スワローズの選手たちに聞いた、それぞれの改革~投手編(前編)
今シーズンのヤクルトは大きな転換期を迎えている。池山隆寛新監督の誕生、そして村上宗隆のメジャー移籍──。
「チームを見てきて変えるところがたくさんあると思いましたし、そういう意味で生まれ変われるチャンスだし、スワローズが大きく変わっていけるタイミングなのかなと」
2026年2月、沖縄・浦添での一軍キャンプ。6勤1休とコンパクトな日程にあらためられ、朝の2時間と午後は、選手の自主性を重視したメニューが組まれていた。チームが変わろうとしているなか、選手たちに「今シーズン変えたこと、変えていること」をテーマに質問。まずは21人のピッチャーに聞いた。
【奥川恭伸に芽生えたエースの自覚】
ヤクルト投手陣が、いま一番必要としているのが先発の柱となる存在だ。
なかでも、エース候補と期待されている奥川恭伸は、「今までの弱かった自分を変えるというか、変えていく」と言った。
昨年は、目標としていたシーズン完走を果たすも、成績は4勝8敗と満足いくものではなかった。
「そのために、とにかく投げています。練習も投げることに全振りしている感じですね。強さを出すという意味では、繊細さの反対というか、いい意味で適当というか、細かいことはあまり考えすぎず、流してしまおうと。1試合100球という感覚ではなく、『何球でも投げます!』と言えるくらいのタフさを出していきたい。とにかく投げて、投げて......ですね(笑)
キャンプでは、「自身最長ですね」と、5日連続してブルペンに入った。
山野太一は、昨年自己最多となるシーズン5勝をマーク。左のエースとしての期待がかかる。
「今年は練習のボリュームを上げて取り組んでいます。これまで中継ぎ陣に負担をかけてきたので、球数を多く投げてイニングを稼ぎたい。去年は規定投球回に到達した投手がチームにおらず、自分も80イニングくらい(78回2/3)しか投げられませんでした。チームとして先発の物足りなさをずっと指摘されているので、そこを変えていきたいですね」
吉村貢司郎は、2年連続してチームトップの勝利数を挙げるなど、「エース格」と言われる存在だ。2024年シーズン途中から、左足を振って反動をつけて投げる"振り子投法"を封印し、このキャンプでは"小さな振り子"に変化していた。
「フォームについては、試行錯誤しながら取り組んでいます。(小さな振り子は)バランスを取りやすくするためですね。変化を恐れず、その都度いいところを取り入れていければと思っています。筋量も増やしましたし、体重は4キロほど増えました。やっぱり真っすぐをよくしたいので、強さやスピード感を大事にしていきたいと思っています」
【自信を漲らせる外国人3投手】
新しい戦力はチームの景色を大きく変える。今シーズンは3人の新外国人投手が加入した。
ナッシュ・ウォルターズは、中日からヤクルトに移籍。身長195センチの長身右腕は、ユニフォームだけでなく、「ほかにも大きく変わりましたね」と話した。
「役割も中継ぎから先発に変わりました。中継ぎのときは、3つのアウトはすべて三振で取るというマインドセットというか、心構えでした。今は長いイニングを投げるために、省エネ投法というわけではないですが、最初からゾーンで勝負して打ち取る形になると思います。先発としての自信はすごくあります。目標は常に高く持たないと何をやっているのかわからなくなるので、勝利数や防御率など、NPBの記録をすべて塗り替えるくらいの気持ちでいます(笑)」
左腕のホセ・キハダと右腕のヘスス・リランソは、プレーする国がアメリカから日本へと変わった。ベネズエラ出身のキハダは「シンプルに言えば、野球をやること自体は変わらないので」と自信をみなぎらせた。
「来日する前に、日本の打者は何でもかんでも振ってくるわけではないと聞いています。なので、奪三振の数は少なくなるかもしれませんが、シンプルに言えば、野球をやること自体は変わりませんからね。実戦を通しながら対応していければと思っています。リリーフは小さなミスが致命傷になるので、まかされた場面でしっかり抑えていきたいですね」(キハダ)
「日本の野球にすぐに対応できるものではないので、シーズンが開幕して、試合で投げて、時間をかけながら、変える必要があれば対応できればと......。
【ルーキー増居翔太はルーティンの確立に奮闘】
さらに、一軍経験が浅い、もしくは未経験のフレッシュな顔ぶれの台頭も、投手陣にいい刺激を与えてくれる。
トヨタ自動車からドラフト4位で入団した新人左腕の増居翔太は、アマチュアからプロの世界に環境が変わり、これからは6勤1休になる。
「一日をだらだら過ごしていると、疲労だけがたまってしまって、しんどくなるのかなと。だから、その日やることにしっかりフォーカスして、集中しないといけない。このキャンプで、そういうことを先に知ることができたのはよかったです。まずはそのペースに合わせて、これまでの自分のルーティンを変えるというか、つくっていきたいですね。
逆に、投げることに関しては、どれだけ打たれてもビビらずにストライクゾーンで勝負する。そこは忘れずにやっていきたいです。ゾーンの中で、いかにタイミングをずらしたり、ファウルを取ったりできるか。球威やボールの質は、まだまだレベルとして足りない部分もありますが、打たれないと学べないと思っています。実戦を通して打ち取り方を覚えていって、最終的には完投できるピッチャーになりたいですね」
プロ3年目の左腕・石原勇輝は、昨秋の宮崎フェニックス・リーグで先発として3試合に登板。いずれも6回以上を投げ、先発適性を感じさせた。
「今年は気持ちを楽にして、自分のペースやリズムで投げられるように、そういうマインドに変えることを目標にしています。
【最速159右腕は支配下登録へ意欲】
坂本拓己は、プロ4年目で初めて一軍キャンプに参加した。チームよりも早く沖縄入りし、大西広樹と連日汗を流した。坂本は昨季終盤、1イニングながら一軍初登板。オフに参加した沖縄でのウインターリーグでは、自己最速となる153キロを計測した。
「去年と変わったことは、先輩方に積極的にアドバイスを聞くようになったことですね。大西さんとのキャッチボールでも、『今日の球はどうでしたか?』と聞いたりしています。その助言をしっかり自分のものにできたらいいなと。そのためには、ただ練習するだけでなく、自分がどうすべきなのかをもっと考えて取り組まないといけない。今年は開幕一軍に入れるように、個人的な目標としてはプロ初勝利を挙げたいです」
沼田翔平は2月12日に一軍キャンプへ合流した。昨年7月に育成から支配下登録されたが、一軍では1試合に登板して1回4失点、2被本塁打。
「オフはフォームというか、始動の部分を一から壊すつもりで取り組んできました。なるべく下半身で投げるように意識しています。これまではずっと上半身で投げていたのですが、そうするとコントロールをつけようとして、どうしても腕で力を制御してしまっていたんです。その癖をなくすための練習を、オフの2カ月間やってきました。それがうまく結果につながってくれたら、去年とは違う結果になるんじゃないかと思っています」
背番号012、育成2年目の廣澤優は、身長193センチ、最速159キロというスケールの大きな右腕だ。「背番号を変えたいです」と力強く話した。
「背番号が2ケタになるということは、一軍で勝負するということなので、いつでも一軍のプレッシャーを意識しながら練習しています。自分は試合終盤をまかされる立場になりたいので、ブルペンで投げる時も、そのイニングの点差やランナーの状況、絶対に負けられない場面を想定しながら取り組んでいます。支配下になれたら、1年間を一軍で戦うこと、そして1試合でも多くチームの勝利に貢献することが目標です」
つづく>>










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