後編:國學院大・前田康弘監督が振り返る第102回箱根駅伝
初優勝はならなかったが、國學院大史上最高の総合2位となった第102回箱根駅伝。長年、國學院大が鬼門としてきた5区ではルーキーの髙石樹が明るい光を照らし、復路では各区間で粘り強い襷リレーで、青学大との差を詰めていった。
國學院大の前田康弘監督インタビュー後編では、髙石との出会いと復路で悔し涙を流した選手に感じたこと、そして今後の展望について語っていただいた。
前編〉〉〉國學院大・前田康弘監督がつかんだ手応え「これだな、というパターンが見つかりました」
【秘めた力を5区で存分に発揮したルーキー・髙石樹】
鬼門の5区に起用されたのは、ルーキーの髙石樹だった。國學院大の前田康弘監督が設定していたタイムは1時間1分切り。遅くなっても、1時間1分半で走る算段を立てていた。ただ、スタートラインに立つのは、箱根駅伝を一度も経験していない1年生である。
「初めて駅伝で起用するので、本番でどこまで走れるのか、正直、フタを開けるまでわからない部分もありました。それでも、最初の1kmを見たときに、これは絶対に来るな、と。本番に強いわって。楽しんで走っているのが、わかりましたから。後ろから迫ってくる青山学院大の黒田朝日選手(4年)を離すんじゃないのかな、と思ったくらいです」
3km地点のラップタイムは想定より速く、満ちあふれるやる気をひしひしと感じた。8km手前で黒田に抜かれても、1kmほどは背中が見える位置で食らいついた。箱根の山中で城西大の斎藤将也(4年)に前へ出られても、しぶとく粘る。前回の5区で区間3位になっている4年生から途中で「俺についてこい」とジェスチャーで示されると、しっかり応えていた。
「15km付近から斎藤選手の後ろにずっとついていましたから。普通はあそこで離されてしまうのですが、余力が残っていたんでしょうね」
目を見張ったのは終盤の下り坂で抜き返した場面。本人は狙いどおりの展開に持ち込み、満面の笑みを浮かべていたが、秘めた底力は衝撃だった。レース後に前田監督に促され、髙石は前で引っ張ってくれた斎藤に直接、「ありがとうございました」と頭を下げていたという。区間4位のタイムは1時間10分05秒。あらためて振り返ると、指揮官もふっと口元が緩む。
「70分台(1時間10分台)前半はいいほうの想定内。96回大会に浦野雄平(現富士通)がマークした70分45秒という國學院の5区記録を更新し、吉田響選手(現サンベルクス)の持つ1年生記録の70分44秒も上回りましたからね。そこのタイムは叩き込ませていたんです」
【「出会い」につながる「ダイヤの原石」の発掘過程】
前田監督の持論は山上りのスペシャリストはつくるのではなく、「出会い」。適性を見抜いたうえで、いかに適切な訓練を積ませるかどうか。では、いつ、どこでダイヤの原石を探し当てたのか――。
いまから2年半前の春である。全国に張り巡らせたネットワークから興味深い情報を仕入れ、高知県高校総体に出向いたときのことだ。
「この選手はすごい、絶対いける、と確信に近いものを感じたんです。レース運びを見ると、独走していたのですが、一人速いペースでギリギリまで追い込み、そこから落ちなくて。粘りきったんですよ。ガッツがあふれる表情も良かった」
山上りの適性は、そのラストの粘りにある。
「山は誰でもきついんです。(しんどさの)沸点に達したときに粘れるかどうかなので」
伸びしろも十分あった。異色の経歴を持ち、中学校時代は運動部にも所属しないゲーマーの帰宅部。陸上競技を始めたのは高校生からである。才能が本格的に開花する前から目をつけ、勧誘に成功した。運命の出会いから2年後には國學院大へ入学。
「これまで見たことのないくらいすばらしい走りを見せてくれたんです。体の軽さ、腰の位置、脚の回転、そのすべてが山を上っているように見えませんでした。上りを怖がっていないメンタル面もよかったですね」
春、夏と鍛錬を積み、順調に成長していった。秋を迎えれば、本格的な準備が始まる。10月の出雲駅伝は回避し、向き合い続けたのは厳しい山道。髙石の名前がなかったのも、そのためである。ただ、メンバー入りしていた全日本大学駅伝は出走の予定があったという。
「別に隠していたわけではなく、実は大会前にインフルエンザにかかり、走れなかっただけなんです」
結果的に"秘密兵器"となり、周囲を驚かせることになる。黒田が1時間07分16秒という異次元の新記録を樹立し、すべての話題をさらってしまったが、髙石は次代の『山の神』候補と言ってもいいインパクトを与えた。
「(08分台に)チャレンジする権利はあると思います。ここから育てていきたいですね。まだコース取りなども甘かったので、タイムはもっと伸びると思います。とはいえ、次代の山候補も新たにピックアップしているので、将来的には競い合いができればなと。髙石本人の意向も尊重したいですし、5区で完全に固めるつもりはありません。総合優勝するためのオーダーを組みたいと思っています」
【快走にも悔し涙を流す選手の姿に......】
確かな手応えを得たのは、山上り区間だけではない。復路組はこれまでにないほど万全の状態で臨んでいた。6区は経験のある後村光星(3年)が区間8位でつなぐと、裏のジョーカーに指名した7区の高山豪起(4年)が奮起。区間賞の好走で流れを引き寄せ、首位をひた走る青山学院大に1分28秒差まで肉薄する。前を走っていた早稲田大、中央大を抜いて2位まで浮上。6区を終えて3分23秒差まで広がっていたビハインドはぐっと縮まった。
「高山の快走はすごかった。前回、駒澤大の佐藤圭汰選手(4年)が出した区間記録(1時間00分43秒)は一生更新されないと思っていましたが、それを本気で破りにいこうとしていたので。とんでもないなって。実際、それに迫るタイム(1時間00分54秒)でしたからね。本当に感動しました」
