後編:ブルージェイズが岡本和真を獲得した理由
オフ開始当初、トロント・ブルージェイズは岡本和真獲得の本命とは考えられていなかった。岡本は守備では三塁、一塁が本職だが、昨季ア・リーグ東地区を制したブルージェイズは一塁に主砲のブラディミール・ゲレーロJr.、三塁にはポストシーズンの通算安打記録を樹立したアーニー・クレメントがいるからだ。
しかし、大方の予想を覆す形で岡本と4年6000万ドル(約90億円)の契約を締結した。
果たして岡本は、守備ではどのような形で起用されていくのか? 今回の補強策は日本マーケットにどのような影響を及ぼすのか? ここで新戦力を得たことはトロントのファンベースにどんなメッセージを送ることになるのか?
『MLB.com』のブルージェイズ番記者、キーガン・マセソン氏に聞いた。
前編〉〉〉ブルージェイズが岡本和真を獲得した理由とその背景
【岡本の守備ポジションは?】
岡本はブルージェイズの内野陣に加わり、主に三塁を守ることになると思っている。一塁にはブラディ(ブラディミール・ゲレーロJr.)がいて、昨季は三塁を守ったアーニー・クレメントは二塁に回ることになりそうだ。三塁を少し守ったことのあるアディソン・バーガーは、より多くライトを守ることになると思う。
FAのボー・ビシェットと再契約することになれば話は変わってくるはずで、その場合、クレメントはよりユーティリティ的な役割になるかもしれない。いずれにしても、岡本は三塁が一番しっくりくる。
ブラディが休養を取るときには、岡本が一塁を守ることもあるだろう。ブラディは一塁でおそらく130試合ほど出場して、残りの30試合くらいはDHとして使われるはずだ。その場合、代わりに一塁に入り、バランスを取る役割を果たすのは、去年はタイ・フランス、それ以前はジャスティン・ターナーやブランドン・ベルトが務めた。今後はそれが岡本になるのだとすれば、それもまたメイクセンス(意味を持つこと)だと思う。
昨季、プレーオフでも活躍したクレメントは、トロントのファンフェイバリット(=人気者)になった。三塁ではなくても、クレメントはプレータイムを確保できるのだろうから、ファンも幸せを保てるはずだ(笑)。
岡本が外野も守るのではないかという報道があるのは知っているが、そうなったとしても頻度は多くないと思う。難しいのは、36歳になった現在のジョージ・スプリンガーはDHが適任だとしても、どこかで守らなければならないという点だ。スプリンガーは外野手としてもう上質ではないが、アンソニー・サンタンダーの出場機会も考えれば、スプリンガーもたまに外野のコーナー(左翼か右翼)を守る必要がある。
外野陣にはほかにもドールトン・バーショ、アディソン・バーガー、デービス・シュナイダー、ネイサン・ルークス、ジョーイ・ロペルフィドがいる。だから岡本の優先順位は三塁か、一塁のバックアップになる。ブルージェイズは時々、全員の守備位置を動かすのが好きだから、シーズン中に数回、岡本が外野を守ることがあるかもしれない。ただ、それがプランAやプランBになることはないと思う。
【ブルージェイズ国際戦略の中心は日本】
ブルージェイズは今回、岡本と契約し、これまでの日本マーケットへの熱意が報われる形になった。今後、さらに日本人選手の獲得を模索する可能性はあると思う。すべてのチームが才能のあるプレーヤーを求めているが、ブルージェイズはほかの多くの球団以上に日本で存在感を示そうと意識的に取り組んでいる。
1980年代のブルージェイズを振り返ると、ドミニカ共和国や中南米のマーケットを重視し、初期の成功の多くはそこから生まれた。今度はアジア、日本や韓国でも同じことをやりたいのだと思う。
ロサンゼルス・ドジャースは常に日本人選手が集まりたい球団であり続けるだろうが、ブルージェイズも人気の目的地として確立できる可能性がある。日本や韓国の選手にとって、どうせ海外に出るならトロントはむしろ魅力的に映るのではないか。特にトロントには巨大な日本人コミュニティがある。非常に国際的な街であり、リュ・ヒョンジンが在籍していた頃には韓国人コミュニティにもよく馴染んでいた。アメリカの他都市と比べても、そういった要素はブルージェイズを際立たせている。
昨季、ドジャースを追い詰めて世界一にあと一歩まで迫り、その勢いを駆って今オフも的確な補強を続けている。エキサイティングなシーズンで得た勢いを上手に維持しており、おかげでトロントの街は盛り上がっているよ。
今となってはもうずいぶん前のことのように感じるが、早い段階(2025年11月末)でディラン・シース(昨季はサンディエゴ・パドレス、5年連続200奪三振を継続中)と契約し、今オフのマーケットで最高の投手を獲得した意味は大きかった。そこで立ち止まらず、さらにコディ・ポンセ(昨季は韓国リーグ)、タイラー・ロジャース(昨季ニューヨーク・メッツ)の投手陣、そして岡本も獲得した。ロースターのあらゆる部分を首尾よく補強している。
ワールドシリーズまで続いた快進撃で多くの新しいファンを獲得しても、このオフに何もしなければ、トロントの人々の関心はアイスホッケーに戻ってしまっていたかもしれない。
ファンはチケットを買い、ビールやユニフォームを買ってくれる。それがまた次の補強につながる。オフシーズンでこれほどの熱気を感じたのは初めてだ。ブルージェイズは稼いだお金を有効に使っている。今では適切に動いていて、チームの周囲にエキサイティングな空気が漂っていることが確実に感じられる。










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