ミラノ・コルティナ五輪メダル候補 前編

 6日にイタリアで開幕する冬季ミラノ・コルティナ五輪。そこで、どれだけの日本人選手が活躍し、メダルを獲得することができるのか。

ここまでの実績を振り返りながら、その可能性を探る。まずは前回の北京五輪で9個のメダルを獲得したスケート競技から――。

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フィギュアスケートは男女ともに期待大】

 2022年北京五輪以降、ロシア勢不在のなかで、世界を牽引する一翼を担ってきた日本のフィギュアスケートは、その4年間の集大成といえる大会になる。

 男子はアクセルを含む4回転6種類を確実に跳ぶイリア・マリニン(アメリカ)が、優勝候補に挙げられている。今季もグランプリ(GP)シリーズカナダ大会で333.81点の自己最高を出し、ファイナルはSPで3位と出遅れながらも、フリーで歴代世界最高得点を出し優勝と、圧倒的な力を見せている。好調を維持しているなかで迎える五輪本番では、どんな演技を見せてくれるか興味は尽きない。

 そのマリニンに続くのが、鍵山優真(オリエンタルバイオ/中京大)だ。今季前半はフリーの4回転を2種類3本に抑えて完成度を高め、その上で自己最高の310.05点にどこまで迫れるかを追求してきたが、その目標は果たせず、300点台に乗せたのはGPファイナルの302.41点と、仕上がりが遅れた。

 だがそのファイナルでは、SPで前回の北京五輪で出していた自己最高を0.65点更新する108.77点を出して、殻を破るキッカケをつかんでいる。本人も五輪のメダルラインは300点台と意識して攻める姿勢で臨むことを明言し、フリーでの4回転フリップ投入を視野に入れている。目標にしている自己最高更新を果たすことができれば、マリニンに次ぐ銀メダルの確率は高くなる。

 初の五輪となる佐藤駿(エームサービス/明治大)もメダル候補に浮上してきている。今季は6月末に足首を捻挫してのシーズンインだったが、4回転ルッツなどのジャンプの確率を上げ、精神的にも安定した滑りで着実に結果を出して、GPファイナルでは自己最高の292.08点で3位になった。

 メダルの条件は300点に限りなく肉薄させることだが、鍵山や四大陸選手権優勝で入賞候補確実なラインにまで復調してきた三浦佳生(オリエンタルバイオ/明治大)は、ともにジュニアの頃から競り合ってきた仲だけに、リラックスして臨めるプラス要素もある。

 女子は中立国枠で出場するロシアのアデリナ・ペトロシアンが、武器にするトリプルアクセルや4回転をどこまで確実にこなせるかが注目だ。彼女が本領を発揮すれば優勝に近づくが、それを追うのは坂本花織(シスメックス)とアメリカのアリサ・リウ、アンバー・グレンになる。グレンは全米選手権ではSPで83.05点を出し、フリーでは終盤に僅かなミスを出しながらも233.55点を出していて、リウも昨季の世界選手権や今季のGPファイナルで大舞台での強さを見せている。

 だが坂本も大舞台の経験は多いだけに、完璧な演技をして自己最高の236.09点に肉薄することができれば3人の争いから抜け出し、目標の銀以上は実現できる。

 またトリプルアクセルを武器にする中井亜美(TOKIOインカラミ)と千葉百音(木下グループ)も220点台中盤から後半を出す力を持っているだけに、状況次第ではメダル争いに絡めそうだ。

 ペアは三浦璃来・木原龍一が、今季はファイナルも含めてGPシリーズ3連勝と力を見せていて優勝候補筆頭とみられている。さらにそのふたりが大きな得点源になる団体戦も、アメリカとの優勝争いを繰り広げそうだ。

 団体戦の見どころは個人戦がすぐあとに控えるなかで、アメリカがマリニンをSPとフリーの両方に起用するかだ。アメリカ男子の2番手は力が落ちるだけに、どちらかでマリニンを外せばそこで日本が優位に立てる。ペアは日本優位でアイスダンスはアメリカが圧倒する気配。勝負のポイントは、リウとグレンが出てくるはずの女子になってくるだろう。

日本とアメリカ、どちらが女子で上位になるかで金と銀が分かれる展開になりそうだ。

【スピードスケート活躍の中心は髙木美帆】

 前回の北京五輪で1000m金メダル、500mと1500mで銀メダルを獲得した髙木美帆(TOKIOインカラミ)は、今大会もメダル候補の中心に挙げられる。

 2シーズン使用したブレードを以前の種類に戻して挑んだ今季だが、W杯前半戦はチームパシュートでは第1戦で優勝したものの、500mと3000mにも出場した個人はなかなか勝利には結びつかなかった。

 しかし、12月12日からの第4戦で1000mと1500mで今季初勝利をあげ、そのあとの全日本選手権では500mと1000m、1500m、チームパシュートの五輪出場権を獲得して代表に選ばれた。

 500mに関しては現地での状況を見て出場するか否かを決定するが、前回はW杯で連勝して世界記録保持者として臨みながら、0秒44差で金メダルを逃す悔しさを味わった1500mは、第5戦で2位になって5季連続のW杯種目別総合優勝を獲得した。さらに今季のW杯で4勝していたヨイ・ブウネ(オランダ)が、国内選考会で代表を逃したことで、髙木に金メダルが近づいた。

 また1000mもW杯では初戦に出場しなかったために総合4位になっているが、後半3戦は1位1回、2位2回と結果を残していて、今季3勝のユッタ・レールダム(オランダ)との優勝争いになりそうだ。北京大会で銀メダルを獲得したチームパシュートと合わせて、3種目でのメダルの可能性は高い。

 その髙木に続くメダル候補が、500mの吉田雪乃(寿広)だ。今季W杯で36秒06の驚異的な世界記録を出したフェムケ・コク(オランダ)が最強だが、吉田も今季世界ランキング3位の36秒88を出している。うまくピーキングを合わせられれば一発もある。

 一方、男子は500mに期待だが、北京五輪で銅メダルの森重航(オカモトグループ)が、1月下旬のW杯第5戦の第1レースで転倒し、第2レースは棄権と不安が残る。

だが、転倒したレースの350mまでは好感触だったというだけに、期待はできる。さらにこの種目の日本記録保持者の新濱立也(高崎健大)にも、北京の悔しさを払拭する一発を期待したい。

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