清水直行インタビュー 前編
昨季、2017年以来8年ぶりのパ・リーグ最下位に沈んだロッテ。他チームから大きく引き離されたが、ルーキーの西川史礁が新人王を獲得するなど、投打において若手が多くの経験を積んだ。
昨季のロッテの戦いについて、長らくロッテのエースとして活躍し、2018年、19年にはロッテの投手コーチも務めた清水直行氏はどう見ていたのか。浮き彫りになった課題、巻き返しのカギを語ってもらった。
【ピッチャー陣の課題】
――シーズンを通じて、ピッチャー陣はいかがでしたか?
清水直行(以下:清水) 先発ピッチャー陣に関しては、佐々木朗希(ロサンゼルス・ドジャース)が抜けた穴を誰かがカバーしなければいけない、というところからのスタートだったと思うんです。FAでソフトバンクから移籍してきた石川柊太、新外国人のブライアン・サモンズ、オースティン・ボスらを補強し、やり繰りしていけると踏んでいたはずが......シーズンを終えてみると、結局は「先発ピッチャーが足りなかった」という印象でした。
フルで投げてくれたのは種市篤暉、小島和哉で、ベテランは誰ひとり出てきてくれなかった。「じゃあ若手を思い切って使おうか」となっても、若手の場合は登板間隔を空けながら、育成も考えながらの起用になりますからね。シーズンを通してローテーションを回していくのは厳しくなります。
――リリーフ陣のやり繰りにも苦労していた印象です。
清水 横山陸人のほかは、しっかり連投してくれるピッチャーがいませんでした。近年は、1年は活躍しても2年続かないピッチャーが多い傾向です。後ろを固定したかったのですが、2024年に好成績を残した鈴木昭汰が誤算でブルペンが機能しなかった。
併せて守備面についても言うのであれば、キャッチャーの佐藤都志也が春季キャンプ中に右足の親指を骨折。守りで不安定な状態が続き、交流戦頃までは持ちこたえたけど、それ以降は崩壊してしまったという印象です。
ただ、マイナスなことばかりではありません。田中晴也や木村優人ら、期待できる若手の先発ピッチャーが出てきたのはプラス要素ですし、リリーフでは横山にひとり立ちの雰囲気が出てきました。昨オフの現役ドラフトで左腕の中村稔弥を出しましたが、同じ左腕の高野脩汰が活躍しましたし、目処が立った部分もあると思います。
――ドラフトでは、冨士隼斗(日本通運)や田中大聖(Honda鈴鹿)ら、即戦力として期待される社会人のピッチャーも指名しました。
清水 そういったピッチャーたちが、国吉佑樹や西村天裕らが担ってきたセットアッパーのポジションにはまってくれるといいですね。そのあたりが決まらないと、シーズンを戦っていくのは難しい。先発ピッチャーはある程度そろってきましたが、ブルペンの整備は早急に解決しなければいけない課題です。
昨季、サブロー新監督がシーズンの途中から一軍のヘッドコーチに就いて以来、先発ピッチャーにある程度長いイニングを投げさせる傾向が見られるようになりました。投げる体力は試合でなければ身につきませんし、そういった経験を今後に生かしてほしい。先発ピッチャーが完投するような試合が少しずつ増えていけば、リリーフの運用も楽になると思います。
【野手が目指すは"マリンガン打線"】
――野手陣はどう見ていましたか?
清水 ネフタリ・ソトとグレゴリー・ポランコが機能しなかったのが痛かったです。近年のペナントレースでロッテが上位に食い込む時は、だいたい外国人選手がラインナップにいて、劣勢の時に一発で形勢逆転するようなケースが多かった。
一方、新人王を獲得した西川史礁は、中距離打者としてしっかり頭角を現してくれましたし、寺地隆成も非凡なバッティングセンスを見せてくれました。あとは髙部瑛斗や藤原恭大らがシーズンを通して試合に出て、活躍できるようにならなければいけません。
周囲からは「大砲がほしい」という声が聞こえてきますが、ロッテはZOZOマリンスタジアムというホームランが出にくい球場を本拠地にしている以上、中距離打者をどれだけそろえられるかだと思うんです。山口にしろ山本にしろ、長打を狙ってバッティングを崩してしまいましたからね。
――中距離打者をそろえるというのは、二塁打などでつないでいくイメージですか?
清水 過去にロッテが強い時の打線は"マリンガン打線"と言われていましたが、二塁打の次に単打でつないで、また二塁打を打って......そこに足も絡めてかき回していた印象が残っています。ランナーを溜めてドカンといくよりも確率は高くなりますし、打線が勢いづきます。そういった野球をするための選手はそろっていると思うんです。
スリーランや満塁弾ではなく、つないでビッグイニングを作っていく。なので、大砲が出てこないと悲観的になるのではなく、目線を変えて外野の間を抜くような強い打球を打てるようにする。加えて、新任の西岡剛一軍チーフ打撃兼走塁コーチが走塁面でチームを変えてくれれば、野球もまた変わっていくはずです。
――昨季は山本選手や寺地選手、西川選手ら、多くの試合に若手を起用して経験を積ませました。
清水 これからのロッテを担っていってほしい若手が経験を積めたことは大きいですし、これを今季につなげていかなければいけません。ただ、"育成"という観点ではプラスだったと思いますが、"勝負"という観点では果たしてどうだったのかなと。あれだけの大敗を喫してしまったシーズンのなかで、ズルズルいくしかなかったのか、打てる手はなかったのかなと。
ファンが置いてけぼりになってしまった感は否めませんし、寂しさを感じるシーズンでした。今季はサブロー新監督で新たなスタートを切りますが、なんとか巻き返していってほしいと思います。
(後編:サブロー新監督、コーチの西岡剛や小林宏之に清水直行がエール ロッテ新体制に期待することは?>>)
【プロフィール】
清水直行(しみず・なおゆき)
1975年11月24日に京都府京都市に生まれ、兵庫県西宮市で育つ。社会人・東芝(旧・東芝府中)から、1999年のドラフトで逆指名によりロッテに入団。長く先発ローテーションの中核として活躍した。日本代表としては2004年のアテネ五輪で銅メダルを獲得し、2006年の第1回WBC(ワールド・ベースボールクラシック)の優勝に貢献。2009年のシーズン後にトレードでDeNAに移籍し、2014年に現役を引退。通算成績は294試合登板105勝100敗。引退後はニュージーランドで野球連盟のGM補佐、ジュニア代表チームの監督を務めたほか、2019年には沖縄初のプロ球団「琉球ブルーオーシャンズ」の初代監督に就任した。










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