8区から10区までのオーダーにも自信を持っていた。11月以降の調整方法を変更し、例年、複数回行っていたメンバー選考のトライアルを1回のみにした効果はてきめん。中間層の調子がすこぶるよかったのだ。
最後までメンバー選びに頭を悩ませた区間でもある。未出走となった2年生コンビの浅野結太と岡村享一、3年生の吉田蔵之介も起用を迷うほどいい状態だったという。最終的にはコースへの適性で決断を下した。8区で初出走した飯國新太は、5区候補のひとりとして上りの練習を積んでいたことがアドバンテージになったという。
「遊行寺からの上りを意識すると、飯國になりました」
指揮官の判断は間違いではなかった。
「9区で逆転できる可能性もあると思っていました。1年目に同じ区間を走った平林清澄(現ロジスティード)と同じくらいのタイムで走るのは読めていたので。1時間8分前半であれば、例年であれば区間賞レベルですから」
野田はその予想を超える歴代5位となる1時間07分53秒の好タイムをマークし、区間3位になったものの、上には上がいた。先頭を走るフレッシュグリーン(青学大)の佐藤有一(4年)が1時間07分38秒で区間賞を獲得した。
「青学大は私たちの想定を超えてくるんですよ。野田もラスト3kmで前との差を詰めたんですけどね......。本人は相当悔しかったようで、泣いていたんです。なんか、すごいなと思いました。1年目であのタイムを出したのに、涙を流すのかって」
【"つなぎ"の区間などはなく、全区間で攻めないと】
前田監督は感心しきりだった。出雲駅伝、全日本大学駅伝で安定して結果を残してきた尾熊迅斗(2年)も、10区で期待に違わぬ走りを見せてくれた。持てる力を振り絞り、最後まであきらめずに前の背中を追い、過去最高の総合2位でフィニッシュ。アンカーを迎え入れる大手町の光景には、指揮官も胸を打たれた。
「『笑顔でゴールしろよ』と言っていたのですが、みんな泣いていて......。すごいチームになったなと。選手たちは、監督である私のはるか上を目指していたと思います。あの瞬間、自分の情けなさを感じました。言っていることと、思っていることが噛み合っていない。総合優勝はイコールで青学大を倒すことなのに、私はどこかで怯みがあったのかもしれません」
大会後、学生時代に師事した駒澤大の大八木弘明総監督から掛けられた激励は、しっかり心に留めている。学生三大駅伝で通算27勝している名将の言葉には熱がこもっていた。
<若い指導者が頑張らないとだめだ。原(晋)を超えない限り、上には行けないぞ。若い奴らがしっかり勝負しないと。一番近くにいるお前がやらなくて、誰がやるんだ。俺が澤木啓祐さん(元順天堂大監督)を超えたのと一緒だ>
47歳の愛弟子は恩師の思いを口に出しながら、自らに言い聞かせていた。
「覚悟を決めて考えないと、一生、原さんの時代で終わってしまう。原さんはすばらしい指導者ですし、リスペクトもしているのですが、そこに勝たないと、新しい時代は来ない。昔、大八木さんも、澤木さんを超えるために(学生だった)僕らが見えないところで、きっといろいろ考えていたんだと思います」
102回大会を通して、勝ち筋は見えつつある。ここからひと回りも、ふた回りも大きく成長し、強気で勝負を挑んでいくつもりだ。
「山も平地も"つなぎ"の区間などはなく、全区間で攻めないと。将棋に例えるならば、すべて飛車、角を並べるつもりでいきます。金、銀、桂馬などでかわそうとしてもダメ。何本柱と言っている時点で、青学大には勝てないと思います。今回は青学大が崩れるのを待っているところもあったのですが、次は攻めて、攻めて、総合優勝を取りにきます」
気持ちの入った言葉の行間には強い意志がにじむ。充実してきたスカウトの成果もあり、春には即戦力候補の新入生たちが入ってくるという。4年生たちが退寮すれば、また新たなサイクルが始まる。指揮官の箱根駅伝に終わりはない。



![[アシックス] ランニングシューズ MAGIC SPEED 4 1011B875 メンズ 750(セイフティー イエロー/ブラック) 26.0 cm 2E](https://m.media-amazon.com/images/I/41dF0gpSbEL._SL500_.jpg)
![[アシックス] ランニングシューズ PATRIOT 13 1011B567 メンズ 010(ブラック/デジタルアクア) 25.5 cm 3E](https://m.media-amazon.com/images/I/41ZS3Bh2dVL._SL500_.jpg)
![[アシックス] ランニングシューズ GEL-KAYANO 31 1011B867 メンズ 001(ブラック/ブラック) 27.0 cm 2E](https://m.media-amazon.com/images/I/418iZuXV-tL._SL500_.jpg)




![【日本企業】 ぶら下がり健康器 懸垂バー 懸垂マシン [コンパクト/10段調節/日本語説明書/2年保証] 筋トレ チンニングスタンド (ブラック)](https://m.media-amazon.com/images/I/41B0yIoAZrL._SL500_.jpg)
![[Xiyaoer] 靴下 メンズ くるぶし 10足セット夏用 【吸汗 防臭 綿】 カラフルソックス カジュアルソックス 綿 24-27cm 靴下 おしゃれ スポーツ くつした メンズ 男性用 ビジネス クルーソックス くつ下 通気性 吸汗速乾 リブ柄 (10足セット6)](https://m.media-amazon.com/images/I/51dJIW6OMFL._SL500_.jpg)