアップをはかっている町野修斗(ボルシアMG)がいる。伸び盛りの20歳には、刺激にあふれる環境だ。
18日には国立競技場へ舞台を移し、南米のボリビアと対戦する。
「練習から森保さんに使いたいって思わせるプレーをして、チャンスを自分でつかみたい」
今回の活動には後藤を含めて5人のストライカーが招集されているが、その後方では細谷真大(柏レイソル)、大橋祐紀(ブラックバーン)、古橋亨梧(バーミンガム)らが列を成している。2025年は代表のユニフォームを着ていないが、浅野拓磨(マジョルカ)も2大会連続のワールドカップ出場を狙っている。
そのなかで後藤は、北中米ワールドカップ行きを勝ち取ることができるのか。
「チームに求められていることしか考えていないので、それをやった結果として(可能性が)生まれてくると思うので。チームに求められていることをやっていきたい」
191cmの後藤がチームに定着すれば、相手守備陣を攻略する手立てが増える。つまりは、上位進出の可能性が高まる。
この男のがんばりが、チームの未来を切り開くのだ。

![ワールドサッカーダイジェスト 2024年 9/19 号 [雑誌]](https://m.media-amazon.com/images/I/61iNZutK1hL._SL500_.jpg)




![[ミズノ] フットサルシューズ モナルシーダ NEO SALA CLUB IN ホワイト/レッド 26.5 cm 3E](https://m.media-amazon.com/images/I/51KyBx5v2JL._SL500_.jpg)

![[ミズノ] フットサルシューズ モレリア TF ブラック/ホワイト 26.5 cm 2E](https://m.media-amazon.com/images/I/41P+itybOvL._SL500_.jpg)


