この記事をまとめると
■韓国ブランド「キア」のフラッグシップクロスオーバーとなる「EV6 GT」に試乗した



■システム最高出力585馬力によるEV6 GTの走りはエキサイティングかつ快適なものであった



■BEVとしてのクオリティとパフォーマンス、いずれも韓国車のイメージを高める仕上がりとなっている



いま世界的に評価が爆あがりしている韓国車

それはたしかに短い時間だったのかもしれない。けれどもそのわずかな期間に、韓国や中国の自動車メーカーが生み出すプロダクトは、素晴らしい勢いで進化を遂げてきた。



今回はカリフォルニアでドライブした3台のキア、すなわちヒョンデ傘下の韓国製BEVのインプレッションをそれぞれお届けしようと思うが、最初にドライブしたこの「EV6 GT」に試乗した瞬間、正直なところ日本はBEVに関しては後進国となってしまったのかという印象を抱かずにはいられなかったというのが正直な気持ちだった。



【試乗】キア EV6 GTは1000万円の価格にも納得! 韓...の画像はこちら >>



キアにとってEV6シリーズは、クロスオーバー車の最上級モデルであり、そのエクステリアデザインも大胆にエッジを効かせた、いかにもスポーティで機能性に優れたものとなっている。ちなみにそのプラットフォームは、ヒョンデが2020年に発表したBEV専用の「E-GMP」と呼ばれる最新型で、ヒョンデはこれを使用して「アイオニック5」をすでに市場へと投入している。



【試乗】キア EV6 GTは1000万円の価格にも納得! 韓国車の急成長っぷりに日本車の危機しか感じなかった



さっそくキアEV6 GTの試乗を始めることにしよう。そのスポーティで爽快なパフォーマンスを想像させるエクステリアデザインにも表現されているとおり、このGTは、キアの全ラインアップ中、もっともパワフルなスペックを持つモデルだ。



搭載されるエレクトリックモーターは、フロントに218馬力、リヤには367馬力でトータル585馬力を発揮。最大トルクはこちらも合計で740Nmを提供する。



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バッテリーの搭載量は77.4kWhとプレミアムクラスのBEVと比較すると比較的小さな数字で、最大航続距離も424kmとそれに応じたスペックとなっている。



「キア」のブランドイメージを高めるのに貢献するEV6 GT

注目すべきは800Vのシステムを採用したことによる充電時間の速さで、仮に800Vの急速充電器があれば、わずか18分で最大80%まで充電可能という高い充電能力の恩恵を受けることができる。本格的なBEV時代に向けて、それはかなり優秀なデータだ。



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EV6 GTの走りは、ドライブモードの選択によってかなり明確にその印象を変える。用意されているモードは「エコ」、「ノーマル」、「スポーツ」、「GT」の4タイプ。その選択によって変化するのはモーターの制御だけではなく、ブレーキ、ステアリング、サスペンション、e-LSD、ESCなど多岐にわたり、さらにドライバーには各々を独立して調節できる「マイドライブ」モードも与えられる。



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このGTの車重は2165kgとされるが、これはもちろん前で触れた専用プラットフォーム、E-GMPの恩恵が大きいと考えるのが妥当だろう。当然のことながらその加速は素晴らしく、とくにGTモードを選択したときにのみ発揮される585馬力でのフィーリングは(ノーマルとスポーツでは466馬力、エコでは292馬力にパワーは抑えられる)きわめてエキサイティングなもの。



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同時にステアリングのレスポンスや正確さも一気に高まり、電子制御サスペンションシステムの巧みなダンピング制御とともに、常にフラットな乗り心地と俊敏な応答性を感じさせてくれるのだ。



もちろんどのモードを選択していても、アクセルペダルを一気に踏み込めば、そこからの加速はリヤタイヤがトラクションを得るのが難しいほど豪快なもの。しかもこのGTの標準装着タイヤは、ミシュランのパイロット4Sなのだから驚く。



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今回試乗したモデルでは、日本円にして約1000万円のプライスタグが掲げられていたキアEV6 GT。これは現在までにキアが販売したモデルのなかではもっとも高価なレベルの一台となる。この新型BEVによって、キアはそのブランドイメージをさらに高めることは可能だろうか。個人的にはそのデザイン性やプレミアムブランドたるインテリアのフィニッシュ、そしてBEVとしてのパフォーマンスのいずれを考えても、それは可能なことではないかと思う。



我々がちょっと目を離していたわずかな時間に大幅な進化を遂げた韓国ブランドのBEV。日本のBEVがその遅れを取り返すには相当な努力が必要になるだろう。



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