カーリング女子日本代表
フォルティウスの挑戦(後編)

【ミラノ五輪】カーリング女子日本代表が築いた揺るぎない自信「...の画像はこちら >>

◆前編を読む>>カーリング女子日本代表の吉村紗也香、人生の半分を挑戦に費やした彼女の不屈の精神が本当に結実する日

 ミラノ・コルティナ五輪でカーリング女子のラウンドロビン(総当たりの予選リーグ)が始まる。

 今回の日本代表チームは、フォルティウスだ。

かねてから「目標は金メダル」と公言しているが、「高望みではないか」「まずは現実的に予選突破を目指してほしい」といった厳しい声が聞かれる。昨年3月の世界選手権(韓国・議政府)における、9位(4勝8敗)という結果を受けて、そう感じている人も多いのだろう。

 確かに、世界選手権での成績は周囲が望んでいたものとは違った。だが、それは昨季(2024-2025シーズン)のこと。今季(2025-2026シーズン)の世界ランキングを見れば、五輪出場10カ国中4番目(全体9位)につけている。

 初戦で当たるスウェーデンや、終盤に対戦するイギリスといった欧州の難敵には12月のグランドスラムで勝っており、優勝候補のスイス相手には勝ち星こそ挙げていないが、クロスゲームを演じている。

 また、グランドスラムは8エンドでの戦い。アイスを読みながら後半にギアを上げていくフォルティウスにとっては、10エンドに増えるオリンピックのレギュレーションもプラスに働くだろう。序盤の大量失点さえケアしておけば、大崩れはないと見る。

 選手個人にフォーカスしても、リードの近江谷杏菜は昨季から抜群の安定感を発揮し続けていて、セカンドの小谷優奈も12月のグランドスラムでセカンドとして最高のショット率をマーク。フロントエンドがシーズンを通して好調を維持している。

 そして、サードの小野寺佳歩とスキップの吉村紗也香のバックエンドは、このチームのストロングポイントだ。

大舞台に向けて、チーム状態は右肩上がりだ。

 基本的な戦い方は、センターライン上にガードを置くセンター戦で展開する。しかし今季開幕後、「プランどおりにいかなかった時、プラン変更の意思疎通を意識したい」と吉村。センターに石を積む過程で局面が難しくなれば、速いテイクを持つ小谷と小野寺でシンプルな形にしてリスクを回避してきた。今季は特に、そうした攻守の切り替えが巧みに実行できている印象だ。

 逆に、スコアを動かしたい時はコーナーにガードを置く。実際、リードの近江谷は今季、アイスの情報が少ない試合序盤でもコーナーへのセットアップをことごとく成功させている。「コーナーに投げることへの怖さはありません」と、吉村は世界でも屈指のリードとなった近江谷に絶大な信頼を寄せつつ、コーナー戦を仕掛ける姿勢を崩さない。

 どんなに強いチームでも、コーナーへのドローはセンターに比べてミスが出やすい。状況に応じて刃を使い分ける汎用性も、今のフォルティウスの大きな武器だ。後攻時にハウスを広く使って吉村のドローで仕留める――そんな勝ちパターンが確立されつつある。

 そして何より、その吉村がプレッシャーのかかるラストロックにおいて、最近はプレッシャーどころか、楽しみにしているところがこのチームの強さであり、真骨頂となっている。

 9月の日本代表決定戦(稚内)や12月の世界最終予選(カナダ・ケロウナ)に挑む前、彼女たちはある予行練習をしていた。

 実際のアイス上において、吉村がラストロックのドローを投げる想定をし、スイープをつけて狙ったところに決める。相手チームと握手をかわし、コーチボックスから飛び出してくるリザーブの小林未奈を待って、5人で肩を組んで輪になって喜んだのち、セレブレーションを行う。そんなルーティーンだ。

 きっと今回も、そうしたルーティーンは練習済みだろう。

「勝つイメージも、金メダルを獲るイメージもできています」

 本番を前にして、吉村は力強く語った。現地時間2月22日の決勝後、吉村のウイニングドローとその後のセレブレーションが披露されることを心から願う。

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