スワローズの選手たちに聞いた、それぞれの改革~投手編(後編)
前編: エース候補・奥川恭伸が語った覚悟はこちら>>
ヤクルトのチーム防御率は3年連続でリーグワースト。その数字が、チームの3年連続Bクラスと無関係とは言えない。
【真価が問われる変則右腕】
青柳晃洋は昨年7月末、ヤクルトに入団。
「僕自身が変わったわけではないんですけど、環境が変わったという感じですね(笑)。阪神でずっとやってきて、去年はアメリカでプレーして、ヤクルトではまだ2カ月くらい。そういう意味では、僕にとって初めてのキャンプなので、すごく変化があると思います」
チームが決めた指定日以外でも、ブルペンで積極的に投げた。
「プロに入って11年目になるので、これまで積み重ねてきたものがありますし、自分のなかで変えてはいけないこともあります。その一方で、年齢や衰えもある。ここ何年か結果が出ていない理由は、自分のなかでははっきりしています。もちろん開幕ローテーションに入るつもりですし、1年間活躍するつもりでいます。そのための準備ができるキャンプ期間を過ごせたらいいと思っています」
変則右腕はキャンプ打ち上げを目前に、左ハムストリングスの張りで全体練習を不参加。その後は二軍の戸田球場でリハビリに励み、3月8日には「順調!」と語り、帰京後二度目となるブルペンで実戦を想定した投げ込みを行なった。
2年目の下川隼佑は、昨シーズンに育成から支配下登録を勝ち取り、一軍で2勝を挙げた。キャンプ中の早出練習では「師弟関係です(笑)」と、同じ変則投手の青柳と濃い時間を過ごした。
「青柳さんからは、自分がやっていることや感覚を言葉にできるようにと指導を受けています。今日はどうだったのか、どういう感覚で投げたのかなどを、自分の言葉で説明し、聞いてもらうようにしています。コーチに手伝ってもらうときも、ブルペン捕手に受けてもらうときも、自分が何をしたいのかをきちんと言葉にするようにしています。黙々と練習するのではなく、対話を大事にするようになったことが、自分のなかで大きく変えた部分です」
下川は、球場に一番に来て、最後までいる日も多かった。
「練習量はそんなに変わっていません。それは自分のペースが遅いだけなので。食べるのも遅いですし、何をするにも時間がかかるんです(笑)。青柳さんに教わっていることも、まだ自分の中で確立できていないので、シーズンを通して続けていくつもりです。今年はローテーション入りを目指して、去年以上に投げ、チームの勝利に貢献したいです」
【ベテラン右腕は目標をあえて高く設定】
松本健吾は、ルーキーイヤーの2024年に初先発で初完封勝利を挙げた。さらに、2ケタ奪三振、無四球での達成はNPB史上初の快挙だった。昨年はロングリリーフなどで23試合に登板し、防御率1.87を記録した。
「立場としては、まだまだ下からはい上がっていかなければいけないと思っています。ただ、そのなかでも自分が投手陣を引っ張っていく、そういう気持ちでやっていきたい。
2月27日には、侍ジャパンのサポート選手として中日戦に登板。1回を2奪三振、無失点と見事なピッチングを見せた。
サイドスローの小澤怜史は、このオフにオーバースローに取り組んだが、キャンプでは腕の位置を元に戻した。ポジションも中継ぎから先発へと変わった。
「去年は成績がよくなかった。それでキャッチボールで上から投げてみたら感覚もよかったので、何か変えてみようかなと試してみましたが、とりあえずはいいかなと。今は球種を変えるというか、中継ぎになってから投げなくなった球の感覚を思い出す作業をしています。武器は真っすぐなので、それを生かすためにカットボールやツーシームで横を広く使い、カーブやチェンジアップといった遅い球で緩急をつけて、長いイニングを投げたいですね」
高梨裕稔は「これまでは目標が小さいと感じていたので、今年は高く設定するように変えました」と話した。
タフなベテラン右腕は、昨年オフにFA権を行使せずにヤクルトと2年契約を結んだ。
「この2、3年は、何ていうんですかね。一軍にどう残るか、どう投げられるかばかりを考えてしまっていました。
【再スタートを切った3人のリリーバー】
スワローズのブルペンは陣容が豊富で、誰もが高みを目指している。
清水昇は「この2年、チームも僕も低迷してしまって......」と静かに話した。2021年シーズンは72試合に登板し、50ホールドの日本新記録を樹立。チームの日本一に大きく貢献した。しかし昨年は35試合の登板で、防御率4.74と苦しんだ。
「チームも変わり始めていますし、僕自身も何かを変えないといけないなと。それこそ、ストレートの出力やコントロールを見直したり、それと同時に新しいフォームを模索したりしています。セットアッパーのポジションを、もう一度奪いにいきたいですよね。あの緊張感やワクワク感は、ほかに代えがたい。
木澤尚文は「傾斜のあるマウンドでの投球動作を増やすことは、今年変えたことのひとつです」と話した。タフネス右腕は、昨年不振もあり、入団2年目から続いていた50試合以上の登板が3年で途切れてしまった。
「やっぱりピッチャーは、傾斜のなかでいかにパフォーマンスを出せるかだと思うので。アメリカでの自主トレでも、ウエイトの休憩の合間にスロープを使ってシャドーをしたりしていました。どの動作の時に、鍛えている部位が動いているのか。それを感じることで、自分のなかの意識づけも変わってくると思います。この取り組みがどれだけ生きるかはまだわかりませんが、もしうまくいかなければ、また新しいことをどんどん試していきます」
一昨年は60試合に登板し、防御率1.34、昨年は50試合に登板し、防御率1.17を記録した大西広樹は、毎年、毎日、新しいことに挑戦している。
「今年は『新しい大西だな』と思われるような変化をしないといけないと思っています。今はストレートの改善に取り組んでいて、投げながら感覚をつかんでいるところです。そのなかで、できることとできないことが出てきていますが、難しいのはやっぱり球速ですね。まだしっくりこない感じなので、もっとバランスが合えばと思いながらやっています。
【守護神の座を争うふたりの投手】
星知弥は昨シーズン途中からクローザーをまかされ、17セーブ、防御率1.67を記録。セーブ機会での失敗はゼロという、すばらしい投球を見せた。
「今年に関してはチームが大きく変わりましたよね。キャンプも全体練習がギュッと短くなったぶん、自分の時間がすごく取れている。個人的には何かを特別に変えるというよりは、小さなことでもそれを継続することを大事にしています。そのなかで、去年は抑えをやらせてもらったので、そのポジションを変えられないようにやっているところです」
荘司宏太は入団1年目の昨年、独特のフォームから繰り出す垂れない真っすぐとチェンジアップを武器に45試合に登板。30ホールドポイント、防御率1.05という圧巻の数字を残し、セ・リーグの新人王に輝いた。
「カーブは去年もたくさん投げましたけど、今年はより質を高めようと取り組んでいます。武器が増えたらピッチングの幅も広がりますし、打者にカーブを意識させることができたら、真っすぐとチェンジアップがもっと生きてくると思います。去年は4番打者への四球が多かったのですが、それを三振に変えられるんじゃないかと自分でも思っています」
そして、新人王左腕は「変えたことでいうと」と話してこう続けた。
「去年の目標は『勝ちパターンで投げたい』という大きなくくりだったんですけど、今年は新しい監督になりましたし、コーチ陣やスタッフもガラッと変わりました。なので、目標は『守護神』と明確にしました。
スワローズ投手陣が大きく変貌を遂げれば、チームの順位はひとつまたひとつと浮上していくはずだ。










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