連載第83回
サッカー観戦7700試合超! 後藤健生の「来た、観た、蹴った」
現場観戦7700試合を達成したベテランサッカージャーナリストの後藤健生氏が、豊富な取材経験からサッカーの歴史、文化、エピソードを綴ります。
サウジアラビアで行なわれているAFC U23アジアカップで日本は好スタートを切った。
【過去2回優勝の日本】
サウジアラビアで開催中のAFC U23アジアカップで、日本代表は初戦でシリアに5対0と大勝し、2戦目もアラブ首長国連邦(UAE)相手に3対0で快勝。他のグループが大混戦となっているのを尻目に、2試合目まででグループリーグ突破を決めてみせた。
2列目に入る佐藤龍之介と大関友翔は圧倒的な存在感を見せつけており、市原吏音らのDF陣も鉄壁。サイドからのクロスをもう少し正確に上げられるようになれば、さらに多くのゴールが決まることだろう。さて、このAFC主催のU23アジアカップは今大会が7回目の開催となる。
フル代表によるアジアカップは1956年に第1回大会が開かれ、前回、2023年のカタール大会が18回目だった。また、1959年に始まったU20アジアカップ(かつてのアジアユース選手権)はかつて毎年開催されていたこともあって、昨年の中国大会がなんと42回目だった。
それに対して、U23アジアカップは今年が第7回大会。2014年に最初の大会が開かれた、比較的新しい大会である。2年に一度開催されており、夏季五輪開催年の大会は五輪予選を兼ねて行なわれる。
過去6回の大会のうち、日本が優勝したのは2度だけ。2016年のリオデジャネイロ五輪と2024年のパリ五輪の予選を兼ねていた大会だ。ちなみに、開催地はどちらもカタールだった。
つまり、日本は五輪予選を兼ねて行なわれた大会には優勝しているが、その他では優勝に手が届いていないのである。
【2018年は森保一監督が率いる】
僕は2018年に中国で開催された大会と、その2年後にタイで開催された大会を取材しに行ったことがあるが、中国大会では準々決勝で優勝したウズベキスタンに0対4で大敗を喫してしまったし、タイでの大会ではなんとグループリーグ最下位に終わっている。
2018年大会は東京五輪を目指すチームが立ち上げられた直後だった。五輪代表監督には、J1リーグでサンフレッチェ広島を3度優勝に導いた森保一が就任した。監督としての優勝回数としては当時の最多記録だった。
森保が日本人最高の監督のひとりであることは間違いない。だが、代表チームを率いるのはこれが初めてだったので、「森保は代表でも成功できるのか?」という疑問もあったし、広島ではスリーバックで戦っていた森保が代表でも同システムを採用するのかという点も注目だった。それまで、日本代表ではスリーバックがうまくいったことが少なかったからだ。
まだ「森保監督のお手並み拝見」で、手探り状態での戦い。メンバーもまだ「ラージグループ」を作りはじめた段階で、中国でのU23アジアカップに参加して、その後、実際に2021年の東京五輪に出場したのは板倉滉、三好康児、旗手怜央くらいのものだった。
この時の大会は中国江蘇省の3都市で開催された。日本戦が行なわれたのは長江南岸の江陰という街で、他会場も比較的近距離だったので、寒いなかをバスや鉄道を乗り継いで多くの試合を観戦したが、ベトナムがオーストラリアと互角に渡り合って勝利した試合も目撃した。
韓国人の朴恒緒(パク・ハンソ)監督率いるベトナムはその後も快進撃を続け、雪のなかの決勝でウズベキスタンに敗れたものの、その後の躍進のきっかけとなった。
【グループリーグ敗退だった2020年大会】
2年後の、2020年1月のタイでの大会も観戦に行った。
首都バンコクとその近郊で開かれたこの大会は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の直前のことだった。すでに前年の暮れには「中国湖北省の武漢で謎の感染症が流行している」というニュースを聞いていたので、バンコクの王宮を観光しに行った時に大量の中国人観光客と遭遇し、「これって、ヤバくない?」と思った記憶がある。
東京五輪を間近に控える日本は当然、完成度は上がっていたはずだが、サウジアラビアとシリアに連敗。最終戦でカタールと引き分けたものの、1分2敗であっけなくグループリーグ敗退に終わった。
サウジアラビア戦は終了間際のPKで敗れ、シリア戦も87分に3人がかりで仕掛けたプレスをかいくぐられて失点。最終カタール戦も小川航基のミドルシュートで先制したものの、すぐにPKを取られて同点にされてしまった。
アジア独特の細かすぎるVARに悩まされた面もあったが、日本の勝負弱さが目立った。
この大会は、五輪予選を兼ねたU23アジアカップで唯一、日本が勝てなかった大会でもある。
それもそのはず、五輪予選を兼ねている大会だったので出場を目指す各国は入念な準備を重ねており、結局、サウジアラビア、韓国、オーストラリアというアジアの強豪国が順当に五輪出場権を獲得した。
だが、日本はすでに開催国として出場権を持っていた。つまり、この大会にかけるモチベーションが違ったのである。
【五輪開催年ではない大会で優勝できるか】
日本代表がU23アジアカップでコンスタントに優勝できない原因は、ご承知のように五輪開催年の大会以外には次期五輪に向けた強化のためにU21代表を派遣しているからだ。
他国の状況はさまざまだが、多くの国が年齢制限いっぱいのU23代表で優勝を狙いに来たり、U21代表に(23歳以下の)オーバーエイジを加えたりしている。つまり、日本のU21代表はこの大会で2歳上の年齢層のチームと戦うことになるのだ。
そして、2020年大会の結果が示すように、五輪出場がかかった大会以外では日本代表のモチベーションも低かった。立ち上げられたばかりのチームでは完成度も低いし、「どうしても勝ちたい」という気持ちが生まれにくいのはある意味で当然のことである。
今年の大会も、日本はU21代表で参加しているし、大岩剛監督就任から初の大会となる(大岩監督は2024年のパリ五輪でも日本を指揮したが、ロサンゼルス大会を目指すチームは立ち上げ直後)。
もし、そんな状態の日本代表が2026年大会で優勝できたとしたら、それは「3度目の優勝」ではなく、画期的な出来事として評価すべき快挙だろう。
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