2026年ワールドカップは、その12日前に幕を閉じる欧州のシーズンの動向と密接な関係にある。そこで目を引く活躍をした選手が、ワールドカップ本大会ではそのまま活躍する。

 とりわけ顕著な傾向を示すのがワールドカップの組み替え戦と言われるチャンピオンズリーグ(CL)だ。活きのいい選手を多く抱える国はどこか。CLに目を凝らせばワールドカップの行方は見えてくる。

 全8節で行なわれるリーグフェーズの第6節を終了した段階で、日本人選手は以下の7人が出場を果たしている。

 鈴木淳之介(コペンハーゲン)、板倉滉(アヤックス)、南野拓実(モナコ)、堂安律(フランクフルト)、守田英正(スポルティング)、伊藤洋輝(バイエルン)、橋岡大樹(スラビア・プラハ)。

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 ちなみに前シーズン(2024-25)は以下の10人だった。

 上田綺世(フェイエノールト)、遠藤航(リバプール)、守田英正(スポルティング)、前田大然、旗手怜央、古橋亨梧(セルティック)、南野拓実(モナコ)、チェイス・アンリ(シュツットガルト)、川村拓夢(ザルツブルク)、荻原拓也(ディナモ・ザグレブ)。

 1年で3人、数を減らしたことになる。欧州組は100人を優に超える一方で、チャンピオンズリーガーの数は伸びていない。これでは2026年のワールドカップに対して楽観的になることはできない。

 何より深刻な問題は、日本代表キャプテンである遠藤にいまだ出場機会がないことだろう。

 シュツットガルトからリバプールにやってきた最初のシーズン(2023-24)はヨーロッパリーグに出場し、昨季はCL4試合に出場(うち先発1試合)した。

だが今季はここまでまだゼロだ。監督がユルゲン・クロップからアルネ・スロットに交代したのを機に、チーム内での序列は大きく後退しており、国内リーグの出場も今季これまで44分間に終わっている。

 ケガの影響があるとはいえ、事実上の構想外選手である。常識的にはこの冬こそが移籍のタイミングだ。移籍市場が閉じるのは2月2日だ。いずれにしてもこのままでは、ワールドカップ本大会に向けてコンディションを維持することは難しい。日本の浮沈のカギを握る遠藤の動向に目を凝らしたい。

【健闘している鈴木淳之介】

 今季、初めてチャンピオンズリーガーに昇格した選手は鈴木、橋岡、板倉、堂安の4人だ。このなかで最も健闘しているのは今季コペンハーゲンに加入した鈴木だろう。初戦のレバークーゼン戦こそ出番はなかったが、続くカラバフ戦の後半から出場すると、ドルトムント戦、トッテナム戦、カイラト・アルマトイ戦、ビジャレアル戦と4試合連続でスタメン出場を飾った。

 右SBとCBの併用で、戦力として欠かせぬ存在になっている。コペンハーゲンの成績は現在24位。

プレーオフに残れるかギリギリのポジションにいる。経験値の少ない鈴木にとって、CLで強豪と多くの試合を重ねることは、何より自信になる。日本代表にとっても財産になる。コペンハーゲン入りは大成功だったと言える。

 日本代表内での順列で鈴木より上位にいる板倉も、今季移籍したアヤックスで初めてCLの土を踏んだ。ここまで5試合に出場しフルタイム出場は3回。419分という出場時間は日本人最多だ。ただしチームの成績は現在34位。苦しい戦いを強いられている。

 板倉は当初CBとしてプレーしたが、5節目のベンフィカ戦から守備的MFにポジションを上げ、多機能性を発揮している。だが、カラバフ戦ではロングボールの処理を誤り、失点を呼び込むなど、全体的に不安定なプレーが目立つ。

 アヤックスといえば聞こえはいい。

ひと言で言えば欧州を代表する、ブランド力を備えた好チームだ。1994-95シーズンに飾ったCL優勝は、CL史における最も画期的な出来事だとは筆者の見解だ。最近では準決勝でトッテナムと死闘を演じた2018-19シーズンのチームも印象に残る。

 しかし、現在のアヤックスに当時の面影はない。サッカーから独特の品格が失われ、成績もあげられなくなった。板倉はそのなかに埋没している印象だ。アヤックスでプレーする選手には明るい将来が待ち受けるというかつてのイメージは、崩れた状態にある。

 今季、ルートン・タウンからスラビア・プラハにやってきた橋岡は、リーグフェーズ初戦のボデ・グリムト戦に途中交代でCLデビューを飾った。続く第2節インテル戦では、先発を飾った。左ウイングバックとして83分間プレーしたが、対峙するデンゼル・ダンフリース(オランダ代表)に苦戦。そのあたりから国内リーグともども出場機会は減っていった。今季チャンピオンズリーガーに格を上げたが、日本代表に選びたくなるような活躍はできていない。

【守田英正の代表復帰は?】

 今季からフランクフルトに移籍、チャンピオンズリーガーに昇格した堂安は5試合に先発した。389分という出場時間は板倉、鈴木に次ぎ、日本人選手としては3番目の成績になる。健闘の部類に入るが、チームは現在1勝1分4敗で30位と振るわない。残り2試合に連勝しても勝ち点は10。昨季の例に従えば、リーグフェーズ敗退はすでに決まったも同然だ。

 堂安は当初、4バックの右ウイングで出場することが多かったが、ポジションは5バックの右ウイングバックへと変化。低い位置でのプレーを余儀なくされ、自ずとゴールに絡むシーンも減った。弾けることができずにいる。

 守田が所属するスポルティングは現在14位。プレーオフ進出圏内である24位以内を守っている。昨季の例に従えば、残り2試合で勝ち点2を積み上げることができれば当確。勝ち点1でも8割方、残れそうだ。

 ただ、守田の置かれた状況は思わしくない。出場時間はこれまでわずか44分。いずれも交代出場だ。日本代表チームからも遠ざかっている。「まだ本来の調子にはない」とは森保一監督の弁だ。

 だが、先日の国内リーグ、カーザ・ピア戦では久々に先発を飾り、好プレーを見せている。守田は復活なるのか。リーグフェーズの残り2試合で、スタメン復帰したとなれば代表に選ばれる可能性は高い。パリ・サンジェルマン戦、アスレティック・ビルバオ戦はそうした意味でも見ものである。ワールドカップにも影響しそうな試合と言える。

 ケガで離脱した南野が所属するモナコは19位で、プレーオフ進出を目指す戦いが続く。第7節レアル・マドリード戦、第8節ユベントス戦と、強豪から勝ち点を奪う必要がある。

 日本人選手が所属する最上位のクラブは、首位アーセナルに次いで2位につけるバイエルンだ。伊藤洋輝は昨年の11月22日のフライブルク戦で復帰。当初は数分間のプレーに限られたが、年末からスタメンでの出場試合数が増えていて、CL第7節ユニオン・サン・ジロワーズ戦、第8節PSV戦でも長い時間プレーすることが予想される。日本にとっては朗報だ。

 リーグフェーズで好調だったチームは決勝トーナメントの終盤に入ると息切れする。CLにはそんなジンクスめいたものがある。バイエルンもその罠にはまりやしないかと心配になるが、現時点ではブックメーカーの優勝予想でも2番人気に推されている。日本人選手初のCLファイナリスト誕生なるか。そこで出場を果たし、優勝メンバーとして名を刻むことはできるか。

 伊藤洋輝の活躍こそがワールドカップにおける日本代表の最大のカギ。筆者にはそう映る。

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