2月7日、ミラノ。ミラノ・コルティナ五輪でアイスホッケー女子1次リーグが行なわれ、B組の日本代表"スマイルジャパン"は大会1試合目でフランスを3-2と下していたが、2試合目はドイツに2-5で敗れた。

これでB組3位(スウェーデンが首位。2位ドイツ、3位日本、4位イタリアは同勝ち点で得失点差による)となり、一歩後退した(3位までが準々決勝に勝ち上がり、ランキング上位のA組5チームと対戦する)。

 なぜテストマッチでは勝利し、ランキングでもひとつ下のドイツに不覚を取ったのか?

――陳腐な表現かもしれませんが、「五輪の魔物がいた」ということでしょうか?

 ドイツ戦で一矢を報いる2点目を決めたフォワード、輪島夢叶(23歳/道路建設ペリグリン)は、その質問に柔らかい表情で答えている。

「そういうプレッシャーは特に感じてなく、緊張はあっても、"楽しいな"って感じながらやれています。いつもどおりに自分のプレーはできているかなって」

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 最終予選でオリンピック出場を手繰り寄せる得点を決めた輪島は、明るさを失わずに言った。その前向きな姿勢があるからこそ、正念場で点を取れるのかもしれない。

「もっと早く得点が取れていたら......たら・れば、になってしまいますが」

 彼女は悔しさを滲ませたが、4年前の北京五輪で勝ち取った過去最高位ベスト8の先、メダルも見据えるスマイルジャパンにとって、敗因と向き合うことは急務だろう。

「相手の一歩のほうが早かった」

 試合後、スマイルジャパンの選手たちは共通して、そんな感想を口にしていた。

 第1ピリオドは序盤から押し込まれた。敵陣奥深くでプレーし続けたフランス戦のようなアグレッシブな形をイメージしていたはずだが、相手の出足の早さに後手に回った。通常よりも狭いサイズのリンクと相手の長いリーチに苦しみ、ペースをつかめない。開始44秒、カットインからの一撃を食らい、キーパーが弾いたところを詰められてしまった。

 攻守の歯車は合わず、スマイルジャパンの武器である俊敏性や連係力が、相手のパワーや大きさに影を潜める。8分44秒、またも左サイドから切り込まれて決められてしまう。13分3秒にも、左サイドからひとりが振り切られ、3点目を失った。3点ビハインドは、アイスホッケーではかなり厳しい差だ。

【「この戦いを最初からできるように」】

「開始1分弱、1ピリ(第1ピリオド)の入りで失点したのは大きかったと思います」

 輪島は無念そうに言った。

「一瞬の隙をつかれて、決められてしまいました。トレーニングマッチで勝っている相手だし、こんな(最大で0-5になる)力の差はないので。(カットインした)相手はスピードが速かったし、リーチも長かったので、ぐっと(スピードに)乗って切り込まれると、スティックが届かず、全体として"行かせない守り方"をする必要がありました。波に乗るのが遅く、その意味では大舞台で自分たちの準備不足だったのかなと......」

 スマイルジャパンは第2ピリオドもターンオーバーなどで連続失点を喫し、0-5とリードを許した。パワープレー(人数が多い状態で攻める)を得意とする相手の重厚な攻めを凌ぐなど、クリアした課題もあったが、相手の突破にもろさを見せ、リバウンドへの鋭い反応も欠いていた。攻め急ぎの焦りか、つなぎのパスミスも目立った。

 しかし、第2ピリオド終盤に2点を返したあと、試合は逆の流れになっている。

2点目を決めたのが輪島だった。

「1点目をファーストラインがしっかり取ってくれて、もっと点数がほしくて、"自分が取る"っていう気持ちでいました。積極的にゴール前に入ろうって思っていて、(シュートをキーパーが弾いて)流れてきたのを決めきれてよかったです」

 リバウンドから押し込まれる展開のなかで、彼女は見事にやり返した。技術的には俊敏さが特徴の選手だが、その負けん気がフォワードとしての土台だろう。

「リバウンドの仕返し? そうですね! ドイツのキーパーは大きいので、"空いているところがないな"と思いながら試合中に観察していて、"流れてきたらハイショットを打とう"とイメージしていました。それで入ったのでよかったと思います。オリンピックで初めて点を決められたことは、率直に言ってうれしいですね」

 その1点が次につながる。本来のプレーを取り戻した日本は、第3ピリオドは圧倒的に攻めていた。敵が守勢に回ったことはあるにせよ、その攻勢は次のイタリア戦に向けていい兆しだ。

「(第2ピリオドの)2点以外にも3ピリ(第3ピリオド)はめちゃくちゃスコアリングチャンスもあって、それを決めきれていたら......。この戦いを最初からできるようにしたいですね。負けは負けで切り替えて、明日は休んで、いい状態で(2月9日の)イタリア戦を迎えられるようにしたいです」

 イタリアも屈強な選手が揃っている。

ホームの声援に後押しされて審判の笛も味方につけるかもしれない。ほぼアウェーになるだろう。厳しい一戦だが、オリンピックでメダルを取るとは、そうした敵を倒すことだ。

「自分は背もないので、そこでスティックを出されると、なかなか突破できません。だから間合いを見つけ、スピードに乗れるか、試合のなかで感覚はつかんでいくしかないと思っています。(スピードを生かすスペースを作るため)一度下がってスピードに乗るとか、(敵の懐を)潜っていけるように......」

 小柄(身長156cm)な輪島が、"牛若丸と弁慶"の如く巨人を機動力で翻弄できたら......スマイルジャパンの笑顔が咲き誇るはずだ。

